CONCIERGE

Q&Aコーナー
ホテルに関する質問
お受けします。



ずっと気になっていたけれど、
あらためて聞くのも今さらちょっと…などと思っていた、
ホテルに関する疑問、質問、ありませんか? 
そんな皆さんのホテルに関する質問をお受けします。
編集部がホテルなど関係者の方々を訪ねて取材し、お答えします。


→館内の別のレストランのものもオーダーできる?
→サービスの際に床に膝をつく所作はどこが出自?
→クローズしたホテルの家具・備品等はどこへ?
→バスアメのお持ち帰り限度は?
→ルームサービスのパスタが伸びない訳




館内の別のレストランのものもオーダーできる?



先日、都内のホテルの鉄板焼きレストランで食事をしていたら、隣席の方が食後のコーヒーはそこが出しているものではなく、館内の別の店のものを飲みたいと言っているのが聞こえました。なんかすごいワガママ言ってるなって思ったんですけれど、その数日後、都内のホテルの和食レストランで、「デザートはフレンチの○△の□△をいただきたいんだけれど」「かしこまりました、お持ち致します」なんていう会話がふつうにされてるのを聞きまして。

私のようなジュニア・ジャンキーにはまったく思いもよらない発想だったのですが、ホテルの世界ではそういうリクエストはふつうのことなのでしょうか?




まず、館内に料飲施設の数が多いことで知られるANAインターコンチネンタル東京の広報推進マネージャー・森直美さんにお聞きしてみました。

「私共のホテルでは、なかなか横断的に店舗を越えてメニューを提供することはできておりません(コーヒーであっても)。比較的一つ一つの店舗規模が大きいため、人員(オペレーション)体制の問題もありますが、それ以前に、その店でしか味わえない価値を提供したいという観点がございます。ホテル内直営店同士であっても、店舗ごとに差別化したいという考え方です。しいて申せば、それぞれのお店が自立できていることが、ホテル全体として見た時に強みとなるからです。(助け合うのではなく)」。

次に、やはり館内のレストラン・バーの数が多い大阪のリーガロイヤルホテルにもお聞きしてみました。マーケティング部の高橋知英さんによると、「弊ホテルのレストランでは、他店の商品をお出しすることは基本的にはございません」とのこと。

やはりそういうのは通常のホテルサービスではないのでしょうか?

そこで、東急ホテルズ執行役員の太田範義さんにもお聞きしてみたところ、こんなご回答をいただきました。

「一流ホテルの和食、フレンチ、中国、コーヒーハウス等でテナント以外の直営レストランでは、このようなお客様からのリクエストはお断りしません。また、この程度のリクエストを" 我儘 "とは受け取りません。

テーブルに着くなり、『今日はアレとアレとアレね』と顧客がリクエストし、出来上がった料理を、『お待たせしました。コレとコレとコレです』と言いながらサービスするなんて、旧東京ヒルトン、キャピトル東急(現ザ・キャピトルホテル 東急)ではしごく当たり前のシーンでした。スタバやマックの持込みは駄目ですが、自分のホテル内で作っている商品は自信を持って出さなければなりません。

それと、お客様は単に食事をするだけでなく遊びに来ているので、遊びなれた方はホテルマン達にわざといろいろな仕掛けをして来ます。それを当意即妙に面白おかしく返して楽しんでいただくのが、一人前のホテルマンの証です。

ジュニア・ジャンキーの読者様、これからホテルのソフトをいろいろと楽しんで、どっぷりジャンキーになって頂きたいです。ただし、はまり過ぎて『入院』しないよう、くれぐれもお気をつけ下さい」。

言ってみれば、ホテルマンとゲストとの「粋」な遊びの世界でもあるわけですね。その域に達するまでには双方ともに修行が必要なようですが。


(情報誌「ホテルジャンキーズ」Vol.90 2012年2月発行号より)




サービスの際に床に膝をつく所作はどこが出自?



前号88号の「僕のホテル日記」の安達晃さんがウェスティンホテル仙台について書かれていた、ラウンジでのサービスの際にスタッフの方が「右足の膝を床の敷物につける所作はことのほか美しく」というのが気になりまして質問させていただきます。

たしかに僕もこれまで日本の他のホテルでは見たことがないと思いますが、ドイツのホテルでウェイトレスが「かしこまりました」と下がる際に、靴のかかとをタンタンと打ち付けるような所作を見たことがあります。

そういえば、旧東京ヒルトン出身の方って皆さん似たような動きをされますよね。ザ・キャピトルホテル東急でもなんとなく見ていて、この人そうだろうなってわかります。で、膝つけ所作はどこが出自なのでしょうか?




