LGUEST HISTORY

ホテル情報誌「ホテルジャンキーズ」掲載記事より抜粋


ホテル偵察記

ホテル利用者の方々が、実名で(誌面上では顔写真付き)身元を明らかにした上で、利用日を明記し、実際に体験されたことをレポートしているものです。
「ホテルクルーズ」は1滞在で複数軒のホテルに泊まった場合のレポートです。
「CS満足度」のハートの数は、利用者の満足度を5段階で表したものです。



■国内旅館■


  • 白梅@京都(西村正吉) 2011年12月10日〜11日
  • ホテル楊貴館@山口県油谷湾温泉(田中 潤) NEW! 2011年3月10日〜3月11日
  • べにや無何有(吉野孝雄) 2010年9月26日〜27日
  • 永芳閣・新館天遊(吉野孝雄) 2010年9月28日〜29日
  • 虹と海(吉野孝雄) 2010年9月29日〜30日
  • 薪の音(吉野孝雄) 2010年9月30日〜10月1日
  • 星のや 軽井沢(阿久津友紀) 2010年6月15日〜17日
  • 華鳳別邸 越の里(吉野孝雄) 2010年5月18日〜19日
  • 旅館 藤屋(吉野孝雄) 2010年5月19日〜20日
  • 亀の井別荘(吉野孝雄) 2010年3月15日〜16日
  • 風の森(吉野孝雄) 2010年3月19日〜20日
  • 離れの里 和穣苑(吉野孝雄) 2009年10月20日〜21日
  • 翠松園(吉野孝雄) 2009年10月21日〜22日
  • 熱海ふふ(吉野孝雄) 2009年10月23日〜24日
  • ほまれの光 水月@伊豆高原(島埜あき子) 2009年8月20日〜21日
  • 望楼NOGUCHI登別(吉野孝雄) 2009年6月25日〜26日
  • 支笏湖翠山亭倶楽部(吉野孝雄) 2009年6月26日〜27日
  • 花仙庵岩の湯@長野県仙仁温泉(堀越美幸) 2009年6月12日〜13日
  • 桝一客殿@長野県小布施(小泉秀夫) 2009年4月25日〜26日
  • 柚子屋旅館祇園店@京都(小泉秀夫) 2008年10月29日〜30日
  • 海のしょうげつ@知多半島(小泉秀夫) 2008年5月8日〜9日
  • WA亭 風こみち@熱海(小泉秀夫) 2007年8月24日〜25日
  • 都わすれ@角館(小泉秀夫) 2007年6月24日〜25日
  • 石山離宮 五足のくつ@熊本県・天草島(小泉秀夫) 2005年8月23日〜25日
  • 明神館@長野県扉温泉(島埜あき子) 2005年6月4日〜5日
  • 真木温泉旅館@山梨・大月(小泉秀夫) 2005年03月04日〜05日
  • 花仙庵岩の湯@長野県仙仁温泉(高橋貴代美) 2004年3月13日〜14日
  • 修善寺ホテル@伊豆(島埜あき子) 2003年1月1日〜2日
  • 亀の井 別荘@大分県由布院(島埜あき子) 2002年2月17日〜18日
  • 旅館クルーズ@大分県由布院「亀の井 別荘」「無量塔」(佐藤真由美) 2001年12月15日〜17日




  • 「白梅 京都」

    CS満足度 ハート5つ。
    女将のホスピタリティーのよさ、歴史ある日本家屋の古さを感じさせないメンテナンスのよさ、お茶屋を料理旅館にしただけあって食事のよさ、すべてにとれているバランスから高得点を与えています。



    宿泊日 2011年12月10日〜11日
    宿泊代 2夫婦、4名で利用し、一人あたり26,000円。
    予約法  旅館に直接電話で予約。

    西村正吉
    ●ホテル好きはおそらく学生時代にホテルの裏方でアルバイトした時から始まったようでもう…十年になります。海外で最初に泊まったのが台北の圓山大飯店。そこからクラシックホテルの魅力にはまっています。旅先の選定はそこにあるホテルで決まるという無類のホテルジャンキーです。



    今回、白梅に泊まることになったいきさつから話をしたいと思います。なにせ、宿の選択はここから始まる大事な場面ですから。

    十月中旬、とある新聞の情報に掲載された信州の宿に思いを馳せることからスタートです。そこは、イノシシや鹿、いわゆるジビエが食べられるということから友人夫婦を誘って計画を練り、話を持って行きました。

    ところが、友人の奥さんが「私は田舎育ちだけど、ジビエはどうも…」という一言で却下され、「年末に旅行をしませんか?」と誘ってしまった手前もあり、急きょ代替えを選択する必要に迫られることになってしまい、私ども夫婦で探すことしきり、出雲、下呂、道後…と連日の検討が始まりました。

    一泊で時間に無理がなく、しかも我々の望む老舗の宿。いくつか提案するものの、「ああ、あの古びれたところね」と言われないで、友人夫婦を満足させられるところと、なんだかツーリストになった気分。でも、旅行の楽しさはここからすでに始まっているのは、ホテルジャンキーズの皆さんはおわかりのことと思います。

    十一月に入って、行き先を京都に定め(目的は伏見稲荷で商売繁盛祈願)、宿さがしに。京都ではすでにお互い数多くの宿に泊まっているので、納得できる宿は?と検討に入りました。

    選択の基準はロケーションと京都らしさを感じられるところ。以前、年末に祇園の宿を探し、満員で断られ続けた苦い経験があったので、祇園ははずそうと考えたものの、この時期一番のロケーションと思い、断られるのを覚悟で白梅に電話。

    懸念は嘘のように、あっさりと予約が。それも二間続きの部屋が。

    ところが、喜んでいたところ、突然友人から日にちの変更の頼みが。ああ、これで今回も白梅には泊まれないかと。

     仕方なく、白梅に変更の連絡をしたところ、開口一番、「すいません」と言われ、やっぱりと落胆。しかし、その後の言葉が「同じ部屋がご用意できなくて、大きな部屋ならご用意させてもらいます。料金も二千円ほど上がってしまいます」と言われ、ちょっとためらう振りをして(内心安堵して)、「それでお願いします」と。

    やった! これで白梅に泊まれるぞ!

    前置きが長くなりましたが、いよいよ白梅へ。白川のたもとにある白梅には、白川の橋を渡って暖簾を潜って玄関へ。おかみさんのお出迎え。あがり小口の待合でちょっと腰を下ろすも束の間、部屋へ通される。玄関わきから二階へ。階段の上り口には伊東親水さんの舞子の絵(おそらく、オリジナル)。

    部屋は十四畳、十四畳の二間と入口の四畳ほどと控えの間が四畳、トイレ二つと浴室からなる、「梅が枝」の間。ちょうど、玄関の上の位置で、いいロケーションでした。

    浴室は階下に家族風呂が二か所。どこも、新しい槇の湯船で手入れの行き届いているのを感じさせられます。

    全六室の為か、部屋の案内はおかみ自らが行い、きめ細かい案内をしてもらいました。地域の情報にしても、ホテルのコンシェルジュとひと味違い、地元に長く住んでいる人にしかわからない情報を得られるのも、ここで生まれ育ったおかみの強みだと感じました。

    ちょうど月食の日だったので、祇園の空で月食をおかみと見ることができました。最初に触れた信州のジビエには別の友人夫婦が同じ時期に訪れ、ジビエを堪能したようでした。


    ■次に泊まる方へ

    宿は、予約の段階から始まりますので、直接、旅館に連絡を取られることを勧めます。また、小さな子供連れは避けられたほうが。


    *情報誌「ホテルジャンキーズ」Vol.90 2012年2月発行号 掲載記事より抜粋。



    「ホテル楊貴館」@山口県油谷湾温泉

    CS満足度 ハート4つ。私は4・0、嫁さんは4・5。要するに大満足。宿の基本である、眺め・料理・部屋・温泉・サービス・室料はすべてほぼ満点、申し分ないのだから。


    宿泊日 2011年3月10日〜3月11日
    宿泊代 朝凪の棟701号室、夕朝食・税サ・入湯税込み、二名で31,800円。
    予約法 直接電話で予約。

    田中 潤
    ●嫁さんと二人で山口県下関市在住。アマン全制覇めざしている自称アマンティスト。これまで泊まったアマンは二十三軒。この日以降だろうか。夫婦二人して、だらだらゆるく楽しむ、いわゆるお気楽づいてしまった様なのだ。お陰で二○一一年のリゾート計画に何とアマンステイはなく、バリ島お気楽旅行になった。一体果たしてこんな事で良いのだろうか?



    下関に住んで一年、「色々な意味で此処山口県に感謝しながら、ゆっくり温泉に浸かって酒を飲んで美味しい物をたらふく食べる休日、でもやるかあ」と言う気持ちに心からなり、下関から比較的近く、日本海と日本海に沈む夕陽を眺められる油谷湾温泉ホテル楊貴館に決めた。以前に休日ドライブで通りかかり、その立地の素晴しさだけは確認出来ていた。電話一本であっさりと予約完了。あーあ、地元小旅行って何て楽ちんなんだろう。

    満足した点は、 眺め。最高だった。お風呂(温泉大浴場)から、お部屋から、そしてお食事処から。日本海の何ときれいな事。透明度なんて下手な海外の比ではない。少なくともバリなんかよりもよっぽどきれい、潜らなくてもスコーンと抜けた透明度の高さが確認出来る程。そして水色と蒼色のツートンカラーに輝く油谷湾も素晴しい。

    温泉の湯舟に浸かりながら、ひとりうっとりし、お部屋に通されてこの美しさを全面ワイドビューで満喫出来る幸せに思わず歓声を上げてしまった。興奮冷めやらぬ内にまずはビールで乾杯。空はまだまだ充分に明るいのが嬉しい。そして、大いに楽しみな夕食に備えて少しだけ昼寝ならぬ夕寝。ガバッと跳ね起きると、今度は夕陽がそれこそ目が覚める程きれいだった。

    予約時の電話で「海の眺めを満喫したい、出来れば夕陽も。部屋タイプとか食事コースはスタンダードで、こういう希望は叶えられますか?」と望む事全部をそのまんま訊いてみたところ、「ちょうど良い角のお部屋がこのお日にちなら空いていますよ。ご料金は勿論スタンダードです」と嬉しい回答。しかも平日木曜日泊割引、更にチェックイン十六時、チェックアウト十時コース(ショートバージョン・スマイルプラン)の割引でぐんぐん安くなる。

