LGM ROOM

書き下ろしコラムです。


GM日記
〜「硬」「軟」入れ替わりたちかわり日記


いつも・しゅういち
●東京のホテルのGMを経て、現在、中部圏のホテルGM。東京ヒルトン時代、リチャード・ハンデルGMの薫陶を受け、憧れ、GM像の理想とする。1990年代にアメリカ西海岸に駐在経験あり。


GMが変わればすべてが変わると言われるくらい、
ホテル界では総指揮官たるGMの力は大きい。
ゆえに、求められる資質は実に多岐に渡る。
世のGMたちに語り継がれるのが、次の一節。

A hotelier must be a diplomat, a democrat, an autocrat, an acrobat,
and a doormat.
ホテリエとは、ディプロマット(外交官)であり、
デモクラット(民主主義者)であり、
オートクラット(独裁者)であり、
アクロバット(曲芸師)であり、
そして、ドアマットである。

そう、GMとは、たとえドアマットになろうとも
しぶとく生き残った者なのである。

スリラーのダンスのごとく、
前進に見せながら後進もできなくてはいけないし、
何より、逃げ足は俊足でなくてはいけない。

そんないくつもの顔をあわせ持つGM、
いつも・しゅういち さんが
「硬」「軟」入れ替わりたちかわりに綴る、GM日記です。


  • 「軟派」系 Vol.1 ホテル「ウン」営とは 2012.11.29
  • 「硬派」系 Vol.2 叱りたいけど叱れない 2012.11.29
  • 「軟派」系 Vol.3 天井裏の少女ゲスト(?) 2012.12.3
  • 「硬派」系 Vol.4 オーナーシップ問題 2012.12.5
  • 「軟派」系 Vol.5 ここは何処、私は誰〜れ? 2012.12.10
  • 「硬派」系 Vol.6 バトラーがソムリエの父? 2012.12.11
  • 「軟派」系 Vol.7 バグ違い 2012.12.17
  • 「硬派」系 Vol.8 特掃とは? 2012.12.17
  • 「軟派」系 Vol.9 とんでもサービス 2012.12.25
  • 「硬派」系 Vol.10 ゲストとの距離感 2012.12.26
  • 「硬派」系 Vol.11 今年のホテル界を振り返り 2012.12.27
  • 「軟派」系 Vol.12 振り返れば、…姦しい1年でした。 2012.12.28
  • 「軟派」系 Vol.13 カウント・ダウン 2013.1.7
  • 「硬派」系 Vol.14 いつも新年のホテルだといいのに… 2013.1.7
  • 「軟派」系 Vol.15 卵事件 2013.1.16
  • 「硬派」系 Vol.16 サービス料の功罪 2013.1.18
  • 「軟派」系 Vol.17 レコグナイズ 〜俺だよ、俺! 2013.1.21
  • 「硬派」系 Vol.18 実は儲からないディナーショウをやる訳 2013.1.22
  • 「軟派」系 Vol.19 ゲストが「美味しい!!」という時 2013.1.29
  • 「硬派」系 Vol.20 アベノミクス成功祈願! 2013.1.30
  • 「軟派」系 Vol.21 見ていると幸せな気持ちになりますよ!「つるし雛」 2013.2.1
  • 「硬派」系 Vol.22 ホテル界のパワハラ問題 2013.2.2
  • 「軟派」系 Vol.23 ホテルマンもビックリ!な高額消費者 2013.2.5
  • 「硬派」系 Vol.24 頭の痛いブライダルビジネス 2013.2.6
  • 「軟派」系 Vol.25 バースデーに思うこと 2013.2.14
  • 「硬派」系 Vol.26 入社3年目のホテリエのあなたへ 2013.2.14
  • 「軟派」系 Vol.27 外資系で私は見た、ゴマすりの効用 2013.2.18
  • 「硬派」系 Vol.28 「RVP」って、何だかご存知ですか? 2013.2.19
  • 「軟派」系 Vol.29 単身赴任ホテリエは、ますらお派出婦 2013.2.23
  • 「硬派」系 Vol.30 ああ、素晴らしき哉、職人ホテリエたち 2013.2.23
  • 「軟派」系 Vol.31 ホテリエの「こらえ性」が試された「サル之助事件」。 2013.3.4
  • 「硬派」系 Vol.32 再び、サービス料について 2013.3.4
  • 「軟派」系 Vol.33 まさかの第4弾! これはウンがついてきた…。 2013.3.8
  • 「硬派」系 Vol.34 ブラック企業になってはいけない 2013.3.9
  • 「軟派」系 Vol.35 カイチュウがいるからこそ… 2013.3.13
  • 「軟派」系 Vol.36 仁義ある世界 2013.3.18
  • 「軟派」系 Vol.37 ホテルのスピリッツを一瞬で伝えたあるホテリエ 2013.3.18
  • 「軟派」系 Vol.38 一瞬でその場の空気を変えたホテリエ 2013.3.22
  • 「硬派」系 Vol.39 リノベーションなくして未来なし 2013.3.22
  • 「中軟派」系 Vol.40 ビッグウェイヴの予感 2013.3.27
  • 「硬派」系 Vol.41 ヒルトン・マフィア 2013.3.30
  • 「硬派」系 Vol.42 帝国ホテルの人材登用 2013.4.1
  • 「軟派」系 Vol.43 ピッカピカの1年生 2013.4.2
  • 「硬派」系 Vol.44 クレイマーという人種 2013.4.4
  • 「硬派」系 Vol.45 バアサンさんの「クレイマー」についてのご質問にお答えします 2013.4.5
  • 「軟派」系 Vol.46 ピッカピカの一年生! 2013.4.8
  • 「軟派」系 Vol.47 「クレイマー」ご質問にお答えします(2) 2013.4.9
  • 「軟派」系 Vol.48 人生のグレート・ヴィンテージ 2013.4.10
  • 「軟派」系 Vol.49 ホテルに潜む虫との闘い 2013.4.15
  • 「硬派」系 Vol.50 ホテルにおける「リーマン後遺症」 2013.4.16
  • 「軟派」系 Vol.51 ゲストの為に「しゅういち」は断固戦います。 2013.4.25
  • 「硬派」系 Vol.52 ホテリエのダンディズムを教えてくれた人 2013.4.26
  • 「軟派」系 Vol.53 酔っ払いゲストの今夜の泊まり先 2013.4.30
  • 「硬派」系 Vol.54 男の矜持〜やせ我慢とも言う 2013.5.1
  • 「軟派」系 Vol.55 叱〜ら〜れて〜、しか〜ら〜れ〜てぇ〜 2013.5.7
  • 「硬派」系 Vol.56 ホテルマンも野球と同じ、基本が大切 2013.5.9
  • 「硬派」系 Vol.57 これじゃ無理。官僚たちのインバウンド政策 2013.5.13
  • 「硬派」系 Vol.58 バアサンさんのご質問「ホテルマンの基本って何?」にお答えします。 2013.5.14
  • 「硬派」系 Vol.59 新人研修 いったいあれは何だったのか? 2013.5.16
  • 「硬派」系 Vol.60 「夜の帝王」ならぬ「夜の低能」 歌うホテルマンと呼ばれて 2013.5.17
  • 「硬派」系 Vol.61 ホテルマンは"モテるマン"か? 2013.5.23
  • 「硬派」系 Vol.62 ホテル・ランキングなるもの 2013.5.24
  • 「硬派」系 Vol.63 バアサンさんのご質問
    「ホテリエが気にするホテルランキングって?」にお答えします。 2013.5.31
  • 「硬派」系 Vol.64 バアサンさんのご質問
    「ホテルがランキング対策してるって疑惑、ホントなの?」にお答えします。 2013.6.4
  • 「硬派」系 Vol.65 新卒採用面接 その基準はいかに? 2013.6.5
  • 「硬派」系 Vol.66 食品名偽称問題について 2013.6.11
  • 「硬派」系 Vol.67 新卒採用そのⅡ いまどきの学生…。 2013.6.18
  • 「硬派」系 Vol.68 入院しました…。 2013.6.24
  • 「硬派」系 Vol.69 バアサンさんのお見舞いにお礼申し上げます。 2013.6.25
  • 「硬派」系 Vol.70 バアサンさんのご質問「ホテルマンに多い病気って何?」にお答えします。 2013.6.26
  • 「硬派」系 Vol.71 [静寂]という事 2013.6.29
  • 「硬派」系 Vol.72 「社員教育」日系ホテルと外資系ホテル、どっちのやり方が良いか? 2013.7.8
  • 「軟派」系 Vol.73 入院して習得したこと。 2013.7.9
  • 「硬派」系 Vol.74 復活! 無事退院しました。 2013.7.16
  • 「硬派」系 Vol.75 バアサンさん、退院お祝いありがとうございます。 2013.7.19
  • 「硬派」系 Vol.76 ロイヤルベビー誕生につき便乗商法やります! 2013.7.27
  • 「硬派」系 Vol.77 バアサンさんのご質問「ホテルのタオル等のお持ち帰り問題について」にお答えします。 2013.7.31
  • 「硬派」系 Vol.78 続 バアサンさんのご質問「ホテルのタオル等のお持ち帰り問題について」にお答えします。その2 2013.8.2
  • 「硬派」系 Vol.79  2013.8.3 なんちゃって外資系〜!
  • 「硬派」系 Vol.80  2013.8.12 ルームサービスをどうするか
  • 「軟派」系 Vol.81  2013.8.13 GM界、渡る世間は"ハゲ"ばかり
  • 「硬派」系 Vol.82  2013.8.14 「ルームサービス問題」についてのバアサンさんの質問へのお答えします。
  • 「硬派」系 Vol.83  2013.8.16 バアサンさんの「コーヒーショップ問題」について
  • 「硬派」系 Vol.84  2013.8.22 ホテルと香り、ホテリエと匂い
  • 「軟派」系 Vol.85  2013.8.28 たまには発散しないと…シナトラやってみる?
  • 「硬派」系 Vol.86  2013.9.2 女性たちよ、GMを目指せ!
  • 「硬派」系 Vol.87  2013.9.6 バアサンさんの「『女性たちよ、GMを目指せ!』に質問だわね!」にお答えします。 
  • 「軟派」系 Vol.88  2013.9.13 ああ!なんて刺激に満ちたホテルマンライフ
  • 「軟派」系 Vol.89  2013.9.17 私のピアノだ!
    ホロビッツがピアノを弾いた夜
  • 「軟派」系 Vol.90  2013.9.21 マイケル・ジャクソンの”同行者”バブルス君担当だったホテリエ
  • 「軟派」系 Vol.91  2013.9.24 マイケル・ジャクソン第二弾! ダンスレッスン用に改装された部屋
  • 「硬派」系 Vol.92  2013.9.30 アベノミクスは効いているか?
  • 「軟派」系 Vol.93  2013.10.1 頭が痛い”とんでもゲスト”
    「お浄めさせていただきます」?!
  • 「硬派」系 Vol.94  2013.10.7 これも頭が痛い、子連れゲスト問題
  • 「軟派」系 Vol.95  2013.10.22 GMだって、落ちる!
  • 「硬派」系 Vol.96  2013.10.24 今の日本ホテル業界の実態
  • 「硬派」系 Vol.97  2013.11.5 食品表記問題について言わせていただきます。
    「魔女狩り」ですか?
  • 「硬派」系 Vol.98  2013.11.6 バナベイって高級海老?
    値段が高ければ高級ということならば…。
  • 「硬派」系 Vol.99  2013.11.12 パンドラの箱を開けちゃった…。
  • 「硬派」系 Vol.100  2013.11.13 ”名古屋飛ばし”しなかった、エリック・クラプトン
  • 【連載終了のご挨拶】  2013.11.13 皆さん、ご愛読ありがとうございました! NEW!




  • ■「軟派」系 Vol.1  2012.11.29


    ホテル「ウン」営とは


    某月某日、高齢のお客様がチェックアウトした部屋に、鼻歌なんか歌いながら入ったメイドさんが、床や椅子、ベッドに散乱する大量のウンチを発見!

    早速マネージャーに報告したところ、何故か副総支配人までもが部屋に参上。爽やかな朝の気分を一転させる惨状に暫し絶句しつつ、GMに報告が来る。私は「今ちょっと手が離せない」・・・とか言って卑怯にも現場検証は避ける。

    部屋にはお詫びの置手紙がありましたが、カーペット張替え、シーツ、タオル、椅子カバーの取り換えと脱臭などで、数日間の売り止め保証等々・・・何と、合計数十万円をお客様に請求する事になりました。たかがウンチ、されどウンチ。ちなみに副総支配人はその日の昼飯(味噌カツ丼)抜いてました。

    これが本当のウンの付き、などと言っていたら5日後に再びゲストがウンチを残して逃走騒ぎ。Oh! Shit! Bull Shit!! 1週間に2度の阿鼻叫喚! 二度あることは三度ある。これは何かの祟りかと思い、熱田神宮の神官にお祓いして頂かなくてはと真剣に悩みましたが、その後何とか落ち着きました。

    ハウスキーピング支配人に「ホテル名変えようか、ヒリオット・ソソウシアなんてどう?」と言ったら睨みつけられました。

    皆さん、ホテル「ウン」営は一筋縄では行きませんぞ。


    ■「硬派」系 Vol.2  2012.11.29


    叱りたいけど叱れない


    現在はホテルマネジメントの歴史上最も人事管理が難しい時代になりました。

    ホテルは職人集団ですから、先輩が先ず職場での礼儀作法を躾けるところから始まり、仕事を厳しく教える為に怒鳴る、殴る、蹴る、は当たり前で、皆そういう体験を経て一人前になって来ましたが、現在はコンプライアンスの導入で、大きく様変わりし、やった人は処罰されます。会社には訴えを専門に受付けるセクションがあり、以前では歯牙にもかけられなかった事でも取り上げて処罰の対象にします。

    実際はやられる方にも問題がある事が多いのですが、結果だけが取り上げられ、経験値の高い中堅社員が経験の無い社員に直訴されて降格させられたり、配置転換させられ、気骨のある職人は矛盾を感じて退社してしまう事も多発しております。

    この為に先輩が後輩を厳しく指導する気風が薄れて来て、本当に困っているのですが、訴えられると会社が負けるので自衛せざるを得ません。この現象はホテルに限った事ではなく、一般企業も同じですね。

    私が20年前に居た頃のアメリカと同じ状況がこの日本で起きております。勇気を持って叱る事、時には殴って教える事の大切さって…ありますよね。 受ける側が幼少からの人格形成に問題がある場合は論外ですか。


    ■「軟派」系 Vol.3  2012.12.3


    天井裏の少女ゲスト(?)


