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ホテル情報誌「ホテルジャンキーズ」掲載記事より抜粋 ホテル偵察記 ホテル利用者の方々が、実名で(誌面上では顔写真付き)身元を明らかにした上で、利用日を明記し、実際に体験されたことをレポートしているものです。 「ホテルクルーズ」は1滞在で複数軒のホテルに泊まった場合のレポートです。 「CS満足度」のハートの数は、利用者の満足度を5段階で表したものです。 ■海外オーベルジュ&マナーハウス■ ホテルクルーズ@英国マナーハウス リッツ(ロンドン) バックランド・マナー(コッツウォルズ地方) ホルベックギル(湖水地方) シャロウベイ・カントリーハウス(湖水地方) ロウアー・スローター・マナー(コッツウォルズ地方) チュートン・グレン(イングランド南部) ドーチェスター(ロンドン) 吉田博一 ●ヨーロッパの場合はルレエシャトーとスモールラグジュアリーの加盟ホテルから選ぶ事が多いです。ここ数年はいわゆるアメリカンスタイルの大型ホテルではなく、部屋数が限られたこじんまりしたホテルを中心に旅のプランを立てています。大型チェーンの中ではポイントが使えるスターウッズ系列かフォーシーズンズが好きですね。 ここ数年は毎年六月にまとめて休みを取り、妻と二人でアジア以外の国を旅する事にしている。今年はイングランドに決めた。 旅のテーマはカントリーサイドのマナーハウスとイングリッシュガーデン。そしてロンドンのクラシックホテルに泊まる事。インターネットの普及のおかげで部屋の写真が事前に見られるので、行く前にあれこれ吟味する事が出来る。現地で思惑が外れてガッカリすることは一度もなかった。 予約は、すべてメールでホテルと直接やり取りすることにしている。インターネットの自動予約とかエイジェントを通じての場合だとカテゴリーのみ指定できて部屋の指定が出来ないケースがほとんどなので。 「リッツ(ロンドン)」 CS満足度 ハート5つ。 宿泊日 2008年6月6日〜8日 宿泊代 860ポンド(2泊) 予約法 メールでホテルに直接予約。 リッツ 格式を誇るこのホテル、リッツのエントランスは非常に小さい。大阪のリッツカールトンのフロントに雰囲気は少し似ているが、それをひとまわり小さくした感じである。回転ドアを押して中に入ると、右にコンシエルジュ・カウンター、左にレセプション、正面に白枠の格子のガラス扉があり、その奥がレストランスペースになっている。 扉の前には正装した、いかにも屈強そうな男が、見張り番としていつも立っている。瞬時に頭の先からつま先まで見て取る特技を備えている。このホテルのドレスコードは厳格で朝食に限りネクタイからは解放されるが、それでもジャケット着用は朝でも義務付けられている。旅の最後に泊まったドーチェスターも風格のあるクラシックホテルで部屋の料金等はさほど変わらないが、ドレスコードの厳格さは比べ物にならない。 リッツのエレベーターに乗ると、狭い上に必ずガタガタ揺れて音がする。これがリッツの歴史というものなのだろうか…。 部屋はグリーンパークが目の前に眺められるデラックスルームで一泊四百三十ポンド。通常レートが六百四十ポンドなので、ウィークエンドレートの三十三%引きはかなりお値打ち感があるが、消費税十七・五%は日本人にとってはかなり重く感じる。 *情報誌「ホテルジャンキーズ」Vol.69 2008年8月発行号掲載記事より抜粋。 「バックランド・マナー(コッツウォルズ地方)」 CS満足度 ハート5つ。 宿泊日 2008年6月8日〜9日 宿泊代 420ポンド 予約法 メールでホテルに直接予約。 このマナーハウスは広い。コッツウォルズ地方のブロードウェイから南西に約十分、車で走ると、牧場の入り口のような太い木で作った大きな門がある。バックランドマナーという文字が見えると自動的に門が開く。広大な芝生の敷地の中心に位置する建物が、まさに貴族の館だ。 サマースペシャルのパッケージ利用で、フルコースディナーと朝食が付いて四百十二ポンド。