    こんなに美しい海と夕陽の眺めを堪能出来るこの部屋の素晴しさは、角部屋である事の強味を最大限に活かしているから。西側には居間と寝室のふた間に全面大きく窓がとられ、北側には寝室の窓。だから部屋に入った瞬間全面海に囲まれている様な錯覚を受ける程の素晴しいオーシャンビューなのだ。部屋の設備・利便性・機能性・お手入れ具合・清潔度・新しさも申し分なし。ただ残念ながら寝室のインテリアのセンスはあまり誉められたものではない。

    お食事処は「朝凪の棟」二階にある旬菜料亭「あさ井」桜の間。完璧に落着ける完全個室、嬉しいテレビ付き、窓の向うに横たわるきれいな海、そして良心的にも何と飲物持込みOK! お陰で社宅にいるのと変わらず、長い風呂の後に大音量でテレビを観て馬鹿笑いしながら缶ビールをぱっかぱっか開けて、食べて、飲み続けた。

    食事内容は珍しい事に和洋中の折衷コース。「和洋中それぞれ三人の料理長がいて腕を振るいますよ」と言う説明を聞いて逆に少し引いてしまって余り期待はしていなかったが、この後ろ向きな予想をほぼ完璧に裏切ってくれた。

    まずは全十二品の和食の前菜。次は洋食のステーキ。ポタージュスープの後に、中華風揚げ煎餅を器に見立てたぷりっぷりの海老。ご当地食材のクジラ肉。釜飯、味噌汁、香の物。ラストはデザート全六品。私も嫁さんもビールがすすみ、笑みが絶えない。

    一方、残念な点は、日本全国の温泉宴会ホテルと同様に中途半端にみっともなく「シティホテル化」してしまっている点。嫁さん「選べる浴衣サービス、うっとうしいだけで嬉しくも何ともない。入口にあった『幸運を呼ぶ鐘』も、どうにかならないかな」。


    ■次に泊まる方へ

    ここは日帰り温泉がひとり千円。昼食を利用すれば半額になる。西側に位置する旧来の本館は「夕凪の棟」、東側に位置する新館は「朝凪の棟」と呼ばれているが、「夕凪の棟」が低層階なので「朝凪」側からでも充分に夕陽を拝む事が出来る。青海島、ビーチとその向うに望む島の眺めは、まるでアマンプロ


    *情報誌「ホテルジャンキーズ」Vol.90 2012年2月発行号 掲載記事より抜粋。



    「星のや 軽井沢」

    CS満足度 ハート3つ。
    ただし、ハート1つ分は秀逸なスパのおかげ。正直、超高級宿にはありえないミスと対応で、普通だったらもう行きたくない!ですが、ハードとスパには満足したので再訪の気はあるということで。



    宿泊日 2010年6月15日〜17日
    宿泊代 196,000円(二名で二泊分、朝食二回夕食二回、スパ代含む
    予約法  ホテルのウェブサイトより予約。

    阿久津友紀
    ●札幌在住、会社員。情報誌「ホテルジャンキーズ」にて体を張ったレポート「ホテルのエステ&スパ」連載中。


    六月平日、母と共に初夏の軽井沢を訪れ、星のや 軽井沢二連泊して来ました。実家からカーナビ頼りに軽井沢へ。近くに来ると案内板とカーナビの言っていることが違う! 私は下調べで車どめに停めて別の車で案内されるのを知っていましたが、そうじゃないと迷うかも。

    チベットチャイムやドラの並ぶレセプションで甘酒もどきのちょっとクセのあるウェルカムドリンクを。作務衣か浴衣かがそこで聞かれ、作務衣が積込まれたCUBE(日産)星のや仕様で、一キロは離れている母屋へと向かいます。森の中の別荘地の公道を抜けると星のやの敷地へ。フロントなどには寄らず、直接敷地内の案内を受けながらお部屋に向かいます。

    一棟に二〜四室の部屋。人気の水辺の部屋にしたのですが、案内されたのは端っこの二階。川の音がけっこううるさいので音に敏感な人には厳しいかと。リクエストすれば、同じ水辺でもよくイメージ写真にある池の周辺に泊まれるそうですが、今回は撮影でも使われるという川&敷地内の森ビュー。

    部屋は使いやすいし、ヒノキのお風呂には毎日、レモンとかミントとかお湯に浮かべるものが届きます。おふとんもいい硬さ、クッションたっぷりの掘りごたつにテラスなど部屋にくつろぎ場所十分。でも、水辺感は、川の音以外にはあまりなく、景色だけで言えば一人三千円以上お安い、山辺の部屋でも十分じゃないかと。

    二十四時間入れるライブラリーでは、コーヒー、ハーブティーが自由に飲めます。フードはないのですが、雨の日には飴。素朴な甘味が。茶屋ではお香を自分で調合し、折り紙を折ってにおい袋を作るイベントやヨガなど敷地内で過ごすにはよし。

    食事は素朴な素材を素朴に出す感じ。オダシがちゃんとした正しい日本食が味わえます。一番懸念していた食事だったのですが、どのコースも値段なりの価値はあり。朝食も野菜たっぷりで女性好みかと。温泉蒸し料理がベースで、ヒマラヤ塩などでいただきます。お粥とご飯も選べますし、信州のお漬物が鉢いっぱいについてくるのがうれしい。連泊は違うものが味わえます。

    しかし、事件。
    三日前予約が必須の「特別朝食」を予約、わざわざ二泊目を朝食別の料金にしてもらっていたのに用意されておらず!
    改めて普通の朝食代一人三千二百円(お詫びにとこれだけ税サなしでしたが)を払い直さねばならなかったのがひどく残念。前日に時間の確認までしていたのにぃ…。

    「担当の者に確認するまでお待ち下さい」の一点張りでなかなか非を認めない態度と、その後、これまでお世話してくれていたその担当スタッフが謝ることなく目の前から、消えました。

    閑散期なのに、食事もなしで一部屋二名で五万越えの宿。まあ、モルディブとかプーケットとか海外のヴィラタイプではこの価格、正直ありえます。スパの料金は適正だけど、部屋つき温泉が主流の中、部屋風呂は温泉じゃないのに部屋代のみの五万円越えはやっぱり超高い部類。

    でもお庭やライブラリーなど日本で「リゾート」を作るとこうなるよね、というお手本。うーん。おこもり宿としては優秀。

    結論としては、一番大事なサービスが人によってムラがあるので繁忙期には決して行ってはいけません!

    ■次に泊まる方へ

    予約内容は、面倒ですが、いちいち確認しないと絶対間違います。
    親切でも何か足りない、そんなお宿です。

    みみっちいことを気にせずお金払える人はいいんでしょうが。リクエストは無理承知で言いましょう。コスト意識はあるホテルなのでサプライズはありません。


    *情報誌「ホテルジャンキーズ」Vol.81 2010年8月発行号掲載記事より抜粋。



    「ほまれの光 水月」@伊豆高原

    CS満足度 ハート4つ。設備が整っているのに値段がリーズナブルなこと、スタッフの一生懸命さが伝わってくること。


    島埜あき子
    ●三十代会社員。本誌にてコラム「食べるホテル日記」連載中。イモ類が大好きです。秋は栗、かぼちゃ、じゃがいも等々好物が勢揃い。ますます太ってしまいそうです。ホテルのデザートフェアも見逃せません!

    宿泊日 2009年8月20日〜21日
    宿泊代 税サ込で一名、22,950円。
    予約法 ホテルのホームページから。


    知り合いの良かったという評判を聞いてほまれの光 水月に宿泊してみました。今年五月にリニューアルオープンしたばかりの全室露天風呂付き、全八部屋の旅館です。

    到着すると着物姿の二十代の女性がすぐに駆け寄ってきて、名前を聞かれました。その女性が受付で部屋の鍵を受け取り真っ直ぐに部屋へ案内してくれました。

    私たちのお部屋「秋桜」についたときの印象は「広い!」でした。宿泊料金は一名二万二千九百五十円(税サ込)という値段だったのでビックリ。部屋は一部屋だけですが、ゆうに十畳はある広さ。部屋の向こうにはテラスがあり、大きい露天風呂と長ベンチがあります。露天風呂へは部屋からも行けますが、脇にある洗面所とシャワーブースを通って抜けることもできます。

    他にはクローゼット、金庫、冷蔵庫、お茶セット、冷水の魔法瓶がありました。アメニティは歯ブラシ、黒麺棒(初めて使ったがヤミツキです)、シャンプーや化粧水などは、昔の旅館にある「売店で売っています」と表示されたボトルタイプのもの。品質は私には合っていたようでとても重宝しました。思わず買って帰ろうかと思ったぐらいです。タオルはバスタオルとフェイスタオル、ハンドタオルがそれぞれ一枚ですが、品質がよくフワフワでした。

    部屋につくと、案内の女性が「なおです、明日までお世話させていただきます。よろしくお願いします」と挨拶。チェックインの手続き、浴衣の選択、お菓子とお茶いれなど、お世話してくれました。

    夕飯は部屋でいただきました。本当は食事処で食べたかったのですが、なぜか部屋で食べる方が宿泊料金が安かったのです。味、量共に満足でした。いい具合の和洋折衷でした。特に鰹のユッケとコーンのご飯が美味しかったです。夜食に小さなお握りも用意してくれました。その際に仲居さんの手書きメッセージが入っていてビックリしました。うれしいけど、文章考えるの大変だろうなあって感じました。

    朝食は食事処の個室でいただきました。前日の夕飯時に三種類のなかから自分の好きな干物を一品選ぶようになっています。席につくとほとんどの料理がセッティングされていましたが、着席時間に合わせて準備されているので、食材が乾いているようなことはありませんでした。おもしろかったのはご飯が石焼ビビンバの器に入っており、カニのあんかけをかけていただくというものだったこと。他にも刺身、豆乳から作る豆腐などおかずがたくさんだったので白米をお願いしたら、快く持ってきて下さいました。食事が終わると、デザートとコーヒーを持ってきてくれ、和食といえコーヒーは飲みたいのでうれしかったです。

    チェックイン、チェックアウトは部屋で行うため、チェックアウト時間を予め告げなくてはなりません。少し不便かと思いましたが、重い荷物を持って精算するよりも部屋にきてくれるからラクチンでした。 ラグジュアリー度は少し低いかもしれませんが、部屋が広く、洗面所が二ケ所あり、トイレも客室以外にもあって便利でした。ただ、お風呂は露天風呂ばかりなので、冬場にいくと寒いかもと心配です。しかし、この値段ならコストパフォーマンスも良くリピートできそうです。