    過日、有名なミュージシャンのコンサートがあり、市内のホテルはファンの若者達の宿泊で湧きかえりました。

    コンサート前日の深夜、ホテルの警備員が従業員専用エレベーターで各階をチェックしていたところ、高層階のエレベーター・ホール天井の一部が落ちて穴開き状態。不審に思い踏み台に乗って穴から天井裏を見たら、何と人間の足がある。

    思わず「サダコだ〜!」と叫びたくなるのを我慢し、小さな勇気を振り絞って「誰だ!」と誰何したところ、若い女性が這い寄って来たので、天井から引きずり出しました。

    コンサートに来たけれどお金が無くなったので、昔ホテルで働いた経験を生かし、裏の非常階段を使って高層階に忍び込み、絶対に見つからない天井裏へ忍び込んでハウスステーションからブランケットを盗み出し、2日間生活していたとのこと。

    呆れながら感心する我々の前で悪びれた様子もないので、どうしようか・・・と思案しましたが、家屋不法侵入として警察へ引き渡し、地方から飛んで来た母親に

    ホテルの損壊賠償金を支払ってもらいました。 ところが翌日再び天井に穴が開いており、同じ少女を発見。母親に連絡すると「申し訳ございませんが、お金は支払いますので泊めてやって下さい」とのこと。

    ”懲りない根性”と”ホテルの裏事情に精通”している点を評価し、当ホテルにヘッドハントしようか・・・?と言ったら人事課長が複雑な顔をしておりました。

    「やってくれるねお若いの! 見上げたもんだよ屋根屋のふんどし」




    ■「硬派」系 Vol.4  2012.12.5


    オーナーシップ問題


    現在日本のホテル業界は20年前のアメリカそっくりです。

    オーナーの大半はファンドで、
    運営会社は海外の有名ホテルブランド。
    目的は、利益を最大化し、別なファンドに売却して
    キャピタルゲインを得ること。

    外国人GMとスタッフが高度なマニュアルで教育するので、
    勉強にはなるが安い給与条件でかなりの負担が掛かるので、
    長続きせず離職率が高くなるという弊害が常態化します。

    余裕のないファンドではなく、
    ホテル本来の存在意義を知っていて
    崇高な哲学を持ち、経営能力があるオーナーでなければ、
    従業員が離職せず高いモチベーションを持ち続け、
    地域社会に根差した本当に良いホテルを
    育む事はできません。

    ホテルのオーナーシップの在り方について考えさせられる此の頃です。


    ■「軟派」系 Vol.5  2012.12.10


    ここは何処、私は誰〜れ?


    深夜、森閑としたホテルのロビーに一人の女性が現れ、フロントに近寄り、じーっとこちらを視ているので「ご到着でしょうか?」と聞いたところ返事がない。

    「どちら様でしょうか?」とお名前をお聞きすると、「私の名前は金山京子(仮名)です」という返答が返って来たので、予約リストを調べても名前が無い。

    ご住所は?と聞くと「大阪かもしれない」「私は何をしに来たのですか?」という訳の分らぬ答えが帰って来る。

    身元不明者が迷い込んで来たか宿泊者と判断し、取りあえず別室へお通しする。

    フロントで家族連れで宿泊している部屋を調べていたところ、宿泊者から「連れがいなくなった」という問合せが入り、氏名、性別、年齢、特徴が同じなので引き合わせたところ、ご本人と判明し、めでたく?一件落着。

    実はこの様なケースが最近増えつつあります。
    ホテル内を徘徊し、違うゲストの部屋へ入ろうとしたり、パジャマのまま非常階段に出て大騒ぎになったり(これは常人でもありますね)。

    ハンデを背負った身内の方とホテルに宿泊する時には、必ず身元証明の札を体に付けておいた方が安心出来ます。

    たとえホテルでも一旦部屋から出た時から行方不明になりますし、もし外へ出てしまえば勝手が分らない街中で大変な事になりますのでお気を付け下さい。


    ■「硬派」系 Vol.6  2012.12.11


    バトラーがソムリエの父?


    ソムリエの起源について調べていると、面白い説を発見。

    昔、ヨーロッパの貴族や富豪達はバトラー(執事)を中心とした大勢の召使いに囲まれて暮らしておりましたが、彼らはワイン等をストックする酒蔵を所有しており、その仕入れと管理はバトラーの重要な仕事になっておりました。

    当然ワインを仕入れる際に試飲するので、自然に舌が肥えてきます。昼日中から試飲しておりますので、バトラーにはアル中が多かったようです。

    時代が変わり、貴族が地位と富を失うと同時にバトラー達も失職し、ワインの専門家として酒蔵で働くようになり、レストランでゲストの前に出て、色々な質問に応えたりサジェスチョンするようになったのが、ソムリエの起源だという説ですが、これは説得力がありますね。

    多分ソムリエでも知らない人が多いと思いますよ。


    ■「軟派」系 Vol.7  2012.12.17


    バグ違い


    夕方、客室からベルデスクへ電話が入りました。
    外国人ゲストが「ビッグ・ブラックバグ!!」と叫んでいる。

    電話を受けたベルマンが、大きいトラベルバッグを下げるのだと思い、
    慌てて大きめのカートを押して客室へ向かい、
    「バゲージダウンに来ました」
    と言ったたところ、ゲストが怪訝な顔をして
    「違うよ、ブラック・バグだよ」。
    指差すデスクの下周辺に何と「ゴキブリ!!」。

    ベルマンはそれで、ブラック・バグ=ゴキブリと
    理解したのです。
    確かにそいつは大きかった。


    ■「硬派」系 Vol.8  2012.12.17


    特掃とは?


    「特掃」いわゆる特別清掃のことですが、
    これを実施しているホテルは極めて少ないようです。

    入念な清掃をかける場合も特掃と言ってますが、
    本来の特掃は全く別物で、掃除というよりも
    修繕に近いものです。

    ドアノブを外して内側を修理し磨く、
    通風孔のケースを外し中の錆を落として塗装する、
    ベッドのヘッドボードを外して中を清掃する、
    ベッドのマットを裏返して特殊な掃除機で清掃する、
    家具の傷みを修理する、
    バスルームもバスタブ、シンク、トイレの
    主に裏側を磨き上げる、
    シャワールーム内の器具類など取り外して
    内部を修理し磨くなど…。

    丸1日かけて1〜2部屋を徹底的にやり、
    これを365日繰り返します。

    これによって、施設の劣化を防止し、
    ゲストの安全を確保し、修繕費用の節約にもなります。

    非常に良い手法ですが、技術的な問題があるので
    実行出来るホテルが少ないのです。

    ちなみに私がGMを担当したホテルは全て実施して来ました。

    ホテル業界でも本当の「特掃」を知っている人は極めて少数だと思います。


    ■「軟派」系 Vol.9  2012.12.25


    とんでもサービス


    現在のホテルでは人件費削減のために、サービス要員を外注し、配膳人と言われる人達が時間給で派遣されて来ます。

    以前、ホテル業界には、いろいろな現場を渡り歩くプロのウエイターが存在し、下手なホテルマンがバカにされるほどレベルの高い配膳人がおりましたが、今は注意して見ていないと目を覆うばかりの酷い人が紛れこんで来ます。

    サーバーが使えない、ワインやシャンパンの開け方や注ぎ方がわからない、料理のことはてんでわからない、で・・・当然ゲストは犠牲になります。

    いわゆるブッカケと言って、着物にワインを注ぐ、頭にシャンペンをかける、ソースをズボンにふりかける・・・質問には答えず、シカとして去って行く。

    頭髪は今流行りの立ち髪で逆立つ眉毛。お〜恐ろしや!

    後の始末はすべてホテルが負う・・・という悲惨な状態になります。

    そう、彼らはほとんど独身でフリーターが多く、生活はギリギリ。自宅へ帰るとカップラーメンばかりで、本格的な洋食など食べた事も見た事もない。そんな人たちが一流ホテルでサービスなど出来る訳がない。

    しかし、それを配膳会社に文句付けても、「人が集まらないんですよね〜」の繰り返しで埒があきません。

    本当にこれじゃアキマセンね。



    ■「硬派」系 Vol.10  2012.12.26


    ゲストとの距離感


    ホテルでは、「接客はひっつきべったりではなく、
    適度の距離感が大切」と教わります。
    これが意外と難しい。

    よく言われるのは、10フット・ルールだの、5メートル・ルールだのという、あらかじめ決められた距離ですが、
    これは間違い。
    人の感じ方は千差万別ですから、基準はありません。

    15メートル近付いたら「ニッコリ笑ってアイコンタクト!」、
    そして5メートル近付いたらお名前を呼びましょう!
    でも、眼が悪い人、作り笑顔が嫌いな人、
    軽々に名前を呼ばれるのが嫌な人、トラブルを抱えて悩んでいる人・・・には効力なしですし、逆に嫌われます。

    そもそも、ホテルサービスに標準化など設定することが
    間違いなのです。

    ゲストとの距離感は、その時の状況によって
    当意即妙に使い分けるもので、
    どの時点でアイコンタクトするのが良いか、
    声掛けはどの時点で・・・など
    ホスピタリィティ講座で教わっても、
    実際の場ではあまり役に立ちません。

    長年修行を積んだプロのホテリエ達は、
    ゲストの目つきや表情の動きを良く観察しています。
    常連客でもちょっとした表情の動きを見逃しません。

    その場に応じて最も適切な対応の仕方が出来ることが
    正しい接客の在り方です。

    いや〜人間様とのお付き合いは難しいですね。
    でも、努力を重ねて行くと、
    時々信じられないような感動のシーンが生まれるんです。
    だからホテル業は一回経験すると止められません。



    ■「硬派」系 Vol.11  2012.12.27


    今年のホテル界を振り返り


    今年もあと僅かになりました。
    前々年も多事多難な年でしたが、
    前年は特に大惨事に見舞われ、
    ホテル業界はリーマンショックからやっと立ち直りかけたのに
    直撃を受け、再び惨憺たる状況に陥りました。

    現在は客室部門が見事に立ち直っておりますが、
    デフレに苦戦する料飲部門は依然低迷したままです。

    我々マネジメントは、
    政府主導の思い切った経済施策を切望しておりましたので、
    早速改革に動き始めた安倍総理の手腕に
    大いに期待しております。



    ■「軟派」系 Vol.12  2012.12.27


    振り返れば、…姦しい1年でした。


    災難は糞害から始まり、先週再び、
    三度目の糞害に見舞われました。
    皆で顔を合わせ、「長い間ホテルマンやっているけど、
    これって始めてだよね」。
    痛糞やるかたないとはこのこと。

    サダコの侵入やら徘徊人やらで、姦しい1年でした。

    一方、私は1年3ヵ月かけて35キロの減量に成功し、
    晴れて普通体型のオジサンとしてデビュー出来ました。

    36着のスーツやカジュアルウエア—を全て投げ捨て
    退路を断ち、両国での買い物を卒業し、
    デパートで普通に買い物をする喜びを再確認し、
    洒落っ気が出て来ました。
    飛行機では座席に入りきれなかった腰が、
    今では楽々入る。

    「普通っていいな〜」と独り言なんか言ってます。

    来年も普通の体型を維持します!!
    太っている人へ・・・いいことないよ!
    痩せなさい!

    どうぞ良いお年をお迎えください。



    ■「軟派」系 Vol.13  2013.1.7


    カウント・ダウン


    大晦日に、当ホテル初のカウント・ダウン・イベントを
    開催しました。

    メインロビーに特設ステージをセットアップ。
    最初は何人集まるのか不安がありましたが、
    それは杞憂でした。
    11:00PM頃から続々とゲストが集まり出し、
    あっという間に広いロビーはゲストで埋め尽くされました。

    バンド編成はピアノ、ウッドベース、ギター、ドラムスとくれば
    当然ポップスかジャズ系のヴォーカルですよね。
    ところが、ドレスアップしたクラシック系の実力派歌手を
    起用し、オペラのアリア、ポップスなどを取り混ぜ、
    歌唱法もクラシックからポップスへ
    見事に変化させてくれました。
    あまりの上手さに拍手喝采!
    曲が進むに連れてゲストの喜びは最高潮に。

    そして事前にシャンパンをゲスト全員へ渡し、
    12時直前からカウントダウンを開始。
    5〜・4〜・3〜・2〜・Happy New Year!

    カップルはキスする、中高年カップルは手を握り合う、
    一人者はひたすら飲みまくる、
    ホテルマンも一緒に新年の到来を祝う。

    年末はこれですよ! これ! 
    何は無くともカウント・ダウン。

    アタシゃ〜来年もやりますよ、ゲストの為に。



    ■「硬派」系 Vol.14  2013.1.7


    いつも新年のホテルだといいのに…


    新年おめでとうございます。

    師走の慌ただしさとは打って変わって、
    年明けのホテルは、
    晴れやかで爽やかな雰囲気に包まれます。

    私は昨夜のカウントダウンで明け方3時に仮眠しただけで
    再び現場へ復帰。
    でも、この正月の雰囲気は何とも言えない良さがあります。

    まず、正月早々なのでゲストは滅多に怒りません。
    お客様も従業員同士も、皆ニコニコして顔を合わせる度に
    「おめでとうさんね」。

    前年あれほど叱られたことが嘘のような豹変。
    何か粗相をしても「あ〜いいよ、いいよ」と言って頂ける。
    中には「お年玉」までくださるゲストも・・・。

    日本人の性格の良さ、品位の高さを感じる数日間です。
    毎日正月だと、ホテルマンの退職率が下がるのではないかと
    つくづく感じる元日でした。



    ■「軟派」系 Vol.15  2013.1.16


    卵事件


    昨年6月から単身赴任初体験をスタートした。
    しかもいい歳して・・・。

    日頃からカミさんに任せっきりだった家事というものが、
    けっこう大変だという事を、イヤというほど思い知るこの頃。

    先週のある朝、前夜に茹でておいた卵の殻をむいて
    ソーセージと一緒に器に入れラップし、
    チンしてホッカホカのやつにマヨネーズを垂らして、
    さ〜いってみようか! とフォークを卵に刺した瞬間、
    パン!という乾いた音とともに、
    あたり一面真っ黄色い粉が飛び散り、
    顔、ワイシャツ、膝、テーブル一面、床が
    黄色い雪原と化したのです。

    殻の下にある薄皮を剥いてなかったために、
    パンパンに膨れた中身が飛散したことに
    気付いた時は後の祭り。

    おい! おまえ、ホテルマンだよな〜。
    恥ずかしいですね。飛散/悲惨。
    食文化がどーしたこーした言えないよね。

    しゅういちの新年は、恥と反省のスタートでした。



    ■「硬派」系 Vol.16  2013.1.18


    サービス料の功罪


    サービス料は、都内某有名老舗ホテルが始めたシステムで、
    初期の頃は従業員に還元されていたようですが、
    いつの日からか会社の収入になってしまいました。

    チップ制が廃止されてから久しいですが、
    今や日本のホテルのスタッフはすっかりサラリーマン化し、
    サービス力は低下する一方です。

    チップ制が徹底している欧米では、
    ホテルやレストランに入ると、
    プロたちの徹底したサービス力を
    見せつけられる事が多いですが、
    これはチップ制が原動力になっております。

    安い基本給なので、生活をかけて必死に技術を磨いている
    欧米のホテルスタッフと、
    さほど多くない収入でサラリーマン化し、
    小さく固まってモチベーションが上がらずにいる
    日本のホテリエ達とでは、差が開くいっぽうです。

    会社側は労せず10%の収益を得るので有難いことですが、
    チップとは、車にハイオクガソリンを入れるような
    効果を出すものなので、
    ホテル業界はCSだのなんだのお題目を唱えている前に、
    この制度を改定してゲスト満足度を上げる努力をするべきです。



    ■「軟派」系 Vol.17  2013.1.21


    レコグナイズ 〜俺だよ、俺!