予約したガーデンルームはフロントのすぐ近くに位置する部屋だった。窓の外にはプライベートガーデンがあるのだが、その庭に出る厚い木の扉が開かない。スタッフに聞くと通常あまり開け閉めはしていないようで、治安上の理由からも無理に開ける事は断念した。インターネットの写真では扉は開いていたのだが…。 このホテルの部屋には鍵が付いていないという。入り口の木の扉のフックに小さなネクタイを掛けておけば、スタッフは誰も入らないそうだ。 このマナーハウスの良さは広大な芝生の開放感で、サッカーの試合でも出来そうな広さである。その芝生の一番奥にローズガーデンがあった。イギリスのバラは六月中旬が見頃で、早いものはもう咲いており、蕾もたくさん付いていた。 ディナーは重厚な感じがするメインダイニングで品の良さそうな老夫婦四組と一緒だ。 *情報誌「ホテルジャンキーズ」Vol.69 2008年8月発行号掲載記事より抜粋。 「ホルベックギル(湖水地方)」 CS満足度 ハート5つ。 宿泊日 2008年6月9日〜10日 宿泊代 730ポンド 予約法 メールでホテルに直接予約。 コッツウォルズからさらに北へ三百キロ。もう少し北へ足を伸ばせばスコットランドという場所に湖水地方はある。旅行の前に、子供の頃一度も読まなかったピーターラビットの絵本を読み、作者であるベアトリクス・ポターの映画を観てこの日に備えた。ヒルトップ農場には、平日にも関わらず世界中からたくさんのファンが来ており、これじゃ動物達も迂闊には出て来られないなと思った。 ホルベックギルは、もともと狩猟用の館でウィンダミア湖を見下ろす高台に位置しており、見晴らしが良い。予約した部屋はさらに一段高い別棟の「ミス・ポター・スイート」。ベランダから望む景色は素晴らしいの一語に尽きる。ベランダにはジャクージもあるが、水着が必要。 部屋は玄関を中心に二部屋に分かれており、それぞれに薄型テレビとオーディオが設置されている。リビングには「ミス・ポター」のDVDと、主演したレニーゼルウィガーのポスターが壁に飾ってある。ウェルカムシャンパンとチョコレート、バラの花束がテーブルに用意されていた。 一泊の料金は、フルコースディナーと朝食が付いて六百五十ポンドである。ロマンティックパッケージをリクエストしていたので別に八十ポンドかかったが、やはり頼んでおいて良かった。食事の前にシャンパンを一本空けてしまうと食事中のワインはグラス一杯で充分だ。うん、バランスは取れている。このパッケージにはバックマッサージも含まれるので、翌日の出発前にしてもらった。 *情報誌「ホテルジャンキーズ」Vol.69 2008年8月発行号掲載記事より抜粋。 「シャロウベイ・カントリーハウス(湖水地方)」 CS満足度 ハート5つ。 宿泊日 2008年6月10日〜11日 宿泊代 540ポンド 予約法 メールでホテルに直接予約。 観光客で賑わうウィンダミア湖をさらに北へ向かうと、大きな湖がまだ幾つか点々とあり、その内のひとつウルスウォーター湖のほとりに静かに佇む瀟洒なホテルが、今日泊まるシャロウ・ベイ・カントリー・ハウスだ。 到着すると黒いドレスに着飾ったマダムが出迎え、パブリックスペースの案内をしてくれる。シャンデリアが立派なメインダイニングの豪華さに驚き、ライブラリーから間近に眺められる満々と水を湛えた湖の美しさに感動した。 ホームページで見て、あえて本館ではなく、一マイル半離れたバンクハウスのジュニアスイートの部屋に決めていたので車ごとそちらに移動だ。 バンクハウス・バネッサの部屋で、ディナーと朝食が付いて、一泊五百四十ポンド。本当にあるのか不安になるほど離れていたが、看板が見えた時はホッとした。バンクハウスは同じく湖岸沿いだが、少し上から眺める立地になっている。木の温もりが感じられる二階建て建物の二階の部屋で、アンティークな食器が部屋のあちこちに何気なく飾られており、淡いローズピンクのソファーが広々とした部屋の心地良いアクセントになっている。 