    ■次に泊まる方へ

    十才未満の子どもは宿泊できません。また、お支払いは現金のみ、ということです。ホームページでは気がつかなかったのですが、エステがあるようです。


    *情報誌「ホテルジャンキーズ」Vol.76 2009年10月発行号 掲載記事より抜粋。



    「花仙庵岩の湯」@長野県仙仁温泉

    CS満足度 ハート5つ。身体の底からあったかくなる旅館です。


    宿泊日 2009年6月12日〜13日
    宿泊代 一人30,000万円(税込、5名宿泊)
    予約法 宿へ直接電話予約。

    堀越美幸
    ●ホテルジャンキーズクラブ「旅館愛好会」世話人。最近海外に行くと、日本の行く末が案じられるようになりました。「RYOKAN」は日本が誇る天下一品のおもてなしホテル、ずっと一位を目指していただきたいものです。


    花仙庵岩の湯、こちらのお宿の噂を聞きつけたのは、遥かずっと昔、ようやく宿泊が実現しました。今年のマイベスト旅館です。季節は梅雨の中休み、ちょうど一カ月半のバンクーバーステイから戻ったばかりで、身体が和の心とあったかい温泉を求めていたのだと思います。すべてがぴったりはまりました。

    到達点の国道から建物は見えなくて、長い暖簾をくぐった門から小さな橋を渡り、緑の木々の中にあるロビーにやっと到着です。これから始まる物語の、先が見えない入口というのはなんだかわくわくしていいですね。新緑が青い空に光って、川のせせらぎが心地よいラウンジ「やぐら」でお抹茶とお菓子をいただきます。この序章がけっこう重要です。

    館内には至るところに書斎コーナー、休憩どころ、ノスタルジックなカフェのような場所が設けられていて、所々にある可憐な花々も目を楽しませてくれます。レトロな家具とマッチした独特なムードは、やっぱり大人の為の宿、階段も登ったり下ったり、廊下もくねくねしてるので、あまり年を取り過ぎないうちに来たほうがよいかもしれません。ちょっと暗めのクラッシックな雰囲気は好まない人もいると思いますが、私的にはとても癒されました。

    こちらのスタッフの方々の真心こもった接客は、あらゆるところで紹介されているので詳細は省きますが、清々しい笑顔と気配りに百点満点を差し上げたいです。何を聞いても即答でパッと行動できるのは、ご自分たちのお仕事に誇りと自信があるからなのですね。

    建物は、本館、仙寿亭、仙山亭と全十九室に分かれていて、私達は仙山亭の和室、リビング、ミニキッチン付きのゆったりした快適なお部屋で過ごしました。純和風でもなく、モダンでもなく斬新さもありませんが、ゆったりして落ち着けるお部屋でした。

    四つある貸切露天風呂は、空いていればいつでも入れます。平日でもほぼ満室状態にですから、当然人気あるお風呂は待ち人多く、待合コーナーで景色でも楽しむ余裕が必要なんですね。

    そして、こちらの目玉商品のひとつは、滝のある大洞窟風呂、混浴なので湯浴着をまとい、ちょっとした冒険気分で洞窟を上がっていきます。広くないのですが、岩が素足にあたりけっこう体力を使うので、少しぐったり気味になった私としては、貸切風呂のひとつ「夢想の湯」が気持ちよかったです。

    内湯の他に高低差のある露天風呂があって、貸切にしてはとてもゆったりしています。時を忘れる空間でした。

    さてお食事、朝夕食ともに仙山亭の一階にある「深仙庵」の個室でいただきました。月見台の向こうに揺れる竹林が見渡せて、燭台の灯りが期待を膨らませます。焼物の「あまごの塩焼き」など、信州の素材を活かしきった献立の数々です。野菜、肉、魚、果物、その向こうに作った(採った)方の姿が感じられる新鮮な食材で、完食。

    朝は和洋のチョイスです。和食を選びましたが、おなかにやさしい朝食で、最後に出されるちょっとしたデザート、ヨーグルトやフルーツの盛り合わせなどがとても気がきいていて嬉しくなりました。お夜食も(おにぎりやフルーツ)あまりにかわいらしくまとめてあるので、つい食べてしまいました。

    のんびり山のお宿で、まったりとくつろぎたい方、おすすめです。

    ■次に泊まる方へ

    仙山亭は二人で宿泊の場合は一人四万二千円となり、けっしてお安い値段ではありません。この金額を出すなら箱根の「○○」伊豆の「○○○」に行く、などと思ってはいけません。全く種類の違う桃源郷です。


    *情報誌「ホテルジャンキーズ」Vol.77 掲載記事より抜粋。



    「桝一客殿」@長野県小布施

    CS満足度 ハート5つ。建物も部屋も大変気に入りました。また宿周辺の町並みも美しく、次回は連泊して小布施を満喫したいと思います。


    小泉秀夫
    ●ホテルジャンキーズクラブのグループ会「鉄系ジャンキーの会」の世話人で鉄ジャン(鉄道ジャンキー)でもありますので、鉄道に乗って全国の旅館を訪ねてひとり泊まりするのが何よりの楽しみです。

    宿泊日 2009年4月25日〜26日
    宿泊代 一泊朝食付き42,000円。
    予約法 直接電話にて予約。


    善光寺の御開帳で賑わう長野市内から、長野電鉄に乗車して三十分ほどで小布施に到着。桝一客殿は、町の中心地である小布施堂にあり、周りには造り酒屋、和食処、イタリアンレストラン、土産物屋などが点在しています。

    外観は旧き日本らしい風情を感じるもので、老舗の砂糖問屋から移築した土蔵三棟を中心に七棟の木造家屋により構成されています。建物の中に入るとモダンな造りに驚かされます。

    チェックインの後、法被を纏った若い男性スタッフの案内のもと部屋へと向かいます。中庭を通り抜けて、螺旋階段を昇った二階が今晩の部屋です。

    スイートタイプ(七十平米)と呼ばれている部屋で、こちらでは一番広い部屋だそうです。入るとすぐ左手がリビングルームで、三人掛けのソファーと椅子が二脚。ゲストを招いて歓談するには最適です。50インチの大型テレビは5・1chサラウンドシステムが搭載されており、大画面で迫力ある音と映像を楽しむことが出来ました。

    ライティングデスクがあり、洒落たボールペンやメモパッドも。ミニバーは無料、コーヒーやりんごジュース等のルームサービスも無料、近くの和食レストランからルームサービスというか出前もしてくれるようです。

    スイートルームの奥にクローゼットやバスルームのエリア。バスタブが青いガラスで出来ています。かなり大きさもあるので、お湯を張るのに時間がかかりそうでしたが、予想以上のスピードで湯が溜まります。バスタブはシンク越しにあるのですが、シンクからはまる見えなのが、ちょっと…でした。シンクやシャンプーボトルがシルバーで統一されているためなのか、全体的にクールな感じがしました。

    一番奥がベッドルームでクイーンサイズのベッドが二台置かれており、こちらには37インチのプラズマテレビがあります。二台も大型テレビが設置してあるとは何とも贅沢です。

    蔵を改築したからなのでしょう、外の光を取り入れる窓が小さく少ないので内部は暗いです。しかしスタイリッシュなインテリアにはマッチしていると感じました。

    夕食はホテルジャンキーズクラブの長野支部会に参加したメンバーと合流して近くにある和食レストラン蔵部に行きました。「寄り付き料理」という、蔵人が酒造りの期間中に食した料理を提供するのがコンセプトで、店内に入ると調理の煙が立ちこめ、スタッフの威勢の良い声が響き活気があります。皆で料理や地酒などを楽しみ、〆は竈で炊かれた絶品の御飯を頂きました。食後は我が部屋のリビングスペースで夜が更けるまで歓談。

    翌日の朝食はイタリアンレストラン傘風楼で頂きました。店内は広くて明るく、ガラス張りの窓から、笹庭や瓦屋根の連なりを眺めながら食事をすることが出来ます。メニューはフレッシュジュース、生ハム盛り合わせ、野菜スープ、卵料理、自家製パンにヨーグルトデザートでした。いずれも美味しかったのですが、印象に残ったのが野菜スープで、余計な味付けをせずに野菜の甘味が十分に引き出されていました。あとは、ボリュームたっぷりのイタリア風オムレツ。具だくさんでチーズもたっぷりなので朝から満腹になりました。


    ■次に泊まる方へ

    採光が乏しい部屋が苦手な方は、宿に問い合わせをしてみて下さい。イタリアンレストランでの夕食付きプランもあるようですが、和食レストランでの食事もお薦めできます。


    *情報誌「ホテルジャンキーズ」Vol.74 2009年6月発行号 掲載記事より抜粋。



    「柚子屋旅館祇園店」@京都

    CS満足度 ハート4つ半。和風オーベルジュを名乗るだけあって美味しい料理を堪能できます。立地も申し分ないので、京都で旅館に泊まるならばココと決めました。これから進化する期待をこめて評価をつけました。


    小泉秀夫
    ●ホテルジャンキーズクラブ「鉄系ジャンキーの会」世話人。JR東海のCMのナレーションを聞くと京都に行きたくなってしまいます。先日、小田原から北千住まで東京メトロ乗り入れの小田急ロマンスカーに乗車。代々木上原から地下に潜って千代田線内の駅を通過するのって快感です。

    宿泊日 2008年10月29日〜30日
    宿泊代 一泊二食付きで三万九千六百円。
    予約法 ホテルに直接電話で。


    まだ紅葉には早い十月の終わり、約四ヶ月ぶりに京都を訪れました。前回はうだるような暑さでしたが、この時期は暑くもなく寒くもなく快適です。

    柚子屋旅館は祇園にあり、八坂神社のすぐ隣です。高台寺や清水寺までも徒歩圏内という立地です。小さな門をくぐると表の喧騒とは切り離され、うっそうした木々に囲まれた静寂に包まれます。石の階段を登ると山門のような玄関で、入ると右手に「おくどさん」があり、こちらで出す御飯を炊く竈が並んでいます。

    部屋は全九室ですべて間取りが異なり、今回の部屋は八畳の和室に板の間と小さな書斎が付いたタイプです。二年前に宿泊したときに気に入った同じ部屋にしていただきました。他には七畳と四・五畳や十畳の部屋などがあるようです。狭く急な階段を昇り二階に上がると、中庭を囲むように部屋が並んでいます。部屋に通されるとお菓子の代わりにお漬物が出されますが、和菓子の甘さが苦手なのでちょうど良かったです。ひと休みしてからお風呂に入ることにします。