    俺はここでは顔なんだよ! 顔!
    と、お連れ様に得意げに話しつつ入口を入った瞬間、
    山田様いらっしゃいませ!!
    とあちこちで名前を連呼され、
    山田様の顔は見る見る紅潮し、
    鼻の穴は北島三郎になり、
    背筋はそっくり返り、
    歩く速度に余裕が生まれます。

    レストランに入り席へ着くなり、
    「今日はアレとアレね」と言うだけで
    ウエイターがニッコリ頷き、
    「コレとコレ」が出て来る。

    お連れ様は、「山田さん〜凄いね。あんたは偉い!」
    という感嘆の表情で横顔を見、
    山田様は気付かぬ振りをするが、
    どうしても口角が震えながら上がってしまう。

    そして、
    精算時につい多目のチップを置いてしまい、
    後で後悔する。

    でもこれが必要なんですよ、ホテルには。
    ゲストはレコグナイズされる事がとても嬉しいのです。

    私は同じ経験を、海外の一流ホテルで何度も味わいました。
    天井に頭がぶつかる程嬉しくなり、
    多目のチップを置き、
    そして、後悔しました。

    しかし、今時、これがきちんと出来るホテルは
    少ないですね。



    ■「硬派」系 Vol.18  2013.1.22


    実は儲からないディナーショウをやる訳


    ホテルは何故か、
    クリスマスにディナーショウを開催します。

    どこも有名ミュージシャンを使い、
    高額で販売しているので、
    ホテルが随分儲かっているのだろうと
    一般の方達は憶測していると思います。

    ところがどっこい、これが意外に儲からない。
    第一に、ギャラがとんでもなく高い。
    特にクリスマス時期は、
    有名ミュージシャンで1千万円以上。
    それに広告宣伝費やら、各種経費を入れ、
    料飲経費を加えると、
    完売しても、手残りは数%で、
    たいがいはトントンか、赤字になる。

    残念なことに、欧米と違って、
    日本には黙っていても売れるミュージシャンなど
    2〜3人しか存在しないので、
    チケットを割引したり、相当無理して売らねばならない。

    こんな儲からない事は止めたら?
    というのが経営者からよく出る見解ですが、
    一流のグランドホテルには「華やかさ」が必要で、
    特に、皆が沸き立っている時期には面白い企画を開催し、
    楽しさを求めるゲストの期待に応えるべき、
    というのがホテリエの見解です。

    この事で、毎年、経営者とホテリエとの葛藤が繰り返され、
    ホテリエは経営感覚がズレている、
    という悪評が経営者の間に定着しております。



    ■「軟派」系 Vol.19  2013.1.29


    ゲストが「美味しい!!」という時


    ホテルは人の五感を満足させる仕事です。
    なかでも「味覚」は、最も印象深く記憶されるので要注意!

    もっぱら「触覚」に邁進して来たワタクシ「しゅういち」としては
    かなり気遣いを求められる部分です。

    店の雰囲気・装飾・テーブルコ—ディネート・サービス・
    BGM・料理のプレゼンテーションの全てが調和して
    はじめて「美味しい!!」という感嘆符が付けられます。

    反面、前記のどれか一つでも欠ければ
    「不味い!!」のそしりを免れません。

    私は以前、楽しい食事中に突然停電になり、
    途端に料理の味が分らなくなった経験があります。

    人の五感はかくもデリケートなんですね。
    え〜! おまえだけだよ、そんなの・・・
    なんて言わないで。



    ■「硬派」系 Vol.20  2013.1.30


    アベノミクス成功祈願!


    厳しい冬の時代から、やっと春の気配が感じられる此の頃。
    と言っても季節感ではなく、
    このデフレという厄介な環境のこと。

    我々ホテル業は、
    景況がそのまま結果に表れる業種のひとつです。
    給料は上がらず、ボーナスも出ず、昇格も名ばかりでは、
    働く社員達のモチベーションは下がる一方。

    難しい経済学の事は分りませんが、
    アベノミクスが景況感に変化を与えているのは事実です。
    円安はインバウンド・ビジネスに勢いを加えておりますし、
    日本の産業の最大多数が輸出産業なので、
    この円安で助かっている企業は相当数あり、
    宴会部門への波及効果は、
    おそらく半年から1年後に出てくると思われます。

    お金を握ったままの高年齢資産家は、
    株高で余剰金を使い始めるでしょうから、
    レストラン営業にも波及すると思います。

    日本経済が正常化すれば、給与水準も上がり、
    ユニクロで衣料品を並んで買い、
    着る前にメイド・イン・チャイナのタグを切り取る事も
    せずに済みます。
    着たい、メイドインジャパン! グンゼの下着!



    ■「軟派」系 Vol.21  2013.2.1


    見ていると幸せな気持ちになりますよ!「つるし雛」


    2月1日から3月3日まで、
    我がホテルのメインロビーに
    「つるし雛」が飾られます。

    ロビーの一角に大きな藤棚のような枠組みが作られ、
    色鮮やかな布地で作られた
    たくさんの小さな可愛らしい雛人形が、
    長い紐で吊るされている様は本当に見事です。

    愛知県長久手市大治町「雅の会」の皆さんが、
    未来ある子供達の成長を願い、
    たくさんの人達から寄贈された古い着物をもとに、
    一針一針心を込めて作りました。

    この「つるし雛」の由来は、江戸時代後期から。
    初節句を迎える娘の成長と良縁を願って作られ、
    それぞれの雛に
    意味や決まりごとがあると言われております。

    「つるし雛」見ていると幸せな気持ちになりますよ。



    ■「硬派」系 Vol.22  2013.2.2


    ホテル界のパワハラ問題


    オリンピック柔道監督のパワハラが問題になっておりますが、
    実は我がホテル業界にも、
    昔からパワハラとセクハラが常態化しておりました。

    最近はコンプライアンス遵守を厳しく通達されており、
    やった本人は事の是非を問わず処分されますので、
    発生件数も少なくなりました。

    当の本人は、
    「口で言っても分らないので手が出た」とか、
    「馬や牛は鞭打って教育するでしょう。やつは牛以下です!」
    などと減らず口をたたきますが、
    「君はオランウータンですか?」
    と切り返し、
    元巨人軍ピッチャー桑田氏の高邁な言葉を読ませ、
    しかる後に、問答無用でバッサリやります。

    殴って教えても、
    スキルは上がらないし信頼されません。

    私も若い頃に蹴られたり引っ叩かれたりしましたが、
    有難いなどと思った事は一度もありません。

    辛抱強く、工夫しながら、人に教える事は、
    自分を鍛える事でもあります。



    ■「軟派」系 Vol.23  2013.2.5


    ホテルマンもビックリ!な高額消費者


    婚礼の目玉商品として、スイスの超高級時計メーカー
    フランクミューラー社との共同企画で
    「50人で680万円」の婚礼商品を発表したところ、
    何と、数件申し込みがありました。

    一人単価136000円の高額婚礼商品ですが・・・。

    このエリアにはこのような高額商品を、
    何ら躊躇うことなく購入する方々が存在しているのです。

    昨年も、当ホテルでポルシェの展示即売会があり、
    たった1日で、何と5億円の売上があり、
    主催者も驚いておりました。

    7000万円のポルシェのオーダーが
    数台入ったそうですが、
    この地には、
    家族全員がフェラーリ所有!
    という方も存在します。

    いや〜! なんともはや、
    ホテルマンもビックリですよ!



    ■「硬派」系 Vol.24  2013.2.6


    頭の痛いブライダルビジネス


    ホテルにとって婚礼は、今最も頭の痛いビジネスです。

    原因は、「ハウス系」と言われる婚礼特化型の競争相手が
    あちこちに出現したことです。

    彼等の特徴は、ホテル・ビジネスとは無縁の企画集団が、
    ホテルや専門式場の優位点と弱点を徹底的に分析し、
    周到な準備をもとに宣伝費を投入して大々的に告知し、
    受けの体制を構築して婚礼市場に参入した点です。

    ホテルは婚礼だけに特化した施設ではないので、
    弱点を集中的に突かれると案外脆いもの。
    結果、連戦連敗で「婚礼廃業」に追いやられるところも
    続出している始末。

    それでも土日祭日を埋めるには
    法事や同窓会だけではヴォリューム的に話にならず、
    結局、婚礼に頼らざるを得ません。

    挙げ句の果てに、
    知恵も資金もないホテル間で割引合戦が常態化し、
    互いの足を引っ張り合い、利益を低下させている。

    マーケットを研究し、
    常に新しい視点で商品を作り、
    テーマを明確にした空間コ—ディネートを実施し、
    人材を育成し、
    広告宣伝費をケチらずに頑張らなければ
    結果は出ません。

    いやはや婚礼はシンドイ商売ですね。



    ■「軟派」系 Vol.25  2013.2.14


    バースデーに思うこと


    2月11日(建国記念日)は私のバースデー。
    と言っても高齢の域に達しているので、
    喜びよりも無事に年を重ねたという安堵感が強いです。

    何故か年を重ねるごとに優しくなって来たカミさんは、
    英国製の帽子とセカンドバッグをプレゼントしてくれました。

    スタッフ達からは暖かい寄せ書きを贈られ、感激!!

    ビートルズ世代としては、
    まだまだ元気でホテルマン出来そうですが
    「老兵は去るのみ」とか
    「男は引き際が肝心」
    などと言う言葉が頭を過ります。

    「同窓会、互いにお辞儀で立ちくらみ」
    といった川柳が身に沁みる此の頃、
    やはり・・・引き際・・・。



    ■「硬派」系 Vol.26  2013.2.14


    入社3年目のホテリエのあなたへ


    ホテリエ目指して入社し、
    無我夢中で働いて、
    気がつくと3年目に突入。

    親兄弟、友人達にはいっぱしのホテル論などを
    言いたくなる頃ですが、ふと自身を省みて、
    専門性も無く経験値も少なく、
    果たしてこのままやって行って大丈夫なのかと考える。
    私の3年目はそんな状態でした。

    ホテリエとして大成するには、
    とにかく、猛然と仕事をして
    体に覚え込ませる事が大切です。

    そして優秀な先輩をじっくり観察し、
    良い点を自分に取り入れる。

    また、「井の中の蛙」状態にならないために
    同業他社を見る事が必要です。

    我々の時代はホテル経営に関する書物が無かったので、
    経営学の本を片っ端に読んで、
    ホテル経営に置き換えて考えるようにしましたが、
    今はホテル経営の専門書がたくさん出版されているので
    勉強しやすいですね。

    それと、語学力(特に英語)を鍛える事が
    ホテリエとしてステップアップする大切な条件です。

    私は給料が安かったので、
    もっぱらラジオ放送(810KHzやNHK英語会話)の
    お世話になりました。
    また、英語圏から来たゲストに積極的に話しかけたり、
    観光ガイド役を買って出たりして実践力を付けました。

    こうした努力が実って、
    当時憧れだった東京ヒルトンホテルに
    入社出来たのが28歳の時で、
    これがホテリエ人生の分岐点になりました。

    ホテリエ3年目の皆さん、努力は必ず報われますよ。



    ■「軟派」系 Vol.27  2013.2.18


    外資系で私は見た、ゴマすりの効用


    ゴマすりは日本の専売特許ではなく、
    洋の東西を問わず当たり前に行われております。

    日系と外資系の両方に勤務した私は、
    彼らのスリ方を子細に眺め、
    感心したり呆れたりの連続でした。

    特にアメリカ系のゴマすりは半端ではなく、
    日本人が裸足で逃げ出したくなるような
    徹底したものです。

    元々プレゼンテーションが得意なお国柄ですから、
    それはもう・・・満面笑みを浮かべ、
    オーバーアクションで、
    「貴方様の為に私は存在する」
    の姿勢でやってくれます。

    でも、上手くゴマすられると
    実に気持ちがいいんですよね。

    私の元上司は、仕事はともかく
    ゴマすり専門で有名なお方。

    スリ下手な私を捕まえて、
    「お前は本当に下手だな〜、
    俺はコレだけで役員になったんだぞ。
    もっとゴマすれ!」
    とマジ顔で私に説教垂れました。

    「そんな事言っても性格っていうもんがあるでしょう」
    と反論すると、
    「バカ野郎〜! だからお前は駄目なんだ!」
    と叱り付ける始末。

    この上司は私を結構可愛がってくれたので
    有難いと思ってはおりますが、
    この教えだけは出来なかった・・・。

    まあ、確かにゴマも仕事のうちなんですよね。



    ■「硬派」系 Vol.28  2013.2.19


    「RVP」って、何だかご存知ですか?


    ホテル業界の客室収益の優劣を図る指標として
    RVP Revenue Per Available Rooms、
    通称「レヴパー」があります。

    これは客室総売り上げを
    販売可能な客室数
    (out of order,house use,compを外した室数)
    で割ったもので、
    ホテルが如何に上手に客室を販売したか
    を見る指標として世界中で使われているものです。

    昔は、収入と室単価しか存在せず、
    稼働はともかく、単価が高いホテルが
    一流であると言われておりました。

    高度経済成長期では、
    ホテルを建設すれば労せず儲かりましたから、
    稼働と室単価だけを見ておりましたが、
    デフレ基調が継続して来た現在は、
    価格のバランスを取りながら、
    ボトム・中間層・上層の積み上げを調整し、
    アップセルなどで単価を上げて行く手法を取っております。

    外資系では、
    客室レベニューマネジメント専門のシステムを
    買ってRVPを上げているホテルが多いようです。

    理想はRVPが限りなくラックレートに近付く事です。



    ■「軟派」系 Vol.29  2013.2.23


    単身赴任ホテリエは、ますらお派出婦


    単身赴任も7ヵ月を過ぎ、
    炊事・洗濯・アイロンかけも手の内に入り、
    街を歩くと八百屋の店先で立ち止って
    野菜の値段を見ている自分に気付き、
    こんなはずでは・・・と思いながらも
    安売りミカンやブロッコリーを買いこんでおります。

    女性社員との会話も生活感に溢れて来て、
    笑顔も話し方も何となく女性的になって来て、
    茶椀を持つ手の小指が自然に立って来たり・・・、
    困ったな〜と思う此の頃。

    このまま単身生活を続けると、
    末路は性転換か・・・と本気で心配しております。

    どうしたらいいの!