テーブルにはハーフワインが用意されており、グラス片手に湯舟に浸かると、思わず溺れそうになった。このホテルのバスタブはガリバーサイズで、寝そべっても足が届かない。 食事はディナーが本館のメインダイニングで、朝食はバンクハウスの一階でいただくことになっているので、二度楽しめる感じだ。ここでの食事は特に美味しく、イギリスではないような、と云えばイギリス人に怒られるかもしれない。 *情報誌「ホテルジャンキーズ」Vol.69 2008年8月発行号掲載記事より抜粋。 「ロウアー・スローター・マナー(コッツウォルズ地方)」 CS満足度 ハート5つ。 宿泊日 2008年6月11日〜12日 宿泊代 536ポンド(3食付き) 予約法 メールでホテルに直接予約。 北の湖水地方から再び南に戻ること、三百キロ。昨晩、ディナーの前に話をした英国人老夫婦がロンドンから三日かけてやってきた道を、たった一日で引き返すという、日本人現役職業人ならではの技を使った。 ただでさえハードなスケジュールなのに、途中高速道路でリバプールの看板を目にした時、どうしてもビートルズに会いたくなり、リバプールに寄り道した。キャバーン・クラブに行き、駐車違反のステッカーのお土産を持って、今日の宿、ロウアー・スローター・マナーに向かう。 マナーハウスは、蜂蜜色したレンガの村々のほぼ中央に位置している。教会の隣にあり、コッツウォルズの村の景色に実に良く溶けこんでいる。 ここからは小川の水が綺麗なボートン・オン・ザ・ウォーターの村にも歩いて行ける。 予約した部屋は、本館二階の「ニーナ」というジュニアスイート。このタイプの部屋でサマーパッケージを利用すると、コースディナーと朝食、それにピクニックランチが付いて、五百三十六ポンド。 この部屋からは、建物正面の芝生にパラソルが四本立った美しい庭を眺めることができる。部屋は昨日のホテルと同じくらい広い。僕はセパレートになったスイートルームより、リビングと寝室が一体となったジュニアスイートの方が好きだ。 この部屋は、全体に薄いベージュのトーンでまとめられており、バスルームには独立したシャワーブースもあるので使い勝手が良い。 ここにはスパも併設されているので、じっくり滞在すれば、もっと良さがわかるような気がする。スタッフも非常に若くてフレンドリーだ。 ただ、翌朝出発する時に作ってくれたピクニックランチはとっても美味しかったのだが、フォークが入っていなかった。 *情報誌「ホテルジャンキーズ」Vol.69 2008年8月発行号掲載記事より抜粋。 「チュートン・グレン(イングランド南部)」 CS満足度 ハート4つ。 宿泊日 2008年6月12日〜13日 宿泊代 680ポンド(3食付き) 予約法 メールでホテルに直接予約。 いよいよイギリスの南端まで来てしまった。イギリスの景色は高い山がないせいか、丘陵地帯ばかりで国のどこを走ってもセントアンドリュースゴルフ場と云った感じがする。天気も変わりやすく曇り空が似合う国だ。 ここはマナーハウスというよりも、郊外のリゾートホテルという雰囲気である。スタッフも多く、ルームサービスも二十四時間対応だ。 予約したジュニアスイートの部屋は、今まで泊まったマナーハウスと比べると少し狭く、五十平米位の感じである。ここもスペシャルパッケージ利用で、ウェルカムシャンパン、ディナーに朝食が付く。 メインダイニングは建物からガラス張りの温室のように張り出していて、ちょうど南仏カンヌの近くにあるオーベルジュムーラン・ド・ムージャンによく似ている。ディナーの軍配はフランスに挙がるが、朝食のハムとかソーセージは、イギリスで泊まったどこのホテルも結構美味しかった。そして何よりイギリスの紅茶は旨い!と思う。 *情報誌「ホテルジャンキーズ」Vol.69 2008年8月発行号掲載記事より抜粋。 「ドーチェスター(ロンドン)」 CS満足度 ハート5つ。 宿泊日 2008年6月13日〜14日 宿泊代 617ポンド 予約法 メールでホテルに直接予約。 旅の最後の宿泊地であるドーチェスター・ホテルに到着。