    この部屋の湯船は檜なので、とても良い香りが風呂場に広がり、癒されます。また、柚子が置いてあるので柚子風呂を楽しむことが出来ます。

    夕食は一階にある、ごはん処「一心居」でいただきます。庭の滝を眺める席につくと、柚子屋旅館の文字を染め抜いた手拭いがナプキン代わりに置かれています。和を意識したおもてなしに「なるほどねぇ?」と感心しました。

    五穀豊穣と書かれた和紙と紅葉に彩られた京野菜から始まる献立は、松茸御握り、平目と戻り鰹の刺身と続きます。次は希少な京都牛の鋤焼(ステーキ)で、白髪葱と一緒にいただきます。肉の豊かな甘みと弾力に、葱の食感がアクセントとなり大変美味しかったです。優しい味つけの蕪の煮物で一息ついた後、笹で燻した子持ち鮎の登場です。鮎は大好物なので、この時期に食べることが出来て嬉しかったです。味も良く大ぶりで食べ応えがありました。

    最後は名物の柚子鍋で季節により内容は変わります。鱧の骨から取った出汁に松茸を散らした松茸が入った鍋を覗くと、そこには巨大な豆腐が沈んでいます。まずは豆腐をいただいてみます、豆腐はもちろんですが出汁の旨いこと、この上ありません。そしてメイン食材の名残り鱧をしゃぶしゃぶにしていただきます。なんでも通な方は、はしりと名残りの鱧しか食べないそうです。日本庭園を眺め、日本酒を飲みながら鱧の鍋をつついていると「京都に居るんだなぁ?」と実感しました。

    鍋といえば締めはもちろん雑炊で、調理場に鍋を持ち帰り作って来てくれます。前回の時は柚子の香りや酸味がきつくてイマイチだったので正直不安でしたが、今回の塩梅は完璧でこんなに美味しい雑炊は初めてでした。新たに刻んだ鱧を加えてあるのもいっそう美味しさに拍車をかけたようです。動けなくなるまで目一杯食べてしまったので、ライトアップされた高台寺を観に行けなくなってしまいました。

    朝食は九種類の小皿からなる一の膳と、脂がたっぷりのった銀鱈の西京焼き、ふっくらとした名物だし巻き玉子でした。御飯は竈が席ごとに置かれるので、お好みでお焦げの部分をいただくことができます。

    ■次に泊まる方へ

    二人で泊まるには狭いと感じるかもしれません。檜風呂は全室に設置されていないので確認して下さい。古い建物なので機能的でないとみるか、風情があるとみるかは評価が分かれると思います。ごはん処「一心居」はレストラン営業もしているので、浴衣にスッピンは要注意…かな?

    *情報誌「ホテルジャンキーズ」Vol.71 掲載記事より抜粋。



    「海のしょうげつ」@知多半島

    CS満足度 ハート4つ半。全体的には大変満足です。サービスも良くスタッフの質が高いと思いますが、夕食にインパクトのある献立が欲しかった。


    小泉秀夫
    ●ホテルジャンキーズクラブ「鉄系ジャンキーの会」世話人。旅館のひとり泊まりをよくします。名古屋駅で噂の「新幹線上りホーム」のきしめんを食べました。だしが良く効いてとても美味しかったです。間違っても下りホームには行かないように…。。

    宿泊日 2008年5月8日〜9日
    宿泊代 51,975円。
    予約法 一休より。


    ある時何気なく一休を見ていたら、愛知県・知多半島にオープンして半年ほどのスタイリッシュな宿をみつけた。行ったことのない土地でもあり、ひとり泊まりもOKなので、早速サイトから予約をした。

    東京から名古屋までは新幹線、名古屋から目的地の内海までは名鉄で向かう。パノラマーカーの展望車の一番前列に座ることができて、気分が盛り上がってくる。

    エントランスを入ると広いロビーラウンジがあり旅館と思えない雰囲気だ。ライブラリーには数は少ないがCD、DVDもある。また、コーヒーメーカーがあり、ゲストは好きな時間に飲むことが出来る。ラウンジからテラスに出てみると伊勢湾が広がり、船舶が行き交う風景が目に飛びこんでくる。

    今回滞在した部屋は平屋タイプ(六十二平米)。他にはメゾネットタイプの部屋がある。しつらえはベッドルーム、和室、リビングで、テラスに露天風呂とデッキチェア。ベッドはシーリー社製でとても寝心地が良かった。和室には琉球畳が敷いてあり、ホッと落ち着く空間だ。リビングのソファは昼寝には最適で、長くいても苦にならない。

    双眼鏡が用意され、海や鳥を眺めることができる。ミニバーにはオキシギャイザー(超酸素水)やキュリオスティコーラなど珍しい飲み物が入っている。内風呂はなくシャワーのみ。バスアメニティはTHANN製で男性用、女性用と別パッケージ。タオル類はフカフカだが吸水性がもうひとつに感じた。

    露天風呂は石造りで大きめの湯船なので、ゆったりと足を伸ばして浸かることができた。少々塩辛いのは海の近くの温泉のせいかも知れない。目の前に広がる大海原を眺めながら湯浴みを楽しめるとは最高の気分だった。快晴であれば中部セントレア空港に発着する飛行機を眺めることが出来るそうだが、この日は曇り空だったので見ることが出来ずに残念。

    湯船から出るとバスローブを羽織り、デッキチェアーでひと休み。お気に入りの音楽をかけて、シャンパンをひと口…アラン・ドロン主演の映画「太陽がいっぱい」の主人公になったような気分だった。

    夕食は、海の幸が中心の献立で、素材の味が素直に楽しめる料理だった。お造りは近くの漁港のもので新鮮で、先付けの吹寄せの車海老、口取りの焼き穴子、お椀の伊勢海老のがんもどき、太刀魚の柚香焼きが特に印象に残った。全品魚料理ではなく、お隣り岐阜県の飛騨牛の石焼きは大変柔らかく美味しかった。夕食後はラウンジでコーヒーを飲みながら、料理の写真を整理する。スピーカーからは小さな音でジャズが流れている。他に人影はなく静寂そのものの中でしばし寛ぐことが出来た。

    翌日も朝食前に飛び交う鳥の鳴き声の中で温泉に浸かる。朝食時刻が八時半と遅めなので、朝湯を楽しむ時間はたっぷりある。

    朝食の膳を見て驚いた。干物が五種類もあったのだ。種類は鯵、太刀魚、豆鯛、河豚、ミル貝で、自分で焼いて食べる。いずれの干物も美味しくて、ついつい御飯を食べ過ぎてしまう。その他にもマグロの刺身、じゃこのお浸し、茶碗蒸し、サラダと盛り沢山の内容で素晴しい朝食だった。食後にはラウンジのテラスに出て、短い残り時間を惜しみながらコーヒーを飲んだ。


    ■次に泊まる方へ

    メゾネットタイプの方が二十平米程広いですが、平屋でも十分広いと思います。館内にはバーや大浴場などがありません。ひたすら部屋に篭り、温泉やDVDを楽しみたい方にお勧めの宿です。本文にも書きましたがミニバーには普通の飲み物がないので予め用意した方がいいです。空気が乾いている快晴の日に泊まると飛行機や対岸の三重まで見渡せると思います。


    *情報誌「ホテルジャンキーズ」Vol.68 2008年6月発行号 掲載記事より抜粋。



    「WA亭 風こみち」@熱海

    CS満足度 ハート5つ。客室付き露天風呂・料理・サービスと私の旅館選び三要素を満たしてくれました。プラス東京から近いのが嬉しい。


    小泉秀夫
    ●今回の移動にはスーパービュー「踊り子」を利用しました。グリーン車は広くて乗り心地が良いので新幹線よりも好きです。九月の宿泊予定はペニンシュラ東京だけなので列車での旅が出来ないので寂しいです。鉄道好きの鉄系ホテルジャンキーでもあります。


    宿泊日 2007年8月24日〜25日


    熱海なんてひと昔前の温泉地だし、何かダサイよなぁ?と思い注目していなかった。しかし聞く所によると面白いリゾートホテルや旅館が次々と開業しているらしい。その中のひとつWA亭 風こみちをホテルジャンキーズクラブの会員専用掲示板で見つけ、ここだ! と思い泊まることにした。

    最寄り駅は東海道本線来宮だが熱海まで送迎してくれる。そこから約十分ほどの高台に宿はある。ロビーラウンジには洒落たソファーがあり、そこでスパークリングワインと自家製パンナコッタをいただきながらチェックインの手続きを行う。真正面には熱海の街と海が臨め、天気が良ければ初島も見えるそうだ。

    客室は全七室ですべて異なるタイプ。付帯施設としてダイニングと内風呂がある。基本的には部屋食だが、お年寄りや身体の不自由な方など和室での食事が困難な方がダイニング利用優先との事。内風呂と全室に備え付けられた露天風呂の源泉は同じ。

    今回宿泊した部屋は三階「ゆうがお」(ひとり泊まりで税サ込み四万円)で、玄関の左手が八畳ぐらいのベッドルーム、右手が八畳の和室に洗面所とトイレ、そしてバルコニーに石造りの露天風呂がある。企業の保養所だった建物を改装したので、所々、以前の片鱗は見受けられるが気にならない程度だ。

    露天風呂からはロビーラウンジと同様の景色が広がっている。風に揺れる竹林と蝉の鳴き声を聞きながらの湯浴みは「夏の温泉も悪くない」と感じさせてくれる。

    リクエストした十八時になったのでスタッフが夕食の準備を始める。金目鯛の利休和えなどの前菜から始まる献立は味もボリュームも大満足だった。お造りは近くの川奈漁港で朝獲れた地魚が氷を敷いた器に盛られている。身の厚い鯵、コリコリしたイサキ、表面を炙った金目鯛など盛りだくさんだ。焼物の福子柚庵焼きは、ふっくらした身に抜群の味付けがしてあり大変美味しかった一品。天城軍鶏で取った出汁を少しとろみのかかったスープに仕立て、天城軍鶏のつみれ、人参、牛蒡など野菜が入った冬瓜のスープは最も気に入った料理だ。デザートはレアチーズケーキのフランボワーズソースと会席らしからぬメニュー。夕食の時に次の宿泊予約(来年一月)を入れた。