    ■「硬派」系 Vol.30  2013.2.23


    ああ、素晴らしき哉、職人ホテリエたち


    我がホテルの若手パティシェ2人が、
    フランスのリヨンで開催された
    菓子職人の世界大会
    「ク—プ・デュ・モンド・ド・ラ・パティスリー」で
    見事に「銀賞」を受賞しました。

    これは当ホテルの実力を、
    日本をはじめ世界中に知らしめた誇るべき快挙です。

    私は今、彼らがインタビューに応えて
    「後輩を育てるために菓子を作った事はないが、
    自分の背中を見て後輩が何かを感じてくれたら・・・」
    と語った言葉の重さを噛み締めております。

    こういう姿勢の先輩がいればこそ、
    きっと後を追いかける若手職人が育っているに違いない。

    リーダーシップは言葉も大切ですが、
    リーダー自身が懸命に研鑽している姿を見せる事が
    最も大切です。

    当ホテルのパティシェ部門は、
    シェフ自身が「金賞」を2回受賞しており、
    常に厳しい背中を見せているが故に、
    後に続く優秀な若手が輩出されているのだと
    確信しております。



    ■「軟派」系 Vol.31  2013.3.4


    ホテリエの「こらえ性」が試された
    「サル之助事件」



    我がホテルでは、あの「猿之助」の
    歌舞伎とトークショウを含めたディナーショウを
    4月30日に企画しました。

    今回は猿之助を襲名して初めてホテルで開催する
    ディナーショウです。

    人気絶大な若手歌舞伎役者ですから、
    売れ行きは上々。

    過日、会議でこの件が話し合われた際、
    司会役の課長が大真面目な顔で
    「サルのスケのショウについて・・・」
    と言った瞬間、議場は水を打ったような静けさになり、
    互いの顔を見ないように、腹筋に力を込め、
    中には顔を真っ赤にして吹くのを堪える管理職もおり・・・、
    危険がいっぱい。
    こらえ性のないやつがいなかった事が
    不幸中の幸いでした。
    我がホテルの管理職は偉い!

    それにしても、
    知らないという事は恐ろしい。



    ■「硬派」系 Vol.32  2013.3.4


    再び、サービス料について


    2/25発売の情報誌
    「ホテルジャンキーズ」96号で、
    サービス料、チップの話が随分盛り上がっているようですが、
    ホテルジャンキーの皆さんは流石に遊び慣れておりますね。
    海外の有名ホテルやレストランが続々出現し、
    それぞれのやり方が紹介され、
    居ながらにして情報を入手出来ます。

    サービス料は、
    会社側の都合で収入を上げる手法として
    実施されている事に間違いありません。

    欧米では、変わりやすい消費税を
    吸収する手段にもなっているのでしょう。
    商品そのものを値上げすると
    消費者から反発を買いますが、
    「サービス料」だと文句を言い難いことは事実です。

    本来は、値上げに値するヴァリューで勝負するべきなのに、
    サービス料の加算で誤魔化すとは・・・
    情けない。

    やはり廃止すべきですよ。
    サービス料などという誤魔化しは
    止めましょう。



    ■「軟派」系 Vol.33  2013.3.8


    まさかの第4弾!
    これはウンがついてきた…。



    いったいこのホテルはどうなっているのか・・・。
    確かに収益は改善されつつあり、
    ウンがついて来たとは思いますが、
    まさかの第4弾!

    今回は子連れのお客様で、
    ベビーコットのシーツに付着しておりました。

    客室係が指摘すると、猛然と逆切れし、
    「うちの子供のウンチは黄色いのよ、
    これは茶色でしょう、誰か他の人よ!」

    そして、しまいには、
    「DNA鑑定に出すからシーツを頂戴」
    とおっしゃいました。

    ウンチのDNA鑑定は聞いた事がないので、
    ホテル専属の医師に聞いたところ、
    ウンチでDNA鑑定するのは極めて難しく、
    大量に採集した物が必要で、
    しかも中に血液や細胞が混入していなければ駄目だし、
    それを選別するのは至難であるとの見解でした。

    そのうち、激していた感情が沈静化し、
    無事に和解しました。

    子を守ろうとする親の気持ちもわかりますが、
    DNA鑑定とは・・・驚きました。

    でもひとつ利口になりました。
    ウンチでDNA鑑定は出来ない! 
    裁判所の方も知らないと思いますよ、これは。



    ■「硬派」系 Vol.34  2013.3.9


    ブラック企業になってはいけない。


    今、日本の産業界で話題になっている
    ブラック企業。
    彼らがやっているのは、
    将来ある若者を食いつぶす事です。

    日本のホテル業界では、
    サービス残業が常態化していた時期がありましたが、
    コンプライアンスの遵守が叫ばれてからは、
    かなり減少して来ましたし、
    基本的に働く人達は、
    法の基準に則り守られております。

    しかし、ブラック企業は若者を洗脳し、
    絞りつくし、
    最後に潰す事を繰り返し、
    将来の希望を断ち、
    自殺や廃人に追い込みながら、
    利益だけを追求するという
    卑劣な行為で成長している企業です。

    これから就職先を探す方、
    まさかと思われるような
    有名ファーストフードチェーンや衣料品会社等があるので、
    会社の選定には気を付けて下さい。



    ■「軟派」系 Vol.35  2013.3.13


    カイチュウがいるからこそ…。


    自分のお腹に回虫を飼っているので有名な藤田紘一郎先生。

    回虫が住めないほど清潔な環境を作って来たせいで
    現代人がアレルギー等を引き起こしているそうです。

    最初に飼った回虫は「キヨミちゃん」と命名し、
    5代目でついに絶え、
    今は新しい「ほまれちゃん」を飼っているとのこと。
    なでしこジャパン並みに活発に動いているそうです。

    この先生、糖尿病を患い低カロリー食をやり過ぎ
    髪の毛が抜けて来たので、低糖質食に切り替え
    数か月で10キロ以上の減量に成功。
    私の同類として親しみを感じております。

    先生の名言、「酒も女も二合(号)まで」。
    いや〜、何事も無理しちゃイカンですな〜。

    ホテル業のカイチュウは
    硬軟入り乱れて存在していた面白い人物達です。

    ところが、最近特に甚だしくなってきた
    コンプライアンス遵守により、
    会社にとって問題児だけれど
    ゲストにとっては味のある
    面白いホテルマン達が根絶されました。

    残ったのは、
    普通の真面目だけが取り柄の
    サラリーマンホテリエ達です。

    こんな無個性ホテルでは
    ゲストは楽しくないですね。


    ■「軟派」系 Vol.36  2013.3.18


    仁義ある世界


    都心某ホテルの上級幹部は、元永田町のヒルトンOBで私の後輩。しかも、悪名高いF&B(料飲)部門の出身で、バリバリの族系。

    「てめえ!指詰めるぞ〜!」と怒鳴り散らし、
    部下達は震え上がって言う事を聞く。

    だが、後で涙が出るほどサポートし、
    社長に逆らってでも部下のめんどうを見るので
    みんなカラダを預けている。

    ある時、私が横浜の某ホテルへ転勤になり、
    副総支配人が必要で、目当ての人物を引き抜くため、
    彼の所へ仁義を切りに行ったところ、
    二つ返事で了解してくれた。

    ところが、諸事情で私が本社勤務になり、
    副総支配人も遅れて本社へ来てしまい、
    不本意な仕事をやらせる羽目になり、
    困り果てて再度彼のところへ出向いた。
    「こんな訳だから・・・頼むよ」と。

    後日「うちで引き取ります」という連絡を受けた時は
    本当に感謝しました。

    外資系ホテルで高齢者の途中入社はあり得ないので、
    彼が社内でどれほど苦心して根回ししたのかは
    想像に余りある。

    ありがとう、H、いつか必ず恩返しします。


    ■「軟派」系 Vol.37  2013.3.18


    ホテルのスピリッツを一瞬で伝えた
    あるホテリエ



    旧東京ヒルトンへ入社した時、
    新入社員研修で、最も印象的だった事があります。

    ヒルトンシステムをベースに難しい講義が続いた後、
    最後にF&B(料飲)ディレクタ—が入室し、
    着席するなり、
    「俺は多くを語らないので、
    これから起きる事をしっかり見てくれ」
    と言って、会場は暗転。

    入口から真っ白なウエイターコートに
    真紅のバタフライを付けたウエイターがワゴンを押して入室。

    軽快な音楽が流れ始めた途端に
    鮮やかなステップで踊りながら、
    長いフォークに刺したオレンジの皮を
    剣のような長いナイフでむき始めた。

    あまりの鮮やかな手並みに研修生は唖然・茫然・・・。

    そして、ホワイト・キュラソーに火を付け、
    頭上に掲げたオレンジに降り注ぐと、
    青い炎が螺旋状に垂れた皮伝いに回りながら降りて来る。

    美しい・・・。
    みんな絶句している。

    会場が明るくなり、
    「今見せた事がこのホテルのF&Bが目指す方向性である。以上!」
    と言って35歳の若手ディレクタ—は颯爽と去って行った。

    ホテルはエンターテインメントなのだ、ということを、
    百回の言葉ではなく、
    たった1回のショウタイムで
    語り尽くしてくれました。



    ■「軟派」系 Vol.38  2013.3.22


    これぞ職人技!
    一瞬でその場の空気を変えたホテリエ



    旧東京ヒルトンに「ケヤキ」というグリルがありました。

    ここを日本一と言われるレストランに仕立て、
    業界で勇名を馳せた田中進というホテリエがおります。

    ある時、うるさ型の常連客が来店し生ガキ1ダースを注文。
    きれいに盛り付けたカキをサーヴしたところ、
    「これはフレッシュじゃない!
     身が殻を離れているではないか!」
    というお叱りを受けました。

    ウエイターが困っていると、
    当時マネージャーだった田中氏がさり気なく近寄り、
    「承知いたしました。少々お待ち下さい」
    と言って、
    キッチンから殻付き生ガキをバケツ一杯持参し、
    「ご覧の通りフレッシュです」
    と言うなり、白い手袋をはめ、
    見事な手さばきで次々に捌き始め、
    あっという間に1ダースのカキを処理し、
    唖然として見ていたゲストに
    「これから洗って参ります」
    と調理場へ引き返し、
    美しく盛り付けられたカキをサーヴしたところ、
    うるさ型顧客は拍手して大喜びしました。

    複雑に閉じられたカキの殻を外すのは至難の業です。
    何故彼がスマートに出来たのか、後日聞いたところ、
    サービスマンは調理を知らなければならないと思い、
    キッチンへ入り込んで修行していた時期があったとのこと。

    3ヶ国語を自在に操り、
    ケヤキグリルを日本一のレベルに引き上げ、
    わずか35歳で、
    当時ホテリエの憧れだったヒルトンの料飲部長になった人に、
    本当のプロフェショナリズムの一端を教えられました。



    ■「硬派」系 Vol.39  2013.3.22


    リノベーションなくして未来なし


    ホテルは大きな初期投資を伴う施設産業です。

    開業後5年で、壁面・床面の張替や施設の修繕
    といったマイナーチェンジを実施し、
    10年経過すると、デザイン変更を含めた
    大改装(リノベーション)を実施しなければなりません。

    これを放って置くと、経年劣化により
    取り返しがつかない状態に陥ります。

    リノベーションの費用は相当な金額になります。
    ロビー・客室・レストラン・宴会場・
    フィットネス等の付帯施設・調理部門・
    防災施設関連・社内通信設備等々、
    中規模ホテルで数億円、
    大規模ホテルでは数十億円の規模になるので、
    経営者の決断と資金調達力が必要になりますが、
    これが出来ない場合、
    皮一枚の修繕程度で済まそうとする。

    結果、時代遅れの古びた雰囲気と設備が残り、
    改装した同業他社や新設ホテルに負けてしまう。

    この様なホテルが日本全国に存在し、
    ファンドに安く買い叩かれており、
    買われた結果、待っているのは、
    情け容赦無い大量のリストラです。

    こうならないよう、
    経営者は余計な投資を控え、
    毎月出るGOPの2〜5%を
    設備投資の資金として蓄えておき、
    苦しくてもローテーションを守って
    リノベーションを実施すべきです。



    ■「中軟派」系 Vol.40  2013.3.27


    ビッグウェイヴの予感


    1本75万円のロマネコンティが売れました!
    メインダイニングのマネージャーが嬉しそうに報告して来た。

    このところ、鉄板焼きレストランでも高額なワインが売れ、
    中華料理でもビンテージ老酒など
    高額商品が売れ始めた。

    今までデフレ不況で低迷していた
    企業の接待需要と個人需要が伸び始めている。

    ホテルのF&B(料飲)部門は
    その時代の市況を敏感に反映するので、
    下手な評論家の話を聞くよりも正確な動きが分かります。

    アベノミクス万歳!!
    安倍総理のスピード感ある実行力には感服しており、
    育ちの良さの中にも、
    一度地獄に落ちた男の凄みを感じます。

    日本が動き始めたので、
    海外からビジネス客が一気に押し寄せて来て、
    首都圏のホテルは完全に回復しました。

    やっとホテル業界にも明るい兆しが見えて来たので、
    来るべきビッグウェイヴに乗れるよう
    準備しているこの頃です。

    ちなみに、今年度は当社所有の全ホテルが
    利益目標を達成いたしました。
    万歳!!

    お願い!
    このまま何事も無く順調に行ってチョ—ダイ!