リッツよりも大きく、人の出入りも多い。 アールデコ・ジュニアスイートルームをウィークエンドの割引レートで予約した。 事前にアフタヌーンティーを予約しておいてよかった。チェックインを済ませて席に着き、三十分もしない内に満席になる。時代を反映してか、中国人の姿が目立ち、買い物帰りの観光客のラフな姿も少し気にはなるが、二度配られた別々のサンドウィッチの美味しさと、しっかり濃い紅茶に、しばし酔いしれた。 イギリス最後の夜、ミュージカルを見た後ホテルに戻り、ホテル一階のメインバーに立ち寄った。有名なこのバーは名前も「ザ・バー」。ジンベースのカクテルを二人とも一杯ずつ飲んだ。ジントニックだけで八種類もメニューにあり、持ってくると、うやうやしくカクテルに香り付けをする。マティーニには香水瓶でシュシュッとひと吹き! 赤いインテリアが印象的なドーチェスター・ホテルのバーで夜が更けていく。ジンが今まで以上にもっと好きになった。 *情報誌「ホテルジャンキーズ」Vol.69 2008年8月発行号掲載記事より抜粋。 ○ クルーズを終えて 今回はレンタカーでまわる事にしたのだが、ヒースロー空港で借りたSAABのステーションワゴンの荷物用ドアの鍵が壊れている事をリッツに着いてから駐車場係から知らされ、初日から市内のAVISの営業所に車交換に行かなければならなかったり、ロンドン市内のクラシックホテルは併設の駐車場スペースがないため一日に付き五十ポンドもの駐車料金がかかったりしたが、それはそれで旅の印象を思い出深いものにした。 今回の旅の目的でもあったイングリッシュガーデンの中で、あまり教えたくないほど素敵な秘密の花園があった。コッツウォルズのサイレンスターの町から少し北に行ったノースサーニー村の教会の坂を少し上がったところにあるイングリッシュガーデンで、薔薇な名も知らない花々が咲き乱れる花園に見え隠れする妻の姿は、いつのまにかうれしそうに走り回る少女の姿に変わって見えた。 「オーベルジュ・ド・カサーニュ」 CS満足度 ハート5つ。施設、客室、食事、サービス、どれをとっても二重◎で大満足でした。スタッフの方も礼儀正しいながらもフレンドリーで好感が持てました。 上野奈穂 ●2011年現在、夫の仕事の関係でセブ島在住。2008年2月掲載当時は独身で東京都在住の会社員。街歩きをする旅行が好きですが、これをきっかけにドライブ旅行も楽しいかなと思い始めました。車での移動は、小さな町に行きやすい、一日にいくつかの町を回りやすい、などが魅力です。 宿泊日 2007年9月21日〜22日 以前より南仏の小さな町や村を回ってみたいと思っていたのですが、なかなかパリから地方へ向かう機会がありませんでした。急きょ遅い夏休みを取れることになり、三日間という短期で南仏プロヴァンスをドライブ旅行することに。 プロヴァンスの小さな村を回るなら、宿はやっぱりオーベルジュでしょう!と、ネットで検索してみました。アラン・デュカス直営のオーベルジュに泊まってみたかったのですが、すでに満室。デュカスが運営するシャトー&ホテル・ド・フランスからプロヴァンスの快適そうな宿を探しました。 選んだのは、アヴィニヨン近くのオーベルジュ・ド・カサーニュ。ル・ポンテ(Le Pontet)という村にあります。地図をプリントアウトしてこなかったので、このオーベルジュに到着するまでが大変。電話でアクセスを尋ねましたが、町中の標識がわかりにくく、何度も迷い、道行く人に何度も訊いてやっと辿り着きました。 駐車場に車を入れているときに、ふと見慣れた看板が目に入ってきました。それはミシュランの看板。まったく知らなかったのですが、そこのレストランが一ツ星を獲得していました。夕食が楽しみになってしまいました。 建物は二階建て。わりとお手ごろな客室を予約したのに、私たちが通されたのは二階のジュニアスイートでした。室内はホワイトとレモンイエローを基調にし、フロアはテラコッタ(たぶん)。ベッドにはグリーンのカバーが掛けられ、カーテンなどのファブリックはローラ・アシュレイを思わせるブリティッシュ調の柄。 