    夕食後、しばらくしてから夜食のサービスがある。小さなおにぎりと香の物だが、竹細工の箱に入っており、細やかな心遣いがうれしい。

    この宿のスタッフは全員ホテル出身者で、旅館で働いた経験者はひとりもいない。女将や仲居がおらず、スーツ姿で動く彼らを見ていると、ホテルにいる感じになる。ホテルらしいと言えば飲物だけではあるが、二十一時までルームサービスがある。

    翌日の朝食は八種類の小鉢、大きな茶碗蒸し、それに熱海の定番「鯵の干物」。普段は朝食を食べないが旅館では目一杯食べてしまう。食べすぎで動けなくなった身体にムチを打って、チェックアウトまで露天風呂に何度か浸かり、短い滞在を惜しんだ。

    最後にスタッフの方に気になった事を尋ねてみた。それは冷蔵庫の飲み物が大変安いことだ。コンビニで買うのと値段が変わらない。「コンビニより高くてお客様に利用していただけるとは思いません」と答えてくれた。本当にその通りだとうなづき、何だか爽やかな気持で宿を後にした。


    ■次に泊まる方へ

    ひとり泊まりは年中ウェルカムとの事です。旅館ひとり泊まりに苦労している方には特にお勧めです。

    DVDデッキがあるのでソフトを持参すると良いと思います。
    冷蔵庫の中にある瓶詰めの葡萄ジュースと烏龍茶は無料でした。


    *情報誌「ホテルジャンキーズ」Vol.64 2007年10月発行号掲載記事より抜粋。



    「都わすれ」@秋田県・角館

    CS満足度 ハート5つ。コストパフォーマンスが非常に優れています。東京からは少し遠いですが泊まる価値あり。季節を変えて今度は連泊したいです。


    小泉秀夫
    ●久しぶりに時刻表を買って、次回(加賀温泉)の行程を検討しています。列車の旅は本当に楽しいです。中学生の頃に憧れだったグリーン車に乗っていると大人になって良かったなぁと心の底から思っています。月イチの旅を続けています。


    宿泊日 2007年6月24日〜25日


    秋田県角館・夏瀬温泉にある都わすれは昨年から注目していた宿だった。写真で見た部屋付露天風呂からの眺めがすばらしくて、ぜひ訪れたいと思っていた。

    今回滞在した「木漏れ日」(四十六平米、平日ひとり泊まり料金が三万四千円)という洋室タイプの部屋は、全面フローリングで布団エリアだけが一段高くなっている。テンピュール社製のマット、ピローの感触がとても良い。

    僕にとってはテレビの位置が重要なのだが、ソファに対峙して置いてあり、布団から見ることができない。そこでお願いしてテーブルの上に移動していただいた。その対応が素早くて大変ありがたかった。

    露天風呂は大人が二人は入れるほどゆったりしており、デッキチェアがあるのでドリンクと共に充実した温泉タイムを楽しめそうだ。内風呂はなく、シャワールームがあって、シャンプーなどの他に角質を落とすためのクリームまで置いてあった。

    ウェルカムドリンクの生ビールを飲んだ後で、いよいよ露天風呂に入ってみる。ほのかに硫黄の匂いがする無色透明の湯は、すこし熱いと感じる温度だったが、だんだん身体になじんで心地良くなってくる。真正面には山の新緑が目に痛いくらい美しく、右斜め前方には神代ダムの水面がエメラルドグリーンに光っている。こんな絶景に囲まれながら入るお風呂は最高である。

    さて、宿といえば食事も楽しみだ。食事は朝晩ともにダイニングでいただく。地の食材を使った素朴な料理で、きりたんぽ鍋や稲庭うどんなどの秋田郷土料理、岩魚や山菜など山の幸が堪能できた。食事中に野良着姿のおばちゃんがテーブルごとに「わらびのお浸し」を取り分けてくれる。なかなかおもしろい趣向で凝っているなぁと思った。ただ、おばちゃんが話してくれる内容は皆目理解できなかったが…。

    数ある料理のなかでも秋田産の三梨(みつなし)牛が絶品だった。厚めにカットした牛ロースを石焼にしていただくのだが、芳醇な肉汁が口の中いっぱいに広がり幸せな気分になる。牛は人間を裏切らないんだと思った。食後は宿泊客専用ラウンジで珈琲をいただく。女将が収集した珈琲茶碗の数々はバリエーションにも富んでいて楽しい。しばしの間、ソファでくつろいだ。

    早朝、鳥のさえずりや山の空気を感じながら露天風呂に浸かる。今日も快晴で気持ちが良い。朝食も昨日と同じダイニングの同じ席で。オーソドックスなメニューではあるが、桶に入った湯豆腐が大変美味しくて「うーん、これには日本酒が合うな」と感じた。やや硬めに炊いた「秋田こまち」が、このうえなく美味しくて感動すら覚えた。こんなにご飯がうまく感じることなど経験したことがない。ちなみにジュース、サラダ、牛乳、ヨーグルトなどはビュッフェでいただく。

    部屋に戻ってからは持参した「刑事コロンボBOX」のDVDを観たり、風呂に浸かったりしてチェックアウトまでの時間をすごした。

    帰りは送迎車で角館駅まで送っていただく。来る時は他のお客さんと一緒にワゴン車だったが、なんと、今度はベンツだ。宿が所有している車はワゴン車、クラウン、ベンツの三台で、なるべくワゴン車ではなく乗用車を使うようにしているとのこと。

    すべてに満足して幸せな気持ちで帰京した。

    ■次に泊まる方へ

    こちらの宿は携帯電話がつながりませんのでご注意を。パソコンがロビーに一台置いてあります。ウェルカムドリンクと一緒に出してくれた「ごぼうスティック」が美味しいのでビールがひと味違いました。中庭にハンモックやブランコなどが設置してあるので夕涼みなどで利用すると楽しそうです。


    *情報誌「ホテルジャンキーズ」Vol.63 掲載記事より抜粋。



    「石山離宮 五足のくつ」@熊本県・天草島

    CS満足度 ハート4つ。一日目の夕食とタオル類の質がマイナス要因です。東京では珍しい料理をいただけたのは良かったです。


    小泉秀夫
    フォーシーズンズホテル椿山荘のクラブフロアが大のお気に入りで常宿でしたが、今年に入ってクラブラウンジがなくなってしまったので、新たな常宿を求めて旅館めぐりを重ねています。最近、時間や他人を気にせずに使える部屋専用の露天風呂付きが、私の宿選びの必須条件になっています。。


    宿泊日 2005年8月23日〜25日


    最近、雑誌でもよく取り上げられる天草の石山離宮・五足のくつに夏期休暇を利用して泊まってきました。予約を取るのが困難と聞いていましたので心配していましたが、希望の日程、部屋を確保することができました。

    私が宿泊したのは和風タイプの(A5)、アジアンテイストタイプの(B4)でしたが、どの部屋タイプでも、ひとり泊まりの場合は一律、四万円(一泊二食付き、税サ込)です。

    天草島の西側、東シナ海をのぞむ高台に建物があり、全十棟の離れの他、管理棟(コレジオ)と食事処「滋味 邪宗門」があります。

    到着後はコレジオにてウェルカム・ドリンクのフローズン・カクテルを飲みながら、館内の説明を受けました。ライブラリーには宿の名前にもなっている五人の詩人、北原白秋、与謝野鉄幹らの著作や数は少ないですがDVDやビデオテープが揃っています。

    一泊目は純和風の造りの部屋でした。玄関の右手が寝室、左手が居間で、縁側もあり、ほっとする空間です。ただし、全体的に小ぶりで狭い感じがしました。二人で利用すると窮屈さは否めないのではないでしょうか。

    部屋付きの露天風呂は、森に囲まれ、東シナ海を眺めながらの湯浴みは至福の時です。湯船のまわりに沢ガニが顔をのぞかせたり、トンボが止まっていたりと、自然との一体感が心地よかったです。内風呂もありますが、こちらの方は沸かし湯で、アレルギーや敏感肌の方を考慮しての事らしいです。

    バスローブの用意があるのですが、質があまりよくありません。バスタオルやフェイスタオルの質もよくないので、ぜひ再考を促したいところです。

    「邪宗門」での夕食はグレゴリオ聖歌が流れる中、完全個室での食事となりましたが、ひとりでも落ち着いて料理を楽しむことができました。この日のメニューは、蛸の石焼、煎り鮑をなど海の幸オンパレード。特に刺身は珍しい「きびなご」が並び、鯖寿司も良かったです。ただ、煮物の味付けが甘く感じられて不満が残ってしまいました。

    翌日は、昼頃に「B4棟」へ部屋を移動しました。こちらはメゾネットタイプで、一階はダイニングルーム、二階がベッドルームになっています。バルコニーから海が一望できます。ベッドの寝心地、ソファの座り心地共に良く、スペースも広くて満足できました。ただし、露天風呂からは崖しか見えないので、眺めは×でした。部屋は「B4」タイプで、露天風呂は「A5」の組み合わせがベストだと思います。

    二日目の夕食は、前日と異なる内容で、馬刺し、天草牛のステーキ等の肉料理が加わりました。驚いたのは、煮物の味付けが美味しくなっていることでした。不思議に思い尋ねてみると、前日は料理長が出張中だったとのこと。コース最後の食事は冷やしおろしうどんと献立には載っていましたが、昼食にルームサービスでオーダーしていたのでウニ丼に変更してくれる心づかいがうれしかったです。

    最後に朝食についてですが、夕食と同様、初日と二日目の献立が異なり、質・量共に満足できる内容でした。特に二日目は、ところ天やデザートの変化球メニューが楽しかったです。

    ここは、東京からは遠いし、アクセスも良くないので(空路だと福岡空港利用の際は、一日三便程度)、二の足を踏んでしまいますが、連泊してこもるには良い宿だと思いました。

    ■次に泊まる方へ

    十月一日に新しいコンセプトの「C棟」がオープンするとのことです。全部で五棟しかないので予約を取るのが大変です。


    *情報誌「ホテルジャンキーズ」Vol.52 掲載記事より抜粋。



    「明神館」@長野県扉温泉

    CS満足度 ハートマーク4つと半分。欠けた半分は、枕の高さが合わなかったことと、ハートマーク5つにするには、何かが足りない気がするから。しかし、値段を考えると満足度は非常に高いです。


    島埜あき子
    ●東京在住、会社員。明神館に行く前に、美ヶ原温泉協会の蕎麦打ち教室に参加しました。すごく楽しかったし、蕎麦もおいしくて感激しました。家族には「味オンチ」と言われますが、料理は大好きです。もちろん、食べることはもっと好きです。


    宿泊日 2005年6月4日〜5日
    宿泊代 57,309円(二名分)