    ■「硬派」系 Vol.41  2013.3.30


    ヒルトン・マフィア


    ホテル業界で「ヒルトン・マフィア」と言われる集団があります。

    今から50年前(1963年)に
    外資系ホテル日本第一号店として進出した
    東京ヒルトンホテルは、
    当時世界最先端のシステムで運営され、
    ここで育った大勢のホテルマンが巣立って行き、
    日本のホテル業界に多大な貢献をして来たので、
    俗に「ヒルトン学校」と言われておりました。

    私が入った頃は、リチャード・E・ハンデルという
    大変優秀な総支配人が采配を揮っており、
    彼の薫陶を受けた大勢のホテルマン達が、
    日本のホテル業界に巣立って行き、
    「ヒルトン・マフィア」と呼ばれる集団になっております。

    第一世代は日本ホテル協会会長を務めた中村氏を始め
    多数の優秀な総支配人で、
    現在は第三世代になり、
    日本各地で有名ホテルの総支配人として活躍しております。

    彼らの特徴は「自立したプロのホテルマン」であり、
    クールで群れないという点です。

    各自が独特の匂いを持っており、
    話すとすぐにヒルトン育ちである事が判ります。

    そしてもっと興味深い点は、
    日本だけではなく、海外、特にアメリカの大手ホテル会社は
    全てがヒルトンシステムをベースに
    SOP(Standard Operating Procedures)を
    組み立てているという点です。

    海外でアメリカ系大手ホテルを訪問すると、
    必ずヒルトンのOBがいるのは、
    システムのベースが共通ですぐに馴染むからです。

    ヒルトンは、日本だけではなく
    世界中のホテルに影響を与えているのですね。



    ■「硬派」系 Vol.42  2013.4.1


    帝国ホテルの人材登用


    1992年の或る日、
    帝国ホテルの営業部長だったK氏が、
    ロサンゼルス事務所の若い責任者を伴って、
    同じ地区にある私の事務所を訪問し、
    「Sは私が最も信頼しているスタッフですので、
    宜しくお願い致します」
    と言って深々と頭を下げました。

    私は「何と素晴らしい上司だろう」と感心したのを、
    今でも鮮明に思い出します。

    S氏とはロス時代から親しくお付き合いし
    現在に至っておりますが、
    若いのに頭が低く、率直で人柄が素晴らしい人物です。
    帰国後はあれよあれよと言う間に昇進し、
    総支配人、常務取締役、専務取締役になり、
    先週新聞紙上で遂に社長に就任した事が発表されました。

    彼のために頭を下げたK氏は会長に就任し、
    日本ホテル協会の新会長にも就任されました。

    帝国ホテルは、
    高い理想を持ちオリジナルのシステムを構築し、
    120年間実践と改革を継続している
    日本で唯一断トツのホテルです。

    若手の優秀な人材が大勢育っており、
    世界の主要都市にある一流ホテルには、
    必ず帝国ホテルのスタッフが修行しているなど、
    理想的な人材育成を実施している事が
    それを証明しております。

    新聞発表があった日の深夜、S氏に電話すると
    彼らしい控え目な答えが返って来ました。

    S氏、本当におめでとう!
    心から喜んでおりますよ。



    ■「軟派」系 Vol.43  2013.4.2


    ピッカピカの1年生


    ハイ! 全員起立して〜!
    と言う掛け声と共に
    75人の新入社員が一気にガバ〜っと立ち上がり、
    紅潮した表情で「お早うございま〜す」と黄色い声を上げる。

    社長が名前を読み上げ、
    配属先を告げながら辞令交付が始まると、
    1人ずつ緊張に強張った表情で、
    前につんのめりそうになりながらステージへ上がる。

    女性は絨毯でヒールが安定しないのと緊張とで
    クルブシを挫きそうにガクガクになりながら
    右手と右足を一緒に出しそうになって歩く。

    可愛らしいのと可笑しいのとで、
    つい緩みそうになる表情を堪え、
    威厳を保つのは結構大変である。

    そして、辞令交付式の後、社長が訓話を述べる。

    こう書くと、型に嵌ったやり方だな・・・と
    思うかもしれませんが、
    セレモニーを馬鹿にしてはいけません。

    厳粛な中にも爽やかな緊張感があり、
    社会人のスタートを演出するにはこれが最適だと思います。

    私は42年前の自分を思い出しつつ、
    心の中で呼びかけます。

    「ピッカピカの1年生諸君!
    辞めずに頑張れよ、
    懸命に仕事を覚えて早く一人前になってくれ」・・・と。



    ■「硬派」系 Vol.44  2013.4.4


    クレイマーという人種


    今回は、ホテリエという立場で
    言ってはいけない事を
    敢えて言わせて頂きます。

    ここ数年、日本のホテル業界で起きている
    残念な現象があり、
    日本人が品格を喪失しつつあるのではないかと
    心配になります。

    どこのホテルでも重箱の隅をつつけば多少のミスは出ます。
    所詮人間がやる事ですし、ホテリエの皆が皆ベテランではなく
    不慣れな新人であれば当然失敗します。

    ゲストに重大な損害を与える場合は別ですが、
    些細な問題は注意すればわかりますし、
    ホテル側が丁重に謝罪すれば済むはずです。

    ところが、これを針小棒大にして大声で罵り、
    挙げ句、慰謝料だ、大幅割引だ、
    訴訟する…などとおっしゃる。

    法的には、
    「相当因果関係」を証明しなければ問題にならないので、
    ホテル側が負けることはほとんどないのですが、
    接客業なので、
    「どうぞ〜やるならやって」
    とは言えないのです。

    これを知ってか知らずか、
    忙しい担当者を執念深く追い回し、
    数時間も談判し、金銭的な要求をする。

    日本人はいつから
    このような浅ましい人種になったのでしょう。

    このような方は、ホテルの顧客にはなれません。

    人と人とのお付き合いは、
    角突き合すような事をしては上手く行かない
    という事を考えて頂きたい。

    ゲストには、
    ご自分が居心地の良い空間を作るために、
    時には我々に注意し叱咤しながら、
    多少の事は呑み込んでいただき
    時間をかけて、良い関係を作り上げて頂きたいのです。

    これが出来て本当の顧客と言えるのではないでしょうか。



    ■「硬派」系 Vol.45  2013.4.4


    バアサンさんの「クレイマー」についてのご質問にお答えします


    お早うございます。
    「バアサン・・なんて言っていいのかな」
    質問にお応えいたします。

    クレイマーとは、
    理不尽な手段で
    金銭的な賠償を得るために騒ぎ立てる人達のことです。

    性質が悪いのは、
    予めターゲットを絞って計画的に仕掛けて来る人で、
    こういうケースは実に厄介です。

    *クレイムとは訴訟沙汰に発展する案件で、
     顧問弁護士と一緒に対処すべきです。
     但し、ホテル側の不注意によって
     善意のゲストに被害を与えた場合は
     当然、弁償責任が生じます。

    コンプレインは単なる苦情であり、
    ホテルの担当責任者が誠意を持ってお受けし、
    すぐに対処すれば許して頂ける案件です。

    「バアサン」はコンプレインの事をおっしゃっていると思いますが、 これはホテルにとって有難い事です。

    ご自分にとって住み良いホテルになって欲しいために
    いろいろと「注文する」ことなので、
    ホテルはしっかり受け止めて改善しなければなりません。

    ホテルはこの様に分類して対応しております。

    百戦錬磨のホテリエは、
    少し話を聞けば、
    クレイマーかコンプレインかはすぐに分りますので、
    ご心配要りません。

    コンプレインはホテルにとって薬みたいなものです。
    飲みすぎるとたまに下痢する事もありますが、
    適度な場合は体を活性化させ健康体を維持できますので、
    大歓迎です。



    ■「軟派」系 Vol.46  2013.4.8


    ピッカピカの1年生


    ハイ! 全員起立して〜!
    と言う掛け声と共に75人の新入社員が
    一気にガバ〜っと立ち上がり、紅潮した表情で
    「お早うございま〜す」と黄色い声を上げる。

    社長が名前を読み上げ、
    配属先を告げながら辞令交付が始まると、
    1人ずつ緊張に強張った表情で、
    前につんのめりそうになりながらステージへ上がる。

    女性は絨毯でヒールが安定しないのと緊張とで
    クルブシを挫きそうにガクガクになりながら
    右手と右足を一緒に出しそうになって歩く。

    可愛らしいのと可笑しいのとで、
    つい緩みそうになる表情を堪え、
    威厳を保つのは結構大変である。

    そして辞令交付式の後、社長が訓話を述べる。

    こう書くと型に嵌ったやり方だな・・・
    と思うかもしれませんが、
    セレモニーを馬鹿にしてはいけません。

    厳粛な中にも爽やかな緊張感があり、
    社会人のスタートを演出するには
    これが最適だと思います。

    私は42年前の自分を思い出しつつ、
    心の中で呼びかけます。

    「ピッカピカの1年生諸君!
    辞めずに頑張れよ、
    懸命に仕事を覚えて
    早く1人前になってくれ」・・・と。



    ■「軟派」系 Vol.47  2013.4.9


    「クレイマー」ご質問にお答えします(2)


    バアサンさんのご質問にお応えいたします。

    バアサンさんのご友人、大変でしたね。
    これはホテル側の不手際でゲストに実害を与えたケースです。

    今回は仕立ておろしのスーツなので、
    ゲストが弁償を希望された場合、
    ホテルは100%受けなければなりません。

    クリーニングだけで御了解頂いた場合でも、
    気分を害した事に対して食事券など
    多少の気持ちを添えるべきかと思います。



    ■「軟派」系 Vol.48  2013.4.10


    人生のグレート・ヴィンテージ


    結婚40周年です。
    よくもまあ、こんなにも長期間夫婦やってきたものです。

    と言う事で、普通はどこか有名レストランで豪華なディナー と行きたいところですが、
    以前から秘蔵のワインを開ける機会を狙っており、
    レストランに持ち込むなどという野暮な事はせず、
    極上のステーキを自宅で焼いて
    ワインと共に楽しむことにいたしました。

    オーパスワン1997年!!
    まさにグレート・ヴィンテージと呼ぶに相応しい、
    バランスの良い素晴らしいワインでした。

    以前勤務していた横浜のホテルを退任する時に、
    自分らしいフィナ—レをどうやって演出するか
    前夜、考えた末に、
    秘蔵のシャト—マルゴ—1982年を開けよう
    と思い立ちました。

    一緒に頑張ってくれた部門支配人達と最後の会議を終え、
    ソムリエが入室し、
    苔むしたボトルを皆に回覧してから慎重に開栓し、
    澱がグラスに入らないように注ぐ様を皆が見つめる。

    いかなホテリエでも
    これほどのワインを飲むチャンスは
    滅多にありません。

    全員に行き渡ってから
    「皆への感謝の印です。
    どうか一緒に味わって下さい」と挨拶し、
    別れの盃を交わしました。

    オーパスワンを飲みながら、
    そんなシーンを思い出しました。


    ★いつも氏、バアサンです。
    おめでとうございます!
    いつも氏にとっての人生最大の「グレート・ヴィンテージ」は奥様だわね〜。
    感謝して、大切に、よ〜く味わってくださいね。



    ■「軟派」系 Vol.49  2013.4.15


    ホテルに潜む虫たちとの闘い


    ホテルにはさまざまな虫が潜んでおります。
    ホテル側が好むと好まざるにかかわらず・・・です。

    純国産、外来種(主にアジア産)さまざまですが、
    いずれ劣らぬ強兵ばかり。
    純国産ではゴキちゃんが主役で、
    茶羽根を筆頭に小さいのからデカイのまで、
    可愛くないのがラインナップされております。

    撃退法は、ゴキブリホイホイなどの各種トラップや
    スプレーですが、いずれも決定打にはなりません。

    もっと困るのは、ノミ、ダ二、シラミ、南京虫で、
    これは人間様を刺す、吸う、齧るなどやりたい放題。

    元々ホテルではこんな者たち飼っておりませんから、
    ゲストの衣服や荷物にくっ付いて入り込むのです。

    我々は相当神経を使って駆除しておりますが、
    ゲストが刺されるまでは分らないので防ぎようがありません。

    深夜か早朝、赤く腫れた皮膚を掻きながら、
    「こんなホテル二度と泊るか〜!」と一喝されますが、
    これって不可抗力なんですよ。

    おまけに南京虫などは、
    どこかの国のような少子高齢化とは無縁な世界で、
    いったん入り込むと、あっという間にお増えになります。

    発生したら、まず両隣の部屋を売り止めし、
    強力なバルサンで殲滅いたします。
    これを我々の用語で「南京大虐殺」と言います。

    発生した部屋だけ局地攻めすると、
    雲をカスミと逃げ去りあちこちに散らばって、
    とんでもない事になります。

    京都の或るホテルでは、初手を誤って、
    全室売り止めという悲劇を被っております。

    たかが虫、されど虫、ゆめゆめお気を付けなされ。


    ■「硬派」系 Vol.50  2013.4.16


    ホテルにおける「リーマン後遺症」


    あまりにも長く続いたデフレ不況。
    お陰でホテル業界はすっかり安売り癖がつきました。

    何かと言うと割引で、
    1割2割は当たり前、3割4割でも驚かない。
    WEBでも安売り合戦で、
    これをラストミニッツバーゲンと自虐的に言っております。

    これは消費者にとって有難いのか・・・
    いえいえ、そうではありません。
    安売りでは利益確保が出来ないので、
    人減らしや設備投資の手抜き、
    食材の質的な低下がまかり通り、
    結局は安かろう悪かろうになりますから、
    利用しても満足出来ません。

    デフレ不況の数十年間で、
    身売りしたり閉鎖したりしたホテルや旅館は数知れず。

    やっと待ちに待ったアベノミクスで、
    企業接待が復活し、
    株高で儲けた個人が可処分所得を消費し始めましたが、
    問題は、
    安売り癖がついたホテルが
    なかなか波に乗れないという困った状態があります。

    我々のような重装備なホテルの今後の課題は、
    「付加価値の創造」で、
    ヴァリュー・フォー・マネーを標語に
    商品や人的サービスを大幅に改善する。

    要するに頭を切り替えて
    本来在るべき姿に戻るという事です。

    今は5センチ位の波ですが、
    2キロ先に大きな波が見えております。
    高級グラスファイバー製のボードに乗って
    上手く乗り切らねば・・・。


    ■「硬派」系 Vol.51  2013.4.25


    ゲストの為に「しゅういち」は断固戦います。


    4月24日、現代の名工に選ばれた中国料理の達人
    「脇屋友詞シェフ」の賞味会を当ホテルで開催しました。

    脇屋氏は55歳で今最も旬なシェフ。
    実は、旧東京ヒルトン時代に私と一緒に働いておりました。
    当時から光っており、前向きでエネルギッシュな職人でした。
    ウエイターがゲストから面倒な注文を受けて困っている時には、 彼だけが快く引き受けていたのを思い出します。

    その後、私は横浜のパンパシフィックホテルへ赴任しましたが、 何と彼が、レストラン「トゥーランドット」をテナント出店しており、 不思議な巡りあわせに驚きました。

    上海料理をベースに、フレンチ、和食、イタリアンなど
    各国の技を取り入れたヌーベル・シノアを苦労しながら完成させ、 日本の中国料理界に新風を吹き込んだ功績は大きいです。

    脇屋シェフのフカヒレ煮込みは絶品なので、
    ホテルジャンキーの皆さんには一度お試し頂きたいです。

    ところで、私がこのホテルへ赴任した時、
    フカヒレがメニューから外されておりました。
    事情を聴くと、アメリカ本部からの要請とのこと。
    国際的保護活動家によるネガティヴなサメ漁反対運動に
    アメリカのホテルが過剰反応して取られた措置です。