ダブルシンクが備わり、シャワーブースが別に設置されているバスルームはとてもゆったりと造られています。ジャクージ機能付きのバスタブは八角形くらいで、シルバーのパネルからお湯が出ます。バスタブの一部が階段状になっていて、そこを伝わってお湯がたまる様子が優雅でした。バスルームにはテレビまで付いていました。 そしていよいよディナータイム。たとえ星付きでなくとも、オーベルジュに泊まるからには、やはり食事が楽しみ。レストランのゲストは皆さん、おしゃれをされていて、そしてなぜか平均年齢が高かったです。私たちが一番若かったような…。ウェイターが食器の上げ下げを少しガチャガチャやるのが気になりましたが、お料理やワインはとてもおいしくいただきました。 朝食も美味で、なんといっても太陽が降り注ぐなか、客室のテラスで食べたのでおいしさ倍増です。朝食セットは、オレンジジュース、生ハム、卵料理、クロワッサン、バゲット、ヨーグルト、シロップ漬けのフルーツ、コーヒーなど。フランスだからか、特にクロワッサンがサクサクとしていて香ばしかったです。 朝食のあとはホテル内をお散歩。お庭は自然のままといった様子です。なぜか卓球台があります。プールは屋外と室内の二つ。屋外プールは陽射しでキラキラしていて、もうすこし時期が早ければ泳ぎたいなと思いました。 お昼頃にチェックアウトする際には、ウェイターがレストランのテラス席のテーブル・セッティングをしていました。青い空の下でのランチはとても気持ちよさそうで、今度はぜひ試してみたいです。 ぜひ再訪し、次回は連泊したいと思えるオーベルジュでした。 ○次に泊まる方へ スタンダードな客室を見ましたが、こじんまりとしていました。庭に面して、客室前で朝食をとることもできそうですが、人の行き来が気になりそう。泊まるならオススメは断然ジュニアスイートです。 *情報誌「ホテルジャンキーズ」Vol.66 掲載記事より抜粋。 ホテルクルーズ@南仏 ロテル・パルティキュリエ(アルル) ヴィラ・ガリシ(エクサンプロヴァンス) バスティードゥ・ドゥ・ムスティエ ムーラン・ドゥ・ムージャン(ムージャン村) ル・サンポール(サンポール・ドゥ・ヴァンス村) ラ・シェーヴル・ドール(エズ村) シャトーエザ(エズ村) 吉田博一 ●神戸市在住。相続コンサルタント、税理士。高校時代に一人でリュックを背負い四国一周無銭旅行を敢行し、地元の人たちの親切に支えられて成功したことがキッカケで僕の旅人生が始まりました。年齢と共に少しずつ旅のスタイルは変わってきていますが、最近ではヨーロッパの美術館巡りとアジアでノンビリする旅、国内ではオーベルジュを訪れる旅が気に入ってます。 年に一度はヨーロッパの美術館を訪れる旅を始めて今年で十年になります。今年はセザンヌ没後百年の年にあたり、彼の故郷の町、エクサンプロヴァンスで大々的にセザンヌ展が開催されるという記事を読んだのが、去年の暮れでした。 昨年、ドイツを車で旅して気ままにゆったり流れる時間が特に気に入り、今年もドライブ・プランに決定。小さな美術館が数多く集まる地域なので、ホテルも小さめの方がいいかと妙な関連づけをし、希望の部屋を確保するために例年よりかなり早めに予約を入れ、旅が始まる前から旅をしている気分ですごす毎日でした。 パリからマルセイユに飛び、空港でレンタカーを調達して七日間の美術館巡り、ホテル巡りの旅が始まります。 「ロテル・パルティキュリエ(アルル)」 CS満足度 ハート4つ。 宿泊日 2006年6月10日〜11日 照りつける太陽、ひまわり、ゴッホ、夜のカフェテラスの絵画の中に自分自身が入ること。そんな思いで訪れた町の片隅にひっそりと佇む瀟洒な館。入口を見つけるのに、近くに車を止めて歩いて探すこと三十分。 やっとの思いで辿り着いたそのホテルは、小さな入口からは想像もつかないほど広い中庭が迎えてくれました。大きな木と澄んだ水をたたえた小さめのプール、テーブルクロスを張ったテーブルの白さがまぶしく感じられます。