まず、ウェスティンホテル仙台のマーケティング部・茂手木美帆さんにお聞きしてみました。

「今回の安達様のエッセイでホテルサービスに対するお褒めの御言葉をいただきましたことは、私どもでも大変ありがたく存じております。ご質問の「膝を床につける所作」についてですが、これはサービススタンダードとして義務付けたものではありません。ラウンジの一部テーブルがやや低めであり、スタッフがお客様に失礼にならないような視線を確保するため、もしくは安定したサービス姿勢を確保するために、場合により行っているもののようです。

安達様のように、その姿勢を良いサービスとして感じていただけるお客さまも多くおられますが、一方で「丁寧過ぎる作法」、「時代的な古さを感じさせてしまう作法」に感じられる可能性もあり、ホテルとしては従業員に義務付けてはいないのが現状です。

ウェスティンホテル仙台は、すべてのお客様に心地よくお過ごしいただけるような、よりきめ細やかなラウンジのサービス提供を目指しております。安達様のコメントは貴重なご意見として参考にさせていただきながら、今後のサービス品質の向上に努めてまいりたいと思います」。

本欄の人気回答者、東急ホテルズ執行役員の太田範義さんによると、

「バーやラウンジで膝立てサービスするのは、メインバーやラウンジのソファやテーブルが低いので、上から目線にならないための気遣いです。小さなお子様へ対応する際も、しゃがんで目線を同じくして話しかけるようにしております。目線を同じくすると、気持ちが通いやすくなるという利点もありますよ。

東京ヒルトンのOBが何となく似たような動きをする理由は、リチャード・ハンデル総支配人をはじめ、マネジメント全員が筋金入りのプロフェショナルで、スマートで格好良く、日本のホテルにない外資系特有の、ある種のバタ臭さが入り混じっており、スタッフにも服装のあり方、立ち方、歩き方、ゲストへの接し方を厳しく躾けていたからです。

挨拶の仕方も違っていて、日本人のお客様に対しては深々とお辞儀せず、アイコンタクトして軽く上半身を傾ける程度。外国からの要人や一般のゲストには、お辞儀せず背筋を伸ばしてアイコンタクトして話しかけたり握手して対応します。日本のホテルマンやJALのスッチーはやたらお辞儀ばかりしてますね。

立ち方はゲストに対して正面向きにならず、左右どちらかの爪先を引いてやや開き気味の角度に立つと、次の動作がし易く、ゲストに威圧感を与えずスマートに見えます。

懐かしの東京ヒルトン…皆背筋がピーンとしておりました。思い出します」。

(情報誌「ホテルジャンキーズ」Vol.89 2011年12月発行号より)




クローズしたホテルの家具・備品等はどこへ?



ホテルがクローズしたり、ブランド替えしたりする際、今まであった家具や備品、食器類、高価そうなカトラリーなど、これらはみんないったいどこに行き、どうなるのでしょうか? なかにはホテルのロゴ入りのものなんかもありますし...。

キャピトル東急などのように、レストラン関係を改装して間もなくクローズ決定したところもあったりして、あの高価な家具はどこに行ったのだろうと気になって仕方ありません。

アメリカの場合、ニューヨークのプラザなどのように一般公開でドアノブでもなんでも何から何まで販売するようですが、日本のホテルの場合、どうなってるんでしょう




旧キャピトル東急ホテルの最後のGMとしてホテルのクローズを実際に体験された東急ホテルズ執行役員の太田範義さんによると、

「ホテルの閉館に伴う家具や什器備品類の処分については、弊社の場合、古い物は廃棄処分し、使用可能なすべての家具や備品をリストアップし、グループホテルへメール配信して希望を募りますので、ほとんどハケてしまいます。地方出張して自社ホテルに泊まると、どこかで見たような家具がロビーに置いてあったりして、「アレ!ここは仙台だったっけ」なんて妙な感じになります。

旧キャピトルでは、スタッフのスキル継承と顧客維持のために赤坂に「オリガミ」と「星ヶ岡」を"DNAレストラン"としてオープンし、ホテルから壁材や家具、備品類をそっくり移動しました。