    どうにも納得出来ないので、すぐにメニューに復活させ、
    アメリカ本部へ、
    日本の中国料理文化にフカヒレは欠かせない要素であり、
    これを外せばビジネスに多大な影響を被るが、
    本部で責任を取るのか・・・という手紙を出したところ、
    返事はありませんでした。

    他の外資系ホテルでは、
    いまだにメニューから外されたままの所が多いのです。

    クジラ漁、イルカ漁への妨害など、
    彼等の唯我独尊的考えと行動には賛同出来ません。

    フカヒレ好きなゲストの為に
    「しゅういち」は断固戦います。


    ■「硬派」系 Vol.52  2013.4.26


    ホテリエのダンディズムを教えてくれた人


    旧東京ヒルトンのGM リチャード・ハンデル氏は、
    1日に3回着替えてロビーへ出ておりました。

    常にプレスの効いたダークスーツにエルメスのタイ、
    靴は日本一の靴磨き「源ちゃん」が
    ピカピカに磨いたものを3回履き替える
    といったダンディ—振りで、
    メインロビーに立つ姿は
    背筋がピーンと張って様になる。

    接客では5ヶ国語を自由に操り、
    メインダイニングでは、
    左のテーブルに英語で、
    右のテーブルにフランス語で、
    真中のテーブルにはドイツ語で挨拶するのです。

    自身が調理出身なので
    F&Bには厳しい指導をして、
    常に業界の先端を行く
    新しい試みを実行しておりました。

    茶目っ気もあり、
    時々レストランで顧客のテーブルへ行き、
    「Be my guest.」
    と言ってチェックをピック・アップして
    喜ばせたりするのです。

    ある雑誌でホテル運営に必要な事は?
    というインタビューに答えて、
    「弛まざる施設の改修と従業員の躾けである」
    と言った言葉は、まさに核心を突いておりました。

    ハンデル氏も今は故人となり、
    優秀な息子さんが
    香港のリッツカールトンでGMを務めております。

    今の日本には外資系ホテルが多数ありますが、
    ハンデル氏を超えるGMはおりませんね。

    こんな素晴らしいGMの下で働けたことは
    私の誇りです。


    ■「軟派」系 Vol.53  2013.4.30


    酔っ払いゲストの今夜の泊まり先


    2階エントランスの車寄せに
    1台のタクシーが停まった。

    中から、ベロンベロンに酔っ払った若い外国人が
    大きな声をあげながら出て来た。

    Fから始まるお言葉を叫びつつ
    ドアマンに絡み付き、
    Sから始まるお言葉を吐きながら
    胸倉を捕みに来る。
    助けに来たベルボーイも突き飛ばされてしまうあり様。

    再びタクシーに乗り込み
    「出せるものなら出して見ろ〜!」
    みたいな事を言うので、
    タクシーだってたまったもんじゃない。

    仕方がないので警察に来て頂くことになりました。

    間もなく2人の警察官が来てくれて、
    直ちに捕獲され、
    叫びながら連行されて行きました。

    翌朝、留置場で一夜を過ごし、
    我に帰った外国人は
    「ここは何処!私は誰!」状態で、
    警察から昨夜の顛末を聞かされ、
    こんこんと説教され、
    すっかり真人間に立ち返ってホテルへ戻り、
    朝日が燦々と降り注ぐ
    エグゼクティヴ・ラウンジで朝食にありつき、
    しょげ返ってホテル・スタッフに謝っておりました。

    若干35歳、
    酒の飲み方を上司から教わらなかったのでしょう。

    何事も限度というものがある。
    いや、他人の事は言えないか・・・。


    ■「硬派」系 Vol.54  2013.5.1


    男の矜持〜やせ我慢とも言う


    最近は「男の見栄」が忘れられている。
    男であるために、キ●タマを所有するがために、
    やらねばならない事があるのです。

    まず、自分自身を、そして大切な存在を護る為に、
    体を鍛え抜く。
    戦いに敗れる者は男として落第なのである。

    そしてこの世で生き抜くために、
    精神、技、知恵を磨く。

    精神を磨くとは「忍耐する」ということです。
    これが出来ずに果てしない負の連鎖に嵌り込む人は多い。

    技とは、収入を得るための
    余人を持って代え難い技を持ち、
    常に鋭く磨きあげている事です。

    「知恵」とは、知識とか教養ではなく
    生きて行くための「知恵」です。

    生き地獄のような世の中で、
    なまじっかな教養など役に立ちません。

    これらを持って、
    男は踏まれても蹴られても果敢に生きてゆく。
    水前寺清子の歌にあるように
    「腕を振って足を上げて、ワンツー! ワンツー!」

    女性や後輩と食事する時は
    絶対「ワリカン」にしない。

    金が無い時は、そっと腕時計を外して店員に渡し
    「これで何とかなる?」

    男は、ワ・・という言葉すら発してはいけないのです。

    これって何だか、ホテルマンの生き方に近いですね。
    そう、ホテルマンは辛いのです。


    ■「軟派」系 Vol.55  2013.5.7


    叱〜ら〜れて〜、
    しか〜ら〜れ〜てぇ〜



    連休始めにディナー・ショウを打ちました。
    四代目「市川猿之助」。演目は「藤娘」と「トークショウ」です。
    猿之助の「藤娘」は何とも艶やかで感動ものでした。

    ゲストのほとんどは女性でしたが、
    その中の数少ない男性ゲストのひとりが
    トークショウに使う質問用紙に記入し、
    傍にいた係に渡そうとしたら、
    会場内で仕事をしていた演出関係者。

    「私はホテルの者ではないので・・・」
    と拒否したところ、
    男性ゲストは「だったら何で会場にいるんだよー!」
    と怒鳴った。

    すると、「何だとは何だー!」
    あろうことか演出関係者が怒鳴り返した。

    それからは修羅場・・・。
    会場責任者がとりなしても、全く駄目で、こんな時に必ず言う
    「総支配人を呼んで来い!」。

    こういう場合、GMが出て行ってはいけないのです。
    将棋で王将を桂馬や銀の代わりに使用するようなもの。
    クレームやコンプレインは、
    現場の責任者=支配人が
    体を張って食い止めなければならない。
    GMの出場は余程の事でない限りあり得ません。

    ところが、幸か不幸か通りがかりに嵌ってしまい、
    何故か椅子に座って
    怒り狂ったゲストに相対することになりました。

    いや〜久し振りだな〜こういうシーン。
    この臨場感!
    先ず、言い訳せず、相手が言いたい事を全て言わせる。

    表情を見ながら
    「もっと、もっと言って!と、思いっ切り怒鳴って頂く。

    すると時間の経過と共に、少しずつトーンダウンして来るが、
    そこで終結を焦らずさらに煽るように、
    もっともっと言って頂く。

    すると最後には、きまり悪そうな顔になって来る。
    そして最後には、自嘲気味に
    「いや〜言いすぎたな〜。悪かった。もういいよ」
    と言っていただき、無事に一件落着。

    老いたGMは、
    罵詈雑言浴びせられつつ何とか粘り勝ち。

    スタッフ達が遠巻きにいろいろな思いを胸に秘め見ている。

    久し振りの風速40メートルをまともに浴び、
    去りにし昔を思い出しました。


    ■「硬派」系 Vol.56  2013.5.9


    ホテルマンも野球と同じ、基本が大切


    やってくれました、国民栄誉賞!
    ミスターとゴジラは共に
    文句のつけようがないスーパースターです。

    かたやプロ野球を国民的な人気スポーツにした立役者。
    私は若い時分にどれほどミスターに勇気づけられたか。
    脳梗塞を患ってからも驚異的なリハビリで復活した
    その精神力には本当に脱帽です。

    かたやアメリカ大リーグの大看板ヤンキースの
    4番バッターを務め、
    9年ぶりにワールドシリーズ優勝へ導き、
    日本人初のMVPに輝いただけでなく、
    日頃から日本人の精神的な高潔さと謙譲の美を体現し
    アメリカ人達に認めさせた功労者。
    あのト—リー監督に「Trustworthy」と言わせた男。

    二人に共通しているのは、気高い精神と、
    見えない所で基本を繰り返し練習している事です。

    ホテルマンも野球と同じく、
    基本が大切です。

    まずはしっかりと基本を繰り返し身に付ける。
    困った時、壁にぶつかった時も基本に立ち返える。

    授与式をテレビで見ながら
    滂沱の涙を抑える事ができませんでした。

    ミスター、ゴジラ、本当に有難う。
    そして心からおめでとう。


    ■「硬派」系 Vol.57  2013.5.13


    これじゃ無理。
    官僚たちのインバウンド政策



    日本を訪れる外国人数は
    昨年約917万人に増えましたが、
    1位のフランス7950万人にはほど遠く、
    モロッコの930万人にも負けており、
    順位では28位という情けない状況です。

    私が北米、欧州、アジア&オセアニアなど
    諸外国で体験した日本の観光政策の実情は、
    形だけのお役所仕事そのもので、
    国を挙げて取り組んでいると言えない
    お粗末さでした。

    海外で開催される旅行博覧会では、
    諸外国が大きなコーナーを設置し、
    踊りやバンド演奏を披露して
    にぎやかに自国の文化を宣伝している中、
    我が国は小さなブースに提灯をぶら下げて、
    予算の関係で来場者に手渡す土産品もなく、
    仕方がないので参加ホテルのスタッフが
    色紙で折り鶴を作って配布するという情けなさ。

    インパクトも何もあったものではありません。
    ぶらりとブースを訪れたエージェントが
    「日本は中国のどこに位置しているのだ?」
    と真面目な顔で質問して来る始末。

    ちなみにタイ、インドネシア、エジプトなどは
    日本の数倍規模、
    アメリカ、フランス等先進国は
    大きな会場そのものを借り切って
    大々的に宣伝しておりました。

    当時、日本には
    「これ以上外貨は要らない!
    外人観光客など来なくても良い!」
    と公言した運輸大臣(当時)もおりました。

    こんな歴史的?背景があるので
    未だに日本は自国の文化を
    海外に十分発信出来ずにおり、
    国家間の理解が必要な貿易や外交にも
    度々支障をきたしております。

    そして、それを助長しているのが
    官僚主体の海外対策です。

    既得権が命である官僚に
    文化的交流の促進は無理でしょう。

    観光省が出来ても、
    1000万人!とか2000万人!などと
    掛け声だけは勇ましいけれど、
    実績は前述の通り。

    各種インフラ整備やヴィザの問題など
    根本的な事は、依然として解決されておりません。

    これからどうなるんだろう・・・
    日本文化の発信・・・。


    ■「硬派」系 Vol.58  2013.5.14


    バアサンさんのご質問
    「ホテルマンの基本って何?」にお答えします。



    バアサンさんへ

    いつも出来の悪い雑文をお読み頂き有難うございます。
    バアサンは旧ヒルトンのオリガミを利用されていたのですね。
    色々な良い経験を重ねて来られた方だと感じます。

    さて、
    ご質問にお答えします。

    ホテルマンの基本とは、

    ● 安全確保
    ● 清潔の徹底
    ● サービス(人的・物的)の向上

    をしっかり守って行く事です。 ホテルはオリンピック選手村のような専門家の集合体ですから、
    ひと口に基本と言っても、
    料飲部門(宴会&レストラン)・客室部門・管理部門に大別され、
    さらに職種別のマニュアルに分類され、
    それぞれの基本は違いますが、
    おおまかに言うとこの3つになります。

    もう少し詳しくご説明すると、

    ● 安全確保とは、

    防火・防災対策を怠らないことで、
    マル暴対策も含まれます。

    ● 清潔の徹底とは、

    パブリックエリアから客室・食品管理に至るまで清潔を徹底し、
    ゲストを快適な環境でお迎えすることです。

    ● サービス向上とは、

    便利な設備を整え、
    スタッフが手厚いおもてなしでゲストをお迎えすることです。

    しゅういち


    ■「硬派」系 Vol.59  2013.5.16


    新人研修 いったいあれは何だったのか?


    1970年、学卒新入社員の研修は、
    何と千葉県習志野にある航空自衛隊への体験入隊1週間。

    早朝4時に叩き起こされ、10キロ行軍!
    崖の這い上り、13メーターの高さから飛び降り、
    クレーンで20メートル吊り上げ、等々・・・。

    とてもじゃないが耐えられない。
    ウジウジしていると蹴りが入る。
    入隊1日目で脱走し、
    そのまま退職した新入社員も1名出た。

    当時日系企業の社員研修は、まあこんなものでした。
    他の企業でも「地獄の研修」だの
    「富士山麓封じ込め」だの
    聞くだに空恐ろしい研修がまかり通っておりました。

    「自衛隊とホテルと何の関係があるんだよ〜」
    と文句を言いつつ何とか終了しましたが、
    今考えても「あれは一体何だったのだ?」・・・。

    過日、ロータリークラブの例会が
    自衛隊駐屯地で開催されました。

    幹事さんが駐屯地近くに住んでおり、
    幼い頃からお付き合いがあるので、
    クラブ会員の為に施設見学と講習を設定したのです。

    そして500人の隊員と一緒に昼食。
    メニューはラーメンwithライス。

    国を防衛する自衛隊にしては貧しいメニューなので、
    皆複雑な顔をして
    「こんなんで戦えるのか?」
    と言いつつ食べておりました。

    私は麺をすすりつつ、
    去りにし新入社員研修を思い出し、
    「それにしても、あれは何だったのだろう?」・・・。


    ■「軟派」系 Vol.60  2013.5.17


    「夜の帝王」ならぬ「夜の低能」
    歌うホテルマンと呼ばれて



    通算6年間のLA駐在時代に身に付けた特技。
    それは、ハンディ 9 まで行ったゴルフと、
    毎夜通ったピアノ・クラブで鳴らした歌。

    ゴルフは最初ハンディ 36 という悲惨な腕前でしたが、
    プレーする度にベットせざるを得ないので
    破産寸前に追い詰められ、
    仕方なくレッスンプロに付いて
    半年きっちり教え込まれました。

    アメリカのレッスンプロは、
    日本と大違いで"褒め上手"なので、
    モチベーションが上がりっ放しで
    メキメキ上手くなるのです。
    お陰で破産を免れる事ができました。

    一方、夜の社交場はもっぱらピアノクラブで、
    ホテルの駐在員達と群れ集っておりました。

    そこで知り合ったピアニストは、
    グラミー賞を取ったジャニスマリーのバンドで
    シンセを担当している人物で、
    下手な歌を臆面もなく歌う私に、
    有名なジャズ・コーラスグループ「マンハッタン・トランスファー」
    のヴォイス・トレーナーを紹介してくれました。

    上手くなりたい一心で半年間訓練した結果、
    音域が広がり、人並みに歌えるようになったので、
    調子に乗って毎夜クラブ活動し、
    「夜の帝王」ならぬ「夜の低能」と
    呼ばれるようになりました。

    仕事もしないで何やってんだか・・・
    と思うでしょうが、
    これがビジネスにかなり役立ったのです。

    LAは関東エリアよりも広大なので、
    会いたい人に会うには、
    ゴルフに誘うかコンペに参加するのが都合が良い。
    そして、上手い人ほどお呼びが掛かる回数も増え、
    しかも一日中お付き合いするので商売もスムーズに行く。

    一方、歌がかなり上手いと、
    クラブに来る企業のお偉方が、
    「あれは専属の歌手か?」とママに聞く。

    「いえ○○ホテルの方です」
    と言って紹介してくれ、
    そこで関係構築が出来る…といった効用がある。

    昔から「芸は身を助く」と言いますが、
    これは真実だということを実感した次第です。



    ■「軟派」系 Vol.61  2013.5.23


    ホテルマンは"モテるマン"か?