隠れ家という言葉がピッタリはまるホテル。 朝、早めに起きて、お気に入りのテーブルを選んで食べるパンとコーヒーだけの簡素な朝食。たった一日で一昔前のフランスにタイムスリップしたような気分になれるのが不思議です。 *情報誌「ホテルジャンキーズ」Vol.57 掲載記事より抜粋。 「ヴィラ・ガリシ(エクサンプロヴァンス)」 CS満足度 ハート5つ。 宿泊日 2006年6月11日〜12日 セザンヌが生まれた育った町。彼が何枚も描きつづけたサント・ヴィクトワール山が目の前に広がり、町の中心ミラボー通りでは蚤の市が催される。そんな町の高台に手入れの行き届いたヴィラがあります。 門を潜ってゆるい上り坂を数分あがり、花で飾られたアーチの手前の駐車場に車を停めると、間もなく笑顔を満面にたたえた筋肉質のベルのお兄さんがラフな格好であらわれました。荷物を彼に任せフロントに顔を出すと、またまたフレンドリーなお姉さんが迎えてくれる。まるで親しい友人の家に招かれた雰囲気です。 よく冷えたウェルカムドリンクを飲んだ後、プールサイド横の内廊下を案内され、木の重たい扉を開けると、南仏独特の黄色と青の明るいファブリックで彩られた壁に大きなベッド。木枠の格子の硝子戸を開けると、白いテーブルセットと緑の布張り日向ぼっこチェアが用意されているプチガーデン付きの部屋でした。くつろいでいると、昨日にも増して南フランスを身近に感じます。 このホテルのベストプレイスは、何と言ってもテラス・レストラン。春から秋にかけては夕食も朝食も屋外のこの場所で。二階のテラスからは田園風景が一望でき、一階からのびて二階のテラスの中心を突き抜ける大きな二本のマロニエの木が適度な日陰をつくり、心地良い風が吹き抜けます。 *情報誌「ホテルジャンキーズ」Vol.57 掲載記事より抜粋。 「バスティードゥ・ドゥ・ムスティエ (ムスティエ・サントマリー村) 」 CS満足度 ハート5つ。 宿泊日 2006年6月12日〜13日 車でしか行くことができない景勝地、サンクロワ湖を望む僻地ムスティエ村にある、シェフのアラン・デュカスゆかりのオーベルジュを訪れたのは、三日目の午後。田舎道の途中に牧場の入口を思わせる高さ五メートルほどの大きな木の扉の横にインターホンがあり、名前を告げると自動的にドアがオープン。広大な敷地にレストラン棟が中心に位置し、それを取り囲むようにして芝生の上に一軒家が数軒点在するというスタイルです。 泊まった部屋は、「オリーブ」。リビングにダイニング、ベッドルームにバスルームといった構成で、部屋には暖炉もあり、けっこういい雰囲気です。これだけ広い部屋なのに宿泊料がリーズナブルなのは、やっぱり田舎だからか…。 楽しみにしていた夕食はこじんまりとした屋外のテラスで。さすがなのは、夜になるとレストランが俄然活気づくこと。裏の畑で採れた野菜を中心に料理が踊り、オーベルジュという名を客に思い起こさせる瞬間です。 朝は部屋のダイニングでゆっくりと。テーブルの横の窓をフルオープンにして食べる手作りジャムがパンを喜ばせます。 *情報誌「ホテルジャンキーズ」Vol.57 掲載記事より抜粋。 「ムーラン・ドゥ・ムージャン(ムージャン村)」 CS満足度 ハート4つ。 宿泊日 2006年6月13日〜14日 地中海の観光地、カンヌを北へ約十キロ行った道路脇に、アラン・ロルカの大きな看板が目に入ります。最近、シェフが代わり、元の名前が小さくなっているのが印象的です。ここは都会からほんの少し足を伸ばしたら行ける位置にあり、ディナータイムには正装した人たちが近くの町から集まってくる有名レストランです。 ディナーコースは同じ食材をクラシック、モダン、創作の三種類の調理方法で作られた料理をチョイスできて、これがけっこう楽しい。 今はユーロが高いので、百ユーロを超える食事にワイン代を含めると財布にずしんと来る思いだが、しばし忘れてほろ酔い気分です。 部屋は4号室。ここも独立した一軒家でレストランの入口から少し横に入ったところに入口があります。