その他の備品類は前述の通りの手順で処分いたしましたが、顧客から所望された備品類は長期間のご利用に対する御礼として、そっとお渡ししました。

プラザのようにドアノブまで売って改装費用にあてようなんて…いろいろと議論はあると思いますが、私は使った物はただで差し上げるべきだと思います。

ただし、ホテルの家具類はあの広い空間で見るとさほどでもないのですが、個人の住宅へ持ち込むと、とんでもないデカさになり、持て余す場合があるので、お気をつけ下さい。かく言う私も、過去に狭い自宅にデカい家具を持ち込み途方に暮れたことがあります…」。

ちなみに新生ザ・キャピトルホテル東急の「オリガミ」個室手前の壁には、旧キャピトルの「ケヤキグリル」で使用していたケヤキに同店で飾っていた剣持勇デザインの鉄板の模様を彫り込んだものがかかっています。

やはり建て替えのために2009年1月末をもって一時クローズ、来年の初夏に新生ホテルのオープンを控えているパレスホテルのマーケティング室・西村恵美さんにもお話を聞いてみました。

「休館後、パレスホテルでは、できるだけ廃材を出さないよう配慮し、家具・備品で使用可能なものはグループホテル(箱根、大宮、立川)を中心に使用しております。社員に売却したものもございます。なお、絵画は保管をしております。

ロビーにありました世界時計は、ドイツからのお客様でご常連の方のご希望により、お客様のミュンヘンのオフィスへと移し、現在も時を刻んでおります」。

ホテルの姿は消えても、いろいろな所でさまざまなものが今も生き続けているようです。クローズしたホテルの系列ホテルで、「昔はあのホテルにあったモノ」探しをするのもホテルジャンキーとしては楽しいかもしれません。


(情報誌「ホテルジャンキーズ」Vol.88 2011年10月発行号より)



バスアメ、どこまでがお持ち帰りしていい限度?



 私はおかげさまで恵まれた立場にもあり、世界各地の比較的良いと言われるホテルのスイートルームに泊まることが多いのですが、私のホテル泊まりの楽しみのひとつが、バスルームに置いてあるシャンプー、石鹸などのバスアメニティを持ち帰ることです。

実はけっこう貯めこんでおりまして、自宅のウォークインクローゼットには並べて見て楽しむ専用のコーナーも作り、いつも眺めては、ひとりにんまりしております。この趣味もずいぶん長いので、年代ものも地下のワインセラーに保存してあります。

だいたい私が泊まるホテルでは、シャンプー、石鹸などは、一度使用すると、掃除にきたメイドが必ず新品を補充していきます。私はこの新品の方をお持ち帰り用に嬉々としてスーツケースにしまいこむわけですが、連泊する時等、毎日、これが繰り返されます。

さて、質問なのですが、この私のような客をホテルの方は実際のところ、どう思っているのでしょうか? とんでもない客だとブラックリストにでも載ってしまっているのか、こういうことはやめて欲しいと思われているのか、みみっちい野郎だと馬鹿にされているのか、このコーナーを見ているうちに気になりまして、お尋ねしてみようと思った次第です。



 ホテルに取材してみました。

 まず、アマンリゾーツ ジャパンPR担当の関根利江子さんによると、

 「弊社アマンリゾーツでは、オープン当初より、環境問題も鑑み、すべてのリゾートでお持ち帰りの可能なシャンプーやトリートメントなどは置いておりません。ご存じかとは思いますが、詰め替えボトルや瓶などを利用しております。固形の石鹸に関しましては、ご自由にお持ち帰り頂きましても、何ら問題はございません。またそのことにつきまして、ブラックリストなどという発想も全くございません」。

 東急ホテルズ執行役員の太田範義さんは、

 「ホテルのバスルーム・アメニティは費用項目上、消耗品扱いなので、ゲストが持ち帰っても何ら問題ありません。エコを志向するホテルでは無駄に使わない事を歓迎しておりますが、これはゲストに協力をお願いしているだけですから、好きにして良いのです。ホテルのブラックリストに載る事もあり得ないので、心配せず持ち帰ってコレクションを楽しんで下さい。かく言う私も時々宿泊したホテルで好きな香りの物を見つけると持ち帰ります。海外で洒落た灰皿を見つけると(これは窃盗かも?)たまに持ち帰ったりしますよ」。