    バアサン様

    バアサン様の疑問についてですが、
    今更・・・今頃・・・。
    修一又は秀一だと思っていたのでしょうか。

    しゅういち


    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


    ホテルマンは礼儀正しく、清潔で、お洒落で、
    遊びの世界を熟知し、料理や飲み物に詳しく、
    レディ—・ファーストを自然に行いつつ
    女性をスマートにエスコートします。

    ひと口にホテルマンと言っても、
    色々な仕事があるのでいちがいには言えないのですが、
    確かにホテルマンはモテる奴が多い。

    特に料飲部門のエキスパートとデートすると、
    料理やワインの選定はお任せでOK。
    間違いなく美味しい料理と、
    ピッタリ合うワインを選んでくれます。

    遊びの世界を勉強しているので、
    行く先々で楽しませてくれる。

    そして、苦労人で人の裏表を良く知っているので、
    常識的で我慢強い人が多い。
    女性のわがままなど呑み込んでくれます。

    語学力があるので、海外旅行に行くと不自由しない。

    こんなホテルマンは、
    一流ホテルであれば必ず1人や2人おりますよ。

    但し、唯一最大の問題は・・・
    若いスタッフだと給料が安い!
    これって本当に困った事なんです。

    支配人クラスになれば相当の給与を得ているのですが、
    だいたいが高齢で家庭持ち。

    「不倫は文化」なんて、
    石田さん以外には通用しません。

    天は二物を与えず・・・ですか・・・。



    ■「硬派」系 Vol.62  2013.5.24


    ホテルランキングなるもの


    良く知られた雑誌社が、今週ホテル特集を載せました。
    アベノミクスがホテル&旅館業界や
    航空会社に与える影響について、
    経営者へのインタビュー記事と
    営業数値の分析を行ったものですが、
    気になったのはホテルのランキング。

    ホテルと一口に言っても、
    カテゴリー、規模、、グレードによって
    客層も指標も異なるので、
    十把一絡げにして語ってはいけません。

    また、新規オープンのホテルと、
    厚い顧客層を持つ歴史のあるホテルとでは
    比較のしようがないでしょう。

    設備の充実度で測るのなら、
    新しいラグジュアリーホテルが
    勝つに決まっております。

    本来上位にランクアップされるべきなのに
    全く除外されているホテルは多数存在します。
    もっとも、そういうホテルは
    ランキングなど意に介していないことが多いのですが…。

    今回驚いたのは、
    レべパー RevPAR
    (一日あたり販売可能客室数あたり客室売上)
    という客室営業の指標を基準に
    ランキングを行った事です。

    結果、当然の事ながら
    1部屋に2〜4人以上入れるリゾートホテルが
    上位にランクアップされ、
    その全てが舞浜のディズニー・リゾート・エリアの
    ホテルで占められました。

    一般の読者はレべパーの意味が分りませんから、
    このランキングをそのまま信じてしまいます。

    このように、
    各種雑誌が読者の興味を引く事だけを目的に、
    いい加減なホテル・ランキングを掲載していることに、
    しゅういちを含めホテル業界全体が憤慨しております。

    少なくともグレードと種別だけは分け、
    「総合的な運営力」をいろいろな角度から検証し、
    複数の利用者のアンケート調査も加味した上で
    実施して欲しいものです。

    以前は、複数のプロが多岐に渡って調査した資料を
    ベースにランキングを作成しましたが、
    調査には相当な費用が掛かるので、
    最近は雑誌社の経費削減で、
    私たちホテルのプロから言えば
    不充分としか思えない調査で
    記事を書いているようです。

    このような手抜きランキングが罷り通っているので、
    ホテル業界は本当に迷惑している事を考えて頂きたい。




    ■「硬派」系 Vol.63  2013.5.31


    バアサンさんのご質問
    「ホテリエが気にするホテルランキングって?」にお答えします。



    バアサンさんへ

    ご質問にお答えします。

    ホテリエが生意気な事を言ってしまいました。
    なかなか言い難いことですが、
    人生の大切な時間をホテル業に捧げて来た者にとっては
    大切なことなので、
    ホテリエ達の気持ちを代弁させて頂きました。

    さて、我々がいつも気にしているのは、
    「Institutional Investors」という
    金融関係のトップ達が読んでいる雑誌が
    毎年実施している世界のホテル・ランキング
    「 Top 100 Hotels 」です。

    実際に宿泊した金融界のトップ達から
    アンケート調査した結果を基にしているので、
    業界が偏ってはおりますが、
    結果を見ると、ある程度信頼出来ると思います。

    過去にホテル・オークラ東京が2位になり
    評判になった事がありますが、
    現在は圏外に去りました。

    昨年のトップは Landmark Mandarin Oriental (香港)です。
    日本からはペニンシュラ東京(6位)のほか、帝国ホテルが入っておりました。
    純粋日系ホテルは帝国だけです。
    各国の Ritz Carlton や Peninsula は流石に常連です。

    しゅういち


    ■「硬派」系 Vol.64  2013.6.4


    バアサンさんのご質問
    「ホテルがランキング対策してるって疑惑、ホントなの?」にお答えします。



    バアサンさんへ

    ご質問にお答えします。

    「Insutitutional Investors」誌 のランキングを
    最近見かけないのは、
    一般の日本人にとって、英語の雑誌の、
    しかも金融業界専門誌には興味がない事と、
    昔、オークラが2位にランクされた時には
    オークラがマスコミに仕掛けて
    大きく取り上げてもらいましたが、
    以後は日本のホテルがほとんどランクアップされなくなり、
    加えて、日本の雑誌が国内ランキングを連発したために、
    そちらへ日本人の目が向いてしまった事が原因です。

    ただし、バジェットなし(予算上限なし)で
    ホテルを利用する金融業界のトップ達は、
    最高の施設とサービス、料理を
    備えている事を条件にしているので、
    ラグジュアリー・クラスのホテルについては
    ある程度、信頼できるランキングだと思います。

    バアサンさんは流石に情報通ですね。
    実は昔、ホテルオークラの営業部長から
    直接聞いた話ですが、
    舞台裏では目ぼしいゲスト、
    即ち金融関係のお偉方の宿泊予約を事前にチェックして、
    到着時から出発まで集中的に手厚いサービスを
    1年間繰り返して、
    2位(1981度年、1983年度)になったそうです。

    ちなみにオークラは、1985年度に同じく金融業界専門誌の
    「ユーロマネー」誌でも1位になりました。

    この他、ミシュランの覆面調査も、
    だいたい事前に情報が入りますので、
    それらしい人物が来店したら、
    十分配慮する事が常識になっております。

    ただし、目鼻が効かないレストランは
    いくら料理が良くても駄目ですよね。

    普通、ミステリー・ショッパーが入る場合は
    事前に情報が入るので、
    体制がしっかりしているホテルでは
    万全を期して彼等を迎えます。

    「これでは何のためのランキングか分らない」
    という意見もありますが、
    いくら事前に情報が入っても、
    実力がなければしっかり迎える事が出来ないので、
    普段からスキルを磨いているホテルだけが、
    良い結果を出す事が出来ます。

    しゅういち


    ■「硬派」系 Vol.65  2013.6.5


    新卒採用面接 その基準はいかに?


    世間では既に来年度の新卒採用が
    ほぼ終了しております。

    今年はアベノミクスのおかげで、
    各企業、特に金融関係や流通、自動車、運輸関係などが
    軒並み採用枠を広げているので、
    良い人材はこれらの企業に吸い取られ、
    我がホテル業界は、
    残り者しか来ない状態になっております。

    今日も朝から延々と面接を続けておりましたが、
    前年・前々年に比べると、
    印象が薄い人材しか来ておりません。

    しかし、面接官の前で
    堂々とパフォーマンスを繰り広げる猛者は今年も健在で、
    履歴書に「野球選手のモノマネ」が得意だ
    と記した男子学生は、
    「じゃあ何かやって見せて下さい」と言った途端、
    パ〜っと立ち上がって、
    イチローのモノマネをやってくれました。

    隣の私と同じ団塊世代の社長と顔を見合わせ、
    「いや〜時代だね〜、よくやるね〜」。

    面接終了後、「イチローはどうする?」
    「やり過ぎですね」
    「いや、明るくて良いんじゃない?」
    と侃々諤々。

    結局、ホテル・エンターテインメントを
    体現できる人材として、
    採用することにしました。

    多分銀行では採用されませんね。 
    芸は身を助く・・・か。


    ■「硬派」系 Vol.66  2013.6.11


    食品名偽称問題について


    ディズニーランドのホテルで食品名を偽称し、
    謝罪広告が出されました。

    海産物や食肉類の偽称は、
    以前、食品を扱う業界では
    普通に行われておりましたが、
    行政指導があってから沈静化しておりました。

    今回は、多品目に渡る偽称が発覚し、
    しかも期間限定で申し出たゲストにだけ
    弁償金として一人1000円支払うという
    荒っぽい処理法でしたので、
    ブログでは非難轟々でした。

    今回の事は、業界全体が大変な迷惑を被っております。

    肉類は、産地、特定品種の表記につき
    行政指導が為されておりますが、
    海産物はやっかいで、
    同一科目の下に種目が多岐に渡っているケースが多く、
    しかも品質も分れているので、
    整理の仕様がないのが実情です。

    芝エビなどは、正しくは芝浦で獲れる海老ですが、
    現在は全く獲れないので、
    アジア諸国の太平洋沿岸で獲れる小エビを総称して
    芝エビと言って使用されるケースが多いようです。

    ホテルでは、「伊勢海老」「車海老」「大生海老」などの
    特定ブランドもの以外は「海老」として総称し、
    日によって色々な品種が入荷されるものを使用しており、
    オーダーの際にゲストに説明しております。

    たとえば、車海老類などは28種類もあり、
    大生海老も含まれますが、
    今市場で一番使われているブラックタイガーも同類です。

    サーモンは鮭科の限定品種で、
    鮭とは違いますが
    これもごちゃまぜになって使用されております。

    これらは農林水産省からの行政指導がないので、
    市場でも品種名が混ぜこぜになって
    流通されているのが実情です。

    サーモン・トラウトなんていう
    奇妙奇天烈な名前で売られているケースもあり、
    まあ、実にやっかいです。

    海は広いな〜大きいな〜!


    ■「硬派」系 Vol.67  2013.6.18


    新卒採用そのⅡ いまどきの学生…。


    来年度新卒採用はいよいよ佳境に入りました。
    4年制大学卒、短期大学卒、専門学校卒、高校卒の
    合計75人の最終面接で、短期大学卒まで終了しました。

    今時の学生に共通しているのは、
    ホテル業界に就職しようとしているのに、
    ホテル観光学科で学んだ学生以外は
    ホテルの事をまったくく勉強していない事です。

    「ホテルについてどんな事を勉強したの?」と聞くと
    悪びれもせず、
    「勉強しておりません。
    でも子供の頃に両親とホテルで食事した際に、
    サービススタッフがカッコ良かったからです」
    という答えが返って来る。

    これには呆れかえるばかりです。

    こういう軽い感覚で就職すれば、
    現実に直面してすぐに辞めてしまう。

    ホテルの現場は、地道で辛い修行の連続です。
    人間と言う、摩訶不思議な生き物に
    向き合って行く仕事なので、
    長期間、経験値を積み重ね、
    自分を磨く事が必要なのです。

    ホテル業界を目指す若者達よ! 
    少なくともホテル経営書くらいは読んで、
    複数のホテルを見て歩く程度のことは
    事前にやっておくべきです。


    ■「硬派」系 Vol.68  2013.6.24


    入院しました…。


    人生4度目の入院です。
    最初が急性肝炎、次がLAで破傷風、次が静脈瘤切除、そして今回は大腸炎。

    消化器系は食事が出来ないので辛い。
    今日で丸三日寝たきりで、飲まず食わずの点滴だけで生きております。

    昨夜はナースが点滴針を刺し間違えて、二回も痛い目に会い、テレビでは食べ物の番組ばかりで、タレントが美味しそうに食べる姿を、羨望と呪いを込めて食い入るように見詰める。

    退院したら何を食べるか...考える事だけが楽しみな毎日です。


    ■「硬派」系 Vol.69  2013.6.25


    バアサンさんのお見舞いにお礼申し上げます。


    バアサンさん

    お見舞いメール有難うございます。

    65歳になると経年劣化が著しいようで、
    色々と修理しなければなりません。

    焦らずしっかり治してから復帰します。
    お気遣い頂き感謝しております。

    しゅういち


    ■「硬派」系 Vol.70  2013.6.26


    バアサンさんのご質問「ホテルマンに多い病気って何?」にお答えします。


    バアサンさん

    ご質問への回答です。

    ホテリエに一番多い病は腰痛です。
    次はストレス性胃潰瘍、
    静脈瘤(長時間の立ち仕事が多い)など。
    他にキッチンでの怪我は結構あります。

    最近は特に若いスタッフに精神疾患が増えております。
    親にきつく叱られた事が無かったり、
    人に相対し鍛えらて育っていないバーチャル世代なので、
    職場での生の人間関係に悩む事が原因です。

    我々世代では考えられない事ですが、
    上司に何度かキツく叱られて出社拒否症になり、
    親や親族が会社に怒鳴り込んで来るケースもよくあります。

    これも時代の変化なのでしょうね。

    入院先の病院にて

    しゅういち


    ■「硬派」系 Vol.71  2013.6.29


    [静寂]という事


    ゲストから頂くコンプレインで最も多いのが「音」による問題です。

    壁と床から伝わる生活音や空調、冷蔵庫、エレベーターなど各種器材から発生する音、外部や内部の建築工事や改装工事の音、暴走族やパトカー、救急車の音、高層ホテルで発生する強風時の軋み音、など様々な原因があり、半分以上はルームチェンジで解決されますが、どうしようもないケースもあります。

    人の感覚レベルはさまざまで、大音響の中で平然と熟睡出来る人がいれば、普通は感じない微音でも気になる人もおります。

    ホテルは建設段階で予め決められた予算で作られるので、客室を完全防音することは極めて難しいのです。

    私は翌日ゆっくり出来る場合、エアラインの機内にある耳栓を利用しておりますが、かなり効果的です。

    ホテル側の不手際で睡眠不足に陥ったゲストには心を込めてお詫びし、室料を無料にしなければなりません。
    「音」の問題は我々にとって永遠の課題です。

    病室にて

    しゅういち


    ■「硬派」系 Vol.72  2013.7.8


    「社員教育」
    日系ホテルと外資系ホテル、
    どっちのやり方が良いか?