    結婚記念日に思い出となる旅行をしようと明神館を選びました。いろいろな旅館を検討しましたが、手の届く値段のなかで一番評判がよかったのが明神館です。松本からビックリするほど山道を走ると明神館のある扉温泉に着きます。

    お部屋は408号室「鈴蘭」。私が予約したのは「鷹ベットルーム」で下から二番目のカテゴリーになります。仲居さんがちゃんとお部屋に案内してくれ、お茶を淹れながらチェックインの手続きをしてくれます。鍵を二つ渡してくれ、お風呂にいくときに便利でした。

     部屋に入ると洋室と思うようなモダンなインテリアでした。後で床材などは桐を使用していると聞きましたが、濃い茶色で落ち着いていていいです。入ってすぐにクローゼットがあります。カントリー風でかわいく、容量も充分にあります。中には、バスローブと浴衣、靴下、洗面道具がセットされていました。ベットルームは薄型テレビとステレオとCDが二枚あります。ベットルームの奥は、窓のあるリビング。私の行った六月上旬は緑が窓一面にあり、外を眺めているだけでも癒されるほど美しかったです。リビングには、暖炉(薪ではない)とウェットバーがあります。旅館でウェットバーとは感激。途中で買ってきたトマトを洗って冷蔵庫に入れました。

    一段落したらお風呂です。館内には四つの大浴場がありました。ひとつは普通の大浴場、髪の毛や体を洗うのに適しています。湯上りには冷たい麦茶が用意されていました。有名な立ち湯と寝湯は、ゆっくりと湯船に浸かるのに適していて、洗い場は狭く暗いです。 

    私は立ち湯を初めて経験しましたがとても気持ちがいい。体が伸びるんです。ここの立ち湯は壁一面をぶち抜いて、緑に面しているので森林浴をしながら全身お湯に浸かれます。意外に落ち着かなかったのが寝湯。たまたま枕元にゴミらしきものを発見してからどうもダメでした。これだけ、屋外だと虫や多少のゴミも仕方ないのかなって思います。他の方もそうなのか、寝湯では人にほとんど会いませんでした。もうひとつのお風呂は露天風呂です。これは夜の二時間ほど以外は混浴なので入れませんでした。

    食事はダイニング四季でいただきました。夕食は早めに行ったら、テラス席でいただくことができました。大皿に盛ってあり、それを取り皿に取って食べるスタイルですが、取り皿までが美しくて感激でした。お料理は前菜の盛り合わせのようなものと山菜の天ぷらがおいしかったです。私は特に朝食が気に入りました。まず、最初に「レモンミルク」というオリジナルの飲み物を出してくれます。これは飲むヨーグルトのようです。他に豚の角煮、ザル豆腐、温泉卵ののったサラダ、青菜のおひたし、漬物がでました。すべて熱いものは熱く、冷たいものは冷たくサーブされました。漬物が嫌いな私のために「おろしなめたけ」を出してくれたり、前夜の夕飯で味噌汁をお代わりしたのを覚えていてくれたり、細かいサービスもうれしいです。

    チェックアウトが十二時なので、朝食後にもう一回お風呂に入ってのんびりと身支度をしました。心身ともに癒されました。こういう旅館がもっと増えればいいなと思います。支払い金額は二人で57,309円。値段だけ聞くと安くないですが、内容を考えると納得できる値段でした。


    ■次に泊まる方へ

    旅館から山道を少し下ったところに駐車場がありますが、スタッフが車の移動をしてくれるので、車から降りるだけであとは大丈夫です。

    とても便利なのが食事時間です。夜は六時から八時、朝は八時から十時、自分の好きなときに予約なしでいけるのです。

    寝湯は、この時期ですと、夕方でも陽が当たりますので、日焼けの嫌いな方は注意です。


    *情報誌「ホテルジャンキーズ」Vol.51 2005年8月発行号掲載記事より抜粋。



    「真木温泉旅館」@山梨県・大月

    CS満足度 ハート3つ。料理内容が影響しての評価になりました。まだ他の旅館と比べることが出来ないので、今回の滞在が今後の基準になると思います。


    小泉秀夫
    ●これまではフォーシーズンズホテル椿山荘のクラブフロアひと筋だったが、こよなく愛したクラブラウンジが廃止になったため、旅館に方向を変更。ただ今、研究中。


    宿泊日 2005年03月04日〜05日


    首都圏のホテルにしか泊まったことがない私である。一月に那須、二月に箱根とオーペルジュタイプのホテルで体を慣らし、いよいよ旅館デビューとなった。

    ここをみつけるまで大月に温泉地があることを知らなかった。首都圏に近い有名温泉地で初陣を飾らないところがへそ曲りな私らしい。

    新宿から特急に乗り一時間あまりで大月駅に到着する。ここからはタクシーで十五分程度の距離だ。宿の入り口にはかがり火が焚かれており、戦国武将・武田信玄が門の奥に座っていそうな気がする。

    まずはロビーのソファーに腰掛け抹茶とお菓子で一服しながら館内の説明を受ける。やがて担当の仲居さんにバトンタッチして部屋に案内された。

    全十六室中、離れは六室あり「河鹿亭」の名称が付いている。料金はひとり利用の場合、一泊二食三万四千八百円(税・入湯税込み)。

    間取りは十帖+八帖に専用露天風呂付きで、内風呂はスチームサウナ機能が付いている。襖や箪笥に綻びがあり、メンテナンスが行き届いていない所もあったが、清潔だし、備品の用意も不足などは無いようである。

    荷解きの後、自分が過ごしやすいように座椅子の位置を変えたり、テレビのリモコンや文庫本を手元に置き、寛ぎ空間セッティングの完了だ。

    落ち着いたところで一回目の湯浴みをする。居間の隣が露天風呂で、その場で服を脱ぎ捨て湯船に浸かる。湯の温度は私には最適で思いのほか心地よい。この日は東京に大雪が降ったおかげで、重い荷物を持っての移動でいつも以上にくたびれている。冷たい風を顔に受けながらの入浴で、疲れた体が少しずつほぐされていく。

    露天風呂からの眺めは目隠しに遮られて、空以外は見えない。宿の脇を流れる真木川を眺めながら湯浴みが出来たら良いのになぁと思う。湯上がりには部屋に一本サービスされる「地球創世水」という大仰なネーミングの飲料用温泉水で喉の渇きを癒す。その後も温泉に入っては、温泉を飲むを繰り返した。

    夕飯の時刻が近づいたので食事処「ひろじ亭」に向かう。

    アップダウンや廊下を曲がったりして結構距離がある。その際、一般客室の前を通るのだが足音が気にならないのかと心配してしまった。

    完全個室での食事なのでプライベート感はあるのだが、ひとりだと料理から料理のあいだが手持ち無沙汰なのは困った。肝心の料理であるが、全体的に味が薄く、平凡な内容に思えた。「当館では海の素材は一切お出し致しません」との謳い文句があったので期待していたが、肉料理と思えるものが黒豚の角煮だけでは淋しすぎる。

    部屋に戻り設置されているマッサージチェアを試してみる。気持ちいいのだが、ふくらはぎもアームがロックしているので機械が故障したらどうしようなどと考えてたら落ち着かなくなったのでやめた。

    翌朝は早起きして大浴場に行ってみる。案の定誰もおらず大きな湯船にゆったりと浸かることができた。ただ真っ暗な中の露天風呂はいささか気味が悪いものだ。

    帰りは駅までの送迎バスを利用させて頂く。山を下る途中の富士山が綺麗に見えるポイントで車を暫し止めて鑑賞となった。晴天にそびえる富士は素晴らしかった。きっとこれからの宿の滞在が素敵なものになる暗示を信じて帰京した。

    ■次に泊まる方へ

    離れ部屋はグループや家族で利用することをお勧めします。旅館側のコメントにもありますが、段差が多いので小さな子供やお年寄りが一緒の場合は注意が必要です。それからクレジットカードは一切使用できないそうです。


    *情報誌「ホテルジャンキーズ」Vol.49 掲載記事より抜粋。



    「花仙庵岩の湯」@長野県仙仁温泉

    CS満足度 ハート4つ。お風呂にシャワーは当然!ですが、きめこまやかなサービスのこの宿をさらにレベルアップさせた功績は大。あとのひとつは、今後のさらなる進化に期待してとっておきます。


    高橋貴代美
    ●今年は旅館にシフトしています。理由その一、昨年の遊びすぎ(泊まりすぎ?)を自粛すべく、交通費のかからない地元(長野)の宿で楽しみましょう。その二、ホテルジャンキーを名乗るからには地元の宿は制しておかないと。その三、ホテルへの感動が薄れつつある今日この頃、初心を取り戻すために視点を変えねば!いい関係を築くために馴れ合いは禁物、ですよね。


    宿泊日 2004年3月13日〜14日


    女友達二人と、仙仁温泉岩の湯へ出かけました。長野市内から車で約三十分、山間にぽつんと建つ一軒宿です。都会の方々に人気のこのお宿は、地元の私達にとっては庭のようなもの。「都会」ナンバーの外車がずらりと並ぶ駐車場に控えめに車をとめ、川を渡り、玉砂利の道を少し歩くと「秘湯を守る会」と書かれた大きな提灯が出迎えてくれます。

    帳場前のお休み処でお抹茶を一服いただいてからお部屋へ。部屋の隅には少しクラシックな文机があり、一筆箋が備え付けられています。こんなところに来ると、ふだんメールのやり取りのみの友人に手紙をしたためたい気持ちにさせられるので不思議。

    お食事は一階の「深仙庵」でいただきます。お部屋ごとに個室になっており、外の濡縁の向こうにはライトアップされた竹林が。なんとも風情のある景色。地元の食材を使った山里料理は、新鮮な魚介類とはまた違った素朴なおいしさです。

    ここのイチオシはなんといっても洞窟風呂。男女別の洗い場の奥に洞窟風呂の入口があり、中は混浴なので備付のバスタオルを巻いて入ります。お湯の温度はかなり低いですが、洞窟内の温度が高めなのか心地よい暖かさ。間違ってもプールのような使い方をしてはいけません。混浴に抵抗のある方は女性専用タイムもあるのでその間にどうぞ。

    前回ここを訪れたのは約四年前。女友達五人で、しばらく日本を離れる友人のために全員着物で集まりました。和服がとても絵になる宿で、館内を散策して写真を撮りまくりましたが、食事時のつらさは語るべくもなく‥お薦めはできませんでした。