 ホテル西洋 銀座 のマーケティング担当、田渕美千枝さんは、

 「弊社ではシャンプー等はゲストが少しでもご使用になったものは全て破棄しております。そういった意味で環境への影響を考え、通常バスアメニティをほんの少しご使用になっただけでしたら新しいものは補充していません。但し、2泊以上されるゲストから新しいもののリクエストがあればもちろんご提供しています。ですから、ミミッチイなどと感じているというより、どちらかというと破棄するものについて、もったいないなぁという気持ちの方が強いようです。実際ご質問者のような方は多くいらっしゃるようです」。

 現場のスタッフにも本音を聞いてみました。

 「最初の頃は金持ちなのにって少々驚きましたけれど、今は別になんとも思いません。スイートルームなんか特に多いですよ、そういう方。コレ、もう少しちょうだいなんて言われることもよくありますし」。

 「そんなこと、いちいち気にしてるほど、我々暇じゃありませんわ。一時間に何室っていうノルマがあるんで、もう忙しくて」

 というわけですので、どうぞ心ゆくまでご趣味の世界をお楽しみください。(編集部

(情報誌「ホテルジャンキーズ」Vol.87より)



ルームサービスのパスタが伸びない訳は?



僕がホテル泊まりする時のなによりの楽しみは、ルームサービスです。オーダーするのはハンバーガーとかクラブサンドウィッチとかパスタとか、別にそんなたいしたものじゃありませんが。

で、いつも不思議に思っていることがあるのですが、パスタがぜんぜん伸びてなくて、アルデンテの状態で届くんです。自分で料理する時は気をつけてアルデンテにゆでても、ちょっとぐずぐずしているとすぐに伸びてしまうのですが。ホテルの場合、キッチンから部屋に届くまでって、けっこう時間がかかると思うんですけれど…。あと、オーダーしてから届くまでが早いんですが、スパゲッティだとゆでるだけでも10分くらいかかるもんですが冷凍したものでも使ってるんでしょうか?



 ホテルに取材してみました。

 まず、ハイアットリージェンシー東京では、以下4つが「伸びない」理由だそうです。

 @セモリナ粉の配分がやや多めの乾パスタを使用しています(伸びにくいパスタ)。

 Aデリバリーの時間を鑑みアルデンテの手前で仕上げています(部屋に到着の頃に程よくなります)。

 B細いパスタは使用しません(1.7mm以下は使用していません)。

 Cクリーム系や水分の多いソースのメニューは用意していません(トマトソースとボロネーズのみ用意)。 



 時間は、「乾パスタ使用ですので、それなりの時間はかかります」とのことでした。

 次に、ANAインターコンチネンタルホテル東京の場合。

「当ホテルのルームサービスのポリシーではご注文から15分程度で届けるというクィックサービスを目指しているため、ルームサービスでは生麺の使用が適しているスパゲッティ料理を提供しています。また、レストランでのサービスと異なる点としては、ロングパスタの場合(たとえばミートソース)、麺とソースを別にしてデリバリーしている点が挙げられます。当ホテルではアルデンテで出せているかという点については、パスタ専門店ではないのでご容赦いただいている範囲ではないかと担当コックは申しております」。

 さて、ここで出てきた「生麺」について、調べてみました。ウェスティン淡路、神戸オリエンタルホテル、ANAクラウンプラザ神戸などが使っているのは、淡路島の元々はうどん製麺屋だった淡路麺業の生パスタ。ゆで伸びしないと評判とのことなので、五代目社長の出雲文人さんに取材してみたところ、その理由は3つでした。

「グルテンが多いためゆで伸びしにくいデュラム小麦セモリナ粉を使っていること。卵を入れていること。小麦のグルテンのつながりを強くする製法を取っていること」。

 ルームサービスなどでは運んでいる間にも予熱で調理が進むので、短めのゆで時間にしておくことをおすすめるとのことでした。

 ザ・キャピトルホテル 東急の前身の旧キャピトル東急ホテルの元GM太田範義さん(東急ホテルズ執行役員)によると、

「本当はオーダーを受けてからデリバリーするまでの時間を計算してゆでるのがカッコいいんですが、状況によって難しいことが多いので、ゆで置きしたものをオーダーが入ったら再度ゆでて使用します。まず5分間、塩を3%くらい多めに入れてゆでたものをキープし、オーダーが入ったら塩を入れずに再度30秒から1分間ゆでて使用すればアルデンテに近い状態で届けられます」。

 ホテルそれぞれのノウハウがあるようです。 (編集部)



(情報誌「ホテルジャンキーズ」Vol.86より)

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