外観のローカルな雰囲気とはうって変わり、リビングがタイル張りのモダンなスタイルです。快適ではありますが、カンヌ近辺の海沿いのホテルに泊まり、ディナーを楽しむためにわざわざ訪れるのもいいかもしれません。 *情報誌「ホテルジャンキーズ」Vol.57 掲載記事より抜粋。 「ル・サンポール(サンポール・ドゥ・ヴァンス村)」 CS満足度 ハート5つ。 宿泊日 2006年6月14日〜15日 人口六百人足らずの谷あいの美しい村に、絵に描いたような小さな美しいホテルがあります。 ただし、このホテルにたどり着くには相当な運転技術が要求されます。村の入口で道を尋ねると、谷に浮かぶ小さな舟状の村の周りを遊歩道のような狭い石畳の道が村を取り囲むように一周しており、ふつうで考えればとうてい進入できないようなヘアピンカーブを皮切りに、時速一キロ以下、車と壁の幅十センチで走ってホテル下の荷物受け取り場所にようやく到着。ポーターに荷物を預け、石畳の階段をのぼると、小さなホテルのエントランスに導かれます。 部屋は谷を見下ろすロケーションで、青とベージュで統一されたソファとベッドが落ち着いた雰囲気をかもしだしています。 石畳と階段で作られた村は、一周散策するにもさほど時間を要しません。花に囲まれたレストランはここも屋外。 ホテルの宿泊料もディナーやワインの値段も鰻上りに…。もうニースまで近いことを実感! *情報誌「ホテルジャンキーズ」Vol.57 掲載記事より抜粋。 「ラ・シェーヴル・ドール(エズ村)」 CS満足度 ハート5つ。 宿泊日 2006年6月15日〜16日 ニースからモナコに抜ける山沿いの道に位置する鷲の巣村、エズ。その最も高い場所にあるこのホテルは、洗練された大人の社交場といった雰囲気がホテル全体に漂っています。 ホテルといっても一棟の建物ではなく、二階建ての石造りの館がプライバシーを重視して適度な間隔を保って美しく配され、中世の街並みに見渡す限りの地中海の青さが建物に映え、日常からの異空間を演出しています。 泊まった部屋はホテル・エントランス棟の斜め前、レストラン横の4号室。海が見渡せるバルコニー付きのジュニアスイートルームです。部屋の床はすべて大理石で、浴室もジェットバス付きで近代的な設備が整っているのに、そこはやはり伝統を大切にするヨーロッパ。部屋の扉やチェストは建物にふさわしい昔のままの姿で迎えてくれます。 ディナータイムはまず、屋外の海が見えるテラスに案内され、シャンパンを飲んだ後はガラス張りのメイン・レストランに。その日はアメリカ人団体がいて、ミシュラン二ツ星らしからぬにぎやかな雰囲気でしたが、部屋の静けさと対照的で、活気も料理の味を引き立てていました。 *情報誌「ホテルジャンキーズ」Vol.57 掲載記事より抜粋。 「シャトー・エザ(エズ村)」 CS満足度 ハート5つ。 宿泊日 2006年6月16日〜17日 いよいよ旅も終わりの最後の日、ラ・シェーヴル・ドールよりさらに上に位置する一軒の建物が、シャトー・エザです。 私が泊まった部屋は、そのホテルの最上階の屋根裏部屋。ジュニア・スイートルームで名前が「パノラミック」。道路に面した入口の重い木の扉を開けるとすぐに階段があり、のぼるとまた扉がある。さらにのぼって、のぼりきったところが絶景の部屋。 部屋の向きはラ・シェーヴル・ドールより少し西向きでニース方面を向いています。ベランダが広くて特筆すべきはベランダ横に設置されたジャクージ。満天の星空と紺碧の海を眺めながら浴するジャクージは、旅の疲れを癒すと共にしっかりと私の脳裏にその景色を焼き付ける働きをしたようです。 このホテルにはメインレストランのすぐ横に小さな石造りのバルコニーがあり、リクエストすれば、そこでのディナーも可能です。きっとシャトーの良さをより強く感じると思います。 *情報誌「ホテルジャンキーズ」Vol.57 掲載記事より抜粋。 (c)copyright 2011 Hiroshi Mori Corporation, All Rights Reserved. | ||||