    さて、四年の間に「岩の湯」は確実に進化していました。まずは館内のあちこちに無駄な、もとい、贅沢なスペースが増えたこと。宿の高台に位置したテラス、遊歩道、ヨーロピアンな内装のお休み処、別棟のティールーム。散策するだけでも楽しいですが、せっかくならこんな場所を使いこなしたい…それには一泊二日ではとうてい足りません。

    それから、貸切露天風呂が出来た事。二〜三人は入れそうな室内ジャクージの片面の窓が大きく開けられ、そこから石段を少し登るとオープンエアの石造りのバスがあります。夜、お湯に浸かりながら天を仰ぐと、降ってきそうな満天の星空。昼はまるでバリ島のウブドゥにいるような錯覚を覚えます(ただし、外はライステラスでなく、トラクターに乗ったおじいちゃんが視界を横切る畑)。

    難点は、予約出来ないため空き状況を確認しなければいけないこと。当然人気なのでなかなか空いていません。私達は部屋から近かった事もあり、頻繁に様子窺いに行っていましたが、深夜とチェックアウト間際の午前十一時に確保するのがやっとでした。

    最大の進化は、お風呂にシャワーがついていた事! なかったんです、今まで。平成のこの時代に、手桶で髪を洗うのは至難の業。つけないことが宿のこだわりなのかと勝手な理由付けで我慢していたものの、この宿の唯一で最大のマイナスポイントでもあったので、進化のほどがおわかりでしょう。

    お風呂上りには、囲炉裏にかかった鉄瓶の中の熱々の梅昆布茶をいただきながら、のんびりと湯冷ましです。お部屋にはビタミンCたっぷりの冷たい柿の葉茶とお夜食も待っていますが、どんなに目が欲しがっても夕食を詰め込みすぎた胃が受け付けてくれません…旅館でもっともストレスのたまるひとときです。

    進化したこの宿、内装にはどんな有名建築家が携わっているのかと伺ってみたところ、社長自ら設計されているとの事。国内外のリゾートをかなり研究されたのでしょうか。女友達とだけでなく時にはしっぽりと…誰かと訪れたい宿です。

    ■次に泊まる方へ

    とにかく予約が取りにくい宿です。一年前から予約が可能ですが(たとえば来年の六月の予約は今年五月一日午前八時スタート)週末の予約はスタート時点でほぼ埋まってしまいます。当然のことながらキャンセルも出るので、日時にこだわらないなら「空いている週末」を予約するのがベター。ちなみに私は今回宿泊時、次に空いている週末を予約しましたが、向こう一年間で空いている週末は十二月二十五日のみでした…やはり人はみなクリスマスにはホテルに向かうのかしら。

    *情報誌「ホテルジャンキーズ」Vol.43 掲載記事より抜粋。


    「修善寺ホテル」@伊豆

    CS満足度 ハート3つ。お正月値段じゃなかったら4つです。


    島埜あき子
    ●三十二歳、会社員。都内にはたくさんシティホテルがオープンしますが、私の住んでいる西武池袋線はシティホテルがあまりないようで寂しいです。自宅から気軽にホテルまで朝食を食べにいったりしてみたい。


    宿泊日 2003年1月1日〜2日
    宿泊代 お正月料金で一人一泊二食で二万八千円(サ込・税別)。


    毎年、私の両親と夫の四人で恒例になっているお正月旅行。今度はどうしょうって考えているうちに、時期は十月下旬で、気になっていた宿はすでに満員。Hanakoの温泉特集を手当たり次第電話して見つけた宿が修善寺ホテルだった。

    自宅に送っていただいたパンフレットから、インドネシアを意識したアジアンテイストな宿で、温泉地によくある「ホテル」と名前がついているが、実際は「旅館」なんだなってこともわかった。

    宿に着いて、パンフレットの通りのフロントとロビーに感動。壁はホワイトを基調としていて、ところどころに配置されたアジアンテイストの家具や布、お花が美しく映えていた。お迎えも非常に丁寧で、入り口で名前をつげてからは、フロントで再び名前を告げなくてもよかった。なぜか女性には靴下をプレゼントしてくれる。

    部屋は201号室の和洋室。ここはかなり増改築を繰り返しているようで、フロントから部屋までは、エレベーターを二回乗り継ぐ。部屋からお風呂までも、外にある橋を渡らなくてはならず、意外にも遠い。201号室は、ロビーやフロントなどと違って、一目見て古いことがわかる。ビックリしたのは部屋の廊下にあるアコーディオンカーテン。ホテルが目指しているアジアンテイストのインテリアが、ガラガラと音を立てて崩れていく感じがした。部屋の風呂、トイレもかなり古そうだ。しかし、トイレはウォッシュレットになっているし、テーブルセットはアジアンテイスト。冷蔵庫も家具の中に入っていて、大きな改装はできないが、ホテルの努力が伺えた。アメニティは普通の温泉宿だが、タオルは色違いのステッチがしてあるタオルで、人のタオルと区別がつくのが便利だった。

    大浴場は、内湯の「桂谷岩風呂」、露天風呂の「満点星風呂」、洞窟のようなところにある混浴の「巌窟風呂」(夜七時三十分?九時三十分は女性専用)の三つがある。すべて浴槽が大きくて気持ち良い。入浴後はポカポカして、外を通らなくては部屋に戻れないこともそう苦痛に感じなくなる。ただし、お風呂の水まわりがあまり良くなく、お湯の出がよいシャワーは他のお客さんと取り合いになってしまうのが辛い。

    うれしかったことは、大浴場に置いてあるシャンプーが石鹸シャンプーだったこと(普通に売られているシャンプーは合成シャンプーと言います)。普段から石鹸シャンプーを愛用している私には非常にうれしい。これはホテルが環境を配慮しているからだそうだ。合成シャンプーよりコストがかかるのに、立派な試みだと思う。

    食事はアジアンテイストのインテリアで統一されたレストラン「樹庵」で。窓際の席は山がよく見えて癒される景色。私達は駐車場ビューだが特に気にならなかった。

    夕飯は一品づつ運ばれる。前菜、酢の物、刺身、伊勢エビの焼き物、ふきのとうの揚げ物、蒸し物、サイコロステーキ、松茸ご飯、椀物、漬物、メロンと種類も豊富。ほとんどのものが調理されてすぐに運ばれてきたようで、おいしかった。特に手長エビの刺身がおいしく、伊豆にきたことを実感した。朝食も湯豆腐、手作りの卵焼き、焼鮭など種類豊富。お米が抜群においしかったのがうれしい。

    このホテルは、パブリックスペースとプライベートスペースの設備のギャップは激しいが、節々に「良いホテルにしよう」というヤル気が感じられた。スタッフは積極的に挨拶をしてくれ、とても好感がもてる。今回はお正月料金で一人一泊二食で二万八千円(サ込・税別)という高額だったのが、通常時は二万円ほどらしいので、数年後に再来したいと思った。

    ■次に泊まる方へ

    洞窟の中のような巌窟風呂はぜひ入浴してください。他にはあまりないお風呂だと思います。食事は、ボリュームがあっておいしかったです。お腹を空かせていった方がいいです。


    *情報誌「ホテルジャンキーズ」Vol.37 2003年4月発行号 掲載記事より抜粋。


    「亀の井別荘」@大分県・由布院温泉

    CS満足度 ハート3つ。私が異常に期待していったせいか、ガックリする場面が多かったです。マスコミが大げさなような気がしました。
    1泊2食36,000円という値段を考慮しても「お値段とおりの施設・サービス」と感じました。



    島埜あき子
    ●だんだん旅行にかけるお金が高くなっていて自分で恐かったのですが、亀の井別荘の前に宿泊した国民宿舎一泊二食六千二百円でも充分満足できて安心しました。旅館・民宿では食事とお風呂重視。


    宿泊日 2002年2月17日〜18日
    宿泊代 一人1泊2食36,000円


    広い敷地の門をくぐるとひっそりと落ち着いた日本家屋が見えた。「番頭さん」って言葉がピッタリの初老の男性が迎えてくれる。

    亀の井 別荘のロビーは薄暗い灯かり。屋内からは手入れされた庭がよく見えて落ち着く。まだ、チェックイン前だったにもかかわらず、荷物を預けロビーに座っていたらお茶とお茶菓子を出してくれた。さすがの対応。お茶もとてもおいしい。ほーっとお茶を飲みながら、ここが夢にまでみた由布院三大旅館のひとつ、亀の井 別荘なのね、と感動に浸った。

    今回、私たちは女性六人で離れの「百番館」という亀の井 別荘でも広い部屋に宿泊した。映画かドラマのセットのような昔ながらの日本家屋。玄関前には番傘まで置いてある。中に入れば広い土間と台所。かまどが二つある。ガスコンロはないが電子調理器がある。部屋は合計四部屋あった。六畳ほどのコタツのある部屋。たぶん本間と思われる床の間付きの部屋。囲炉裏とソファーのある部屋。日本家屋にソファーとは異質な感じがするが、ちゃんと日本風の建物に調和するソファーだ。その隣に八畳の和室。この八畳の和室はお風呂や洗面所に近く、姿見もある。いろいろと着替えなどするための部屋だと思う。

    洗面所は奥まった場所にありダブルシンク。その両隣にそれぞれトイレがある。風呂場にも洗面所があるので、洗面所は三つ、トイレは二つある。女性六人で泊まってもトイレや洗面所を順番待ちすることなく使うことができた。これはすごい。旅館でダブルシンクを見たのも初めてだが、トイレが二つあるのも初めて見た。

    お風呂は庭に面して造られており、大きい湯船の間に扉があり、内風呂と露天風呂が楽しめるという設計だ。露天風呂からは自分達の離れ専用の庭を満喫できた。風呂からは由布岳らしき山は見えなかったが、庭のチェアに座ってのんびりすれば山さえも自分たちが借りたかのように見えた。もはや「離れ」という広さではなく「お屋敷」という感じがする。就寝時はふとん六枚を横一列に敷いてくれた。これは圧巻。大人の修学旅行のようだ。

    大浴場は雑誌で散々見て恋焦がれていたが、いざ自分がその場に立ってみると別にどうってことがないお風呂だった。この内風呂は外から見て美しいお風呂であって、その中に入って美しいお風呂ではないと思う。内風呂の湯船に入って見える景色がよくないからかもしれない。露天風呂は開放感があるが、そう広くないので他人と一緒になると気まずいかも。更衣室は使い放題のタオルもふっくら感がイマイチだし、備え付けのドライヤーがビジネスホテルのようでガックリきた。

    ライブラリーは、運悪く団体客のおばさまの社交場と化してしまっていた。とても本を読むどころではない。しかし、奥の席に座って見える空の景色は素晴らしい。本を読まなくてもライブラリーから空を眺めて欲しい。これは最初に出迎えてくれた「番頭さん」も言っていた。

    食事はすべてお部屋でいただく。 夕食の時間を二十時からお願いして了解してもらえることにビックリした。旅館の夕飯は十八時か十八時半だと思っていた。お料理はどれもこれもおいしいのだが、百番館は料理場から遠いのか、すべてが少し冷めているのが残念。今回は大食いのメンバーが多かったせいか、全体的に量が少ないように思う。健康的な量だ。

    朝食は六人中五人が洋食、私一人が和食にした。私は五穀米がどうしても食べたかったのだ。予想以上に五穀米はおいしい。実は和食の五穀米は百番館にあるかまどを使って炊いてくれるのではないかとワクワクしていたのだが、すでに炊かれたものが来た時にはガックリしてしまった。しかし、本当に残念なのは洋食のパン。パンこそ百番館でトーストすれば良いと思うのだが、すでにトーストされたパンがきたのでパンが冷めている。バターがのっても溶けない。ジャムは梅やいちじくなどいろいろな種類を出してくれおいしかった。

    今回は亀の井 別荘でも一番広い百番館という広い離れに宿泊できとてもよかった。これも六人という人数がそろったからだと思う。由布院は良い宿がたくさんあるので再び訪れるときはきっと違う旅館に泊まるが、亀の井 別荘も良い旅館のひとつとして私の心の中に残った。


    ■次に泊まる方へ

    チェックアウト後に離れの「十七番館」「十二番館」、ホテルタイプの「奥由布」をショールームさせてもらいました。カップルなら「奥由布」がお勧め。内風呂も温泉だし、専用ベランダもあります。

    お土産は敷地内にある鍵屋でのジャムやゆずこしょう、ふきのとう味噌、近所にある醤油屋の「焼きにんにく」がお勧め。

    玉の湯の「ニコルズバー」でのデザート、山荘 無量塔のロールケーキ。由布院はおいしいものがたくさんありました。


    *情報誌「ホテルジャンキーズ」Vol.32 2002年6月発行号 掲載記事より抜粋。


    旅館クルーズ
    @大分県由布院


    亀の井 別荘
    山荘 無量塔


    佐藤真由美
    ●海外は秘境系、リゾート系中心で、お気に入りはラナイ島のロッジ・アット・コエレ。世界三大瀑布を巡る旅、残る最後のナイアガラを訪れるのが目下のテーマです。



    由布院には、有名な「玉の湯」「亀の井別荘」「山荘 無量塔」以外にも、魅力的な宿が沢山あります。土地柄、ホテルより温泉宿が多いように思いますが、他に候補に上げたのは、お料理で「草庵 秋桜」、お風呂で「山荘 わらび野」、旧家を移築した「おやど 二本の葦束」などです。

    いずれも十室程度の宿ですが、それぞれの個性が楽しみで、次の機会には、ぜひ訪れてみたい宿です。由布院は、寛げる温泉リゾートとして何度足を運んでも楽しめる場所として注目しています。選択に迷いましたが、三大旅館から二つ選びました。再び行くとしたら・・・、今回はずした「玉の湯」と、もう一度「亀の井」でしょうか。もちろん、「山荘 無量塔」も十分満足できる滞在でしたが、「亀の井」の印象がピカイチだったので。


    「亀の井 別荘」

    CS満足度 ハート 4つ半。清潔なこと、寝具の良さ。そんな、基本的だけど表立ってない部分への心配りが宿への信頼を厚くしました。残りの半分は、未知なる部分への期待です。


    佐藤真由美
    宿泊日 2001年12月15日〜16日


    昨年十二月に同僚の女性四人で、かねてより憧れていた由布院へ参りました。大分空港でレンタカーを借りた私たちは、少し遠出してしまい、宿、亀の井 別荘への到着は夕方になってしまいましたが、車を駐車場に停めると、すかさず宿の方が荷物を運んでくださって、スムーズにお部屋まで案内していただきました。フロントにも大浴場にも近い、離れの16号室。和室が二間。広いほうの部屋には火鉢があり、また、もう一方には炬燵が用意されてました。チェックイン直後に覗いた、内風呂のヒノキ風呂には、とうとうとお湯があふれていて感激しました。建物自体はずいぶん古いように思いますが、手入れが行き届いており、トイレや廊下、隅から隅まで清潔で、宿に対して信頼感が持てました。

    早速、夕食前のひとっ風呂、大浴場へ向いました。開放的な浴場は、十二月ということもあり、ちょっと寒かったのですが、ゆっくり疲れを取ることができました。脱衣所のマッサージチェアも優れもの。露天風呂は、夜はぬるめでしたが、朝はそうでもなかったです。浴衣の上に羽織る丹前は、腰までのと、足まで覆う長さのと、二通りあり、足まで温かくできて女性にはうれしい心配りです。もちろん、靴下も用意されてます。

    夕食はお部屋でいただきました。地鶏のスープ仕立てに合わせる柚子胡椒が珍しく、すっかり気に入ってしまいました。また、柚子の中身をくり貫いて牡蠣をいれて焼いた柚子釜焼や、白子茶碗、豊後牛温泉蒸など、地元の食材を活かしたお料理は、どれもとても美味しく、幸せな気分に浸れました。そのときは気に留めなかったのですが、お料理を運ぶ「間」が絶妙だと思います。自分たちのペースで、リラックスして食事を楽しむことができ満足です。

    就寝前に、談話室なる部屋を訪ねてみました。離れの所々に、象の置物があり、その鼻の方向を目指すと談話室に到着するという趣向を凝らしてあります。客同士の交流の場といった感じで、ライブラリも兼ねており、ゲームがあったり、お茶がフリーと、暖炉を囲んで和やかな空間になってました。

    そして、特筆すべきは、寝具。リネンがどうこうというのは、よくわからないのですが、とにかく心地よく眠れました。

    朝食は、和食か洋食か選べましたが、全員和食で、後で、半分洋食にして両方楽しめばよかったと少し後悔です。五穀米のご飯がおいしくて、お土産に買って帰りましたが、家で炊いたのと、ここで食べたのは、同じおいしさという訳にはいきませんでしたが、薪で炊いているのでしょうか?

    帰りに外まで見送ってくださった仲居さんは、若くておっとりとした口調の癒し系で、私たちが変に気を使うこともなく、ポイント高し。彼女のお陰で、より寛いだ滞在になったと思います。本館は洋室ですが、ふたりでしたら、そちらも良さそうです。チェックアウト後は、ショップの鍵屋で柚子胡椒などのお土産を買い込み、日曜日で混んでましたが、喫茶の天井桟敷でお茶をし、亀の井 別荘を満喫しました。


    *情報誌「ホテルジャンキーズ」Vol.31 2002年4月発行号 掲載記事より抜粋。


    「山荘 無量塔」

    CS満足度 ハート4つ。自然に囲まれた広い離れでの滞在は日頃のストレスから心を開放してくれます。施設、雰囲気、サービス共満足ですが、欠けたハート1つは、味付けの好みや滞在の気軽さの面で懸念があるところでしょうか。


    佐藤真由美
    宿泊日 2001年12月16日〜17日


    由布院の街中にある亀の井 別荘から、やや山中にある山荘 無量塔への道は、車で十分程度だったかと思いますが、かなりの上り坂です。由布院のだいたいのお宿は、チェックイン時間が十五時と遅目なのが難点です。ほぼ、ちょうどの時間に到着しましたが、駐車場までお迎えの方に出ていただきました。

    お部屋はこちらも母屋から近い「藤」(六人用離れ)。間取りは、1ベッドルーム+和室二間+リビングの一軒家です。さすがに広々としていて、二人だったら、少し寂しい気がします。「藤」は、滋賀県の古い民家を移築したということですが、海外デザイナーのインテリアと融合した空間は、個性的でモダンな感じです。お風呂はイタリアのタイル張りの円形風呂で、この日はとても冷え込み、広い窓の外に舞い散る雪を眺めながら入浴しました。無量塔は、内湯のみで大浴場はありません。

    夕食までの時間、回りを散歩してみましたが、一番大きな「明治の館」は改修工事をやっていたようでした。辺りはひっそりとしており、ほとんど人に会うこともなかったです。「Tan's bar」へ寄ってお茶をいただきましたが、コーヒー、紅茶がフリーで、暖炉が燃え、本格的なオーディオ設備があり、長居してしまいそうです。三世代家族連れとおぼしきグループをお見かけしましたが、家族でひとつの離れに滞在することも一興だと思います。彼らが宿のゲストかどうかは不明ですが、そんな楽しみ方、羨ましいですね。

    夕食はお部屋でいただきましたが、平坦でない外の道を、母屋からお料理を運ぶのは、ちょっと大変かもしれないです。厚みのある器や、籠を使った盛り付けは、素朴さが感じられ、食材の良さを際立たせており、美味しくいただきました。全般的に味付けがしっかりしていて、少し濃い目に感じました。お酒の肴にはちょうどいいかも。地鶏のお鍋や豊後牛は、由布院の定番のようで、こちらでもメニューにありましたが、一晩、二晩で飽きる味ではないので、前の晩と食べ比べながら楽しみました。また、銀杏を荒く砕いて丸めた椀物が絶品でした。そして、食後には、また、「Tan's bar」に足を運び、カクテルを傾けましたが、女四人、しかも、宿の浴衣ならぬ作務衣姿、ちょっとね・・。夜は、かなりオシャレしてもいいんじゃないかと思う洗練された空間です。

    さて翌朝は、うっすらと雪が積もって、さらに降り続いてましたが、傘を差し移動、母屋の個室で朝食をいただきました。ほぼ定番メニューといったところですが、湯豆腐がおいしかったのと、卵焼きは、私的には亀の井よりこちらに軍配です。

    一泊では名残惜しいのですが、チェックアウトし、出発前に三度「Tan's bar」へ。昨晩品切れだったため予約していた、「B-Speak」のロールケーキが目的です。評判に違わず、とっても美味しく、これも、帰りにお店に寄ってお土産にしました。雪道が心配でしたが、女将さんはじめ、スタッフの方々が車を見送ってくださいまして、無事、下山(?)。街の方は、ほとんど雨状態でした。


    *情報誌「ホテルジャンキーズ」Vol.31 2002年4月発行号 掲載記事より抜粋。



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