    入院生活も今日で19日目。
    内臓疾患を完治するのは時間がかかります。

    人は「神様が与えた休憩」などと言ってくれますが、
    とんでもない事で、辛さと不安の日々。
    まさに闘病そのもので、
    休憩などという生易しいものではない事を
    実感しております。

    さて、最近、ホテルの社員教育について
    改めて考えています。

    日系ホテルでは、
    日本生産性本部などの教育会社に
    社員教育を委託しているケースが多く、
    外資系ホテルは、
    ほとんど自前で実施しております。

    どちらが良いかと言うと、
    私は外資系に軍配を上げます。

    なぜなら、社員教育に求められるのは、
    独自の経営理念とコンセプトに基づき、
    継続的に実施し、
    具体的な成果を上げ続ける事だからです。

    ホテルの現場は日々刻々と変化するので、
    定期的に行うだけの外部会社による研修では
    対応出来ません。
    自社のオリジナルでしっかり作り込まれた
    S.O.P(標準業務作業手順)を使い、
    幹部社員が各職場のファシリテーターとなって
    日々継続的に実施しなければ、成果は得られません。

    日系ホテル(一部の例外を除く)のやり方では
    一時的にモチベーションを上げるだけで、
    すぐに忘れて元に戻ってしまい、
    膨大な経費を掛けるわりに成果が上がりません。

    この点で、独自の経営理念とコンセプトを元に
    しっかり作り込まれた自社のオリジナルS.O.Pを
    幹部に徹底的に叩き込み、
    毎日継続的に現場教育に反映させ、
    成果を上げ続けている外資系ホテルに
    軍配を上げざるを得ません。

    社員教育の難しさを改めて感じているこの頃です。

    病室にて

    しゅういち


    ■「軟派」系 Vol.73  2013.7.9


    入院して習得したこと。


    大腸炎の治療には、
    飲み薬と座薬の二刀流を使います。

    ペンタサという薬を上と下から注入しますが、
    座薬は透明なポリエステル容器に
    8センチ位の挿入チューブが付いたもので、
    使用前にしっかりシェイクする。

    パジャマとブリーフをずらし、
    左向きに横になり右足を少し胸へ引き、
    グラビア撮影の「壇蜜」のようなポーズになり挿入開始。
    スムーズに入れる為にゼリーを使用するのがポイントです。

    初めての試みにはナースが立会う事が規則と言われ、
    「自分でやるからいいよ」と言っても
    若いナースはガンとして譲らない。
    百戦錬磨のGMが人前で無防備な姿勢...。
    ドリフターズの加藤茶のタブーが聞こえて来る。
    顔から火が出る思いで一気挿入し、
    何とかファーストフライトを終了した。

    座薬挿入は日課になり、今では達人の域に達しているが、
    時々現場にナースが踏み込んで来るには閉口している。

    一度ポリエステル容器を強く握り過ぎて破れ、
    ケツの周りとベッドのシーツをびしょびしょにしてからは、
    紙を敷くことにしている。

    たかが座薬、されど座薬。
    ホテルジャンキーの皆さん、
    座薬に困ったら私に相談して下さい。

    病室にて

    しゅういち


    ■「硬派」系 Vol.74  2013.7.16


    復活! 無事退院しました。


    24日間の入院生活を終え、7月12日に無事退院しました。

    消化器系疾患は食事が儘ならないので、
    けっこう辛い思いをしましたが、
    やっと普通に食事を摂る事が出来るようになり、
    ほっとしております。

    体力が低下しているので、
    東京の自宅で10日間リハビリして
    来週から現場へ復帰します。
    通院しながら飲み薬と座薬を続けるので、
    まだ油断できません。
    アルコールはしばらく禁止です。

    今回は健康管理の大切さを身に染みて感じました。

    今後はちょっとした兆候を見逃さず、
    医師に診断してもらうようにします。

    酷暑の中、ホテルジャンキーズの皆さんも
    健康管理をしっかりされることを願っております。


    ■「硬派」系 Vol.75  2013.7.19


    バアサンさん、退院お祝いありがとうございます。


    バアサンさん

    暖かいアドバイス有難うございます。

    確かにビンテージ・カーを走らせるには
    整備点検しなければなりませんね。
    無理せず運転いたします。

    しゅういち


    ■「軟派」系 Vol.76  2013.7.27


    ロイヤルベビー誕生につき便乗商法やります!

    遂に生まれました! ロイヤルベビー。

    デパートは流石に商魂たくましく、
    一番乗りで特別フェアを開催し
    記念グッズの販売をスタートしました。

    次は何処がやるのか・・・なんて呑気な事を言っておれず、
    我がホテルも「特別記念企画」を打ち出しました。

    ロビーラウンジで
    「ロイヤル・ベビー生誕記念 ハイ・ティ—」
    ロゼワイン付き 2500円です。
    コンシェルジェ・ラウンジでは、記念の特別装飾を設営。

    実は、以前アフタヌーン・ティ—なのに朝から出していたら
    ゲストに咎められ、迷った挙げ句思いつきで、
    「そう言えばハイ・ティ—という言い方があったね、
    何となくハイクラスっぽいし、
    1日中やっていても良さそうだからこれにしよう!」
    と、よく調べもせず、極めて短絡的に判断したのが
    実は大変な間違いでした。

    正式には、
    午後3時からスタートするアフタヌーン・ティ—に対し、
    遅れて午後5時から始まるのがハイティ—で、
    イギリスの労働者階級や農民が取り入れたスタイルで、
    ほとんど夕食代わりのようなもの。

    したがって、英国の上流階級は
    絶対にハイ・ティ—とは言わない。

    でも実際は、アメリカでも日本でも使用されているので、
    まあいいか。
    と言う事で一件落着。

    格調高い大英帝国のお歴々が聞いたら、
    真っ赤になって怒るのでしょうね。

    しかし、こだわりを持つべきホテルがやってはいけない事なので
    いずれ早い内に変えます。


    ■「硬派」系 Vol.77  2013.7.31


    バアサンさんのご質問「ホテルのタオル等のお持ち帰り問題について」にお答えします。

    バアサンさんご質問への回答です。

    流石は海外経験が豊富なバアさん、
    ちゃんと知っておりますね。
    座布団いただきます!

    ところで、ご友人の戦利品ですが、
    これって立派な窃盗です。

    バスマット、タオル、ハンガ—等は
    持ち出し自由な消耗品ではなく、
    れっきとした備品です。

    しかもホテルのものではなく、
    リネンサプライ会社のものをホテルがリースしているので、
    毎日カウントされております。

    知人の方、見つからなかったから良かったですが、
    セコいホテルだと
    直ぐにハウスキーパーからフロントへ連絡が入り、
    空港の税関並みにロビーでトランク開けられて
    恥をかきます。

    以前、バスローブをお持ち帰りになろうとして
    ロビーで捕まり、衆目に晒され、
    真っ赤になっていたゲストがおりました。

    また、日本人ではありませんが、
    昔、箱型テレビを持ち帰ろうとした強者もおりましたよ。
    もちろんロビーで捕まえました。

    しゅういち


    ■「硬派」系 Vol.78  2013.8.2


    続 バアサンさんのご質問「ホテルのタオル等のお持ち帰り問題について」にお答えします。 その2

    バアサンさんご質問への回答です。

    タオルやハンガー程度ではブラックリストに乗せる程の被害ではないですが、記録しているホテルもあります。

    ふつう悪事を働いたゲストは、良心の呵責もあり、二度と来館しませんね。私も備品を頂戴したホテルには絶対行きません。

    バスローブのような高価なものの場合は、「この度はお買い上げいただきありがとうございました」というレターをお送りしてご請求する場合もあります。しかし、後日請求すると、まず支払いません。

    チェックアウト時にフロントクラークが「失礼ですが客室のバスローブをお持ち帰りになりますでしょうか?」と聞いております。しらばっくれる方もいますが、荷物を強制的に開けるのは時と場合、ゲストの人品骨柄によって判断します。

    ベテラン・ホテルマンはゲストの表情を見ながら、その辺を判断して行動します。堂々とした態度でシカトする方はホテルが負けます。逆にオドオドする方は百戦錬磨のホテリエに付け込まれて白状し、赤っ恥をかくことになります。私も昔フロントクラークだった頃、こんなシーンを何度も体験しました。

    次回、お泊りの際にはしっかりウォッチされていると思われた方がよろしいですよ、身に覚えがある方は。

    しゅういち


    ■「硬派」系 Vol.79  2013.8.3


    なんちゃって外資系〜!


    外資系ホテル運営会社に日系オーナーが
    ホテル運営契約をする場合、
    MC(マネジメントコントラクト)と
    FC(フランチャイズ)とに大別されます。

    MCの場合は通常100%運営受託契約で、
    総支配人をはじめ主要スタッフが
    運営会社から出向して来ます。

    一方、フランチャイズ契約は、
    100%運営受託ではなく、
    ブランド使用と
    マーケティングサポートを中心とした契約で、
    実質的な運営は日本のオーナー側が経営する
    運営会社が行います。

    専門家以外の人が外部から見た場合、
    GMが外人か日本人かで
    どちらの契約形態かがほぼ判断出来ます。

    外人の場合はほとんどがMC契約。
    日本人の場合はほとんどがフランチャイズ契約です。

    MCの場合は、100%運営会社のルール(S.O.P.)に
    従って運営されるので、
    オーナーが日常的に口を出す事は少ないですが、
    FCの場合は、オーナー側の意向が優先されるので、
    外資系ホテルの看板なのに、
    実態は”マルドメ”というケースも多々あります。

    従業員同士が「なんちゃって外資系〜!」
    なんて言ってますね。

    どちらも一長一短あるので何とも言えませんが、
    日系オーナーでは出来ない
    「世界的ブランド価値」を利用出来るのが
    共通の利点です。


    ■「硬派」系 Vol.80  2013.8.12


    ルームサービスをどうするか


    ルームサービスは、
    各ホテルとも赤字垂れ流しが常態化しているので、
    頭の痛い問題です。

    部屋ごとに担当者がF&B(料理と飲み物)を運んで
    手厚くサービスするので、
    一人のウエイターが複数のゲストを担当するレストランと違い、
    人手はかかるわ、
    時間は食うわ、
    料理原価は高いわ・・・で、
    収益だけを見るとホテル総売上げの僅か1%に過ぎないし、
    ルームサービス単体での収支となると
    完全に赤字です。

    アメリカのホテルでは、昨年11月シカゴにオープンした
    イアン・シュレ—ガ—のザ・パブリックで始めた
    テイクアウトボックスや
    紙袋でデリバリーして極端に簡略化する所がある一方、
    バーテンダーを動員して飲料を売り込んだり、
    4〜5杯のドリンク付きパッケージにしたり、
    高単価なシェフ創作メニューを販売したりで
    単価アップを狙う所など、
    両極端になりつつあるようです。

    中にはヒルトン・チェーンのように
    経費倒れのルームサービスを
    廃止する方向に動くホテルもあります。

    日本では、
    ルームサービスが収支勘定に合わない事を
    承知の上で運営するホテルは多く、
    今のところ我慢している所がほとんどですが、
    いずれ判断を迫られる事態になるかもしれません。

    ホテル全体で収支コントロールが出来ていれば良し、
    とするケースと、
    部門・セクション別に徹底した黒字化を図るケースとの
    どちらを選ぶか、経営判断が難しいところです。

    私は、宿泊特化型ホテルは別として、
    ルーム・サービスはホテルがゲストに提供する
    必要不可欠なサービスとして、
    廃止するべきではないと考えます。


    ■「軟派」系 Vol.81  2013.8.13


    GM界、渡る世間は"ハゲ"ばかり


    東京の品川駅近くに
    世界的に有名なブランドでオープンする
    ホテルのGMが訪ねて来て
    「同じブランドのホテル同士で仲良くやりましょう!」
    ということで盛り上がりました。

    私よりもかなり若いGMは、
    精力に満ち溢れておりますが
    頭に毛が無い。

    私の後輩で横浜駅前の某有名外資系ホテルのGMもハゲ。
    舞浜地区を席捲しているホテルのイギリス人GMもハゲ。
    京都の東山にある有名外資系ホテルのGMも見事にハゲ。
    私の大先輩でホテル協会の前会長もハゲ。
    以前、永田町の東京ヒルトンで辣腕を振るったGMも
    ハゲでした。

    年甲斐もなくフサフサの私は肩身の狭い思いで・・・
    いや、優越感かも。

    金は残さなかったが
    毛だけはふんだんに残してくれた親に感謝!


    ■「硬派」系 Vol.82  2013.8.14


    「ルームサービス問題」についての
    バアサンさんの質問へお答えします。



    バアサンさんご質問への回答です。

    バアサンへ

    避暑ですか・・・。
    私は長い病欠のため自主出勤です。
    社長は「体のために休んではどうですか?」
    と言ってくれますが、
    目はそう言ってないので
    「それではお言葉に甘えて・・・」と
    言えませんでした。

    さて、ルームサービスのご質問の件、
    お答えします。

    本来は客室に付随するサービスとして行われて来たもので、
    単体で収支勘定するものではありません。

    アメリカではここ数年の間に、
    部門別・セクション別収支管理の考え方を
    ルームサービスにも適用するようになって来た結果、
    当然の事ながら、
    存続の是非が検討されるようになりました。

    おそらく最大多数のオーナーである
    ファンドが考えた事でしょう。

    私はこういう考え方はナンセンスだと思っておりますし、
    ファンドがホテルを利益追求のためだけの
    不動産として扱うやり方に、
    ホテルを愛する者として怒りを感じております。

    ルームサービスは、
    サンドイッチやオニギリでも調理人が作り、
    ワゴンに器材をセットアップして、
    1人のウエイターが1部屋に運んでサービスするので、
    生産性という点では最悪ですが、
    ゲストにとってはプライベートな空間での
    優雅で楽しいひと時になります。

    利益を出すのであれば、
    ゲストの消費単価が1回数万円だと何とかなりますが、
    普通はあり得ないことです。

    日本のホテルでは、
    まだルームサービスを付帯サービスとして考え、
    コーヒーハウスと一緒に運営して
    収支勘定も一緒に出している所が多いので
    何とかなっており、
    今のところは大丈夫なのでご安心下さい。


    ■「硬派」系 Vol.83  2013.8.16


    バアサンさんの「コーヒーショップ問題」について


    バアサンさん「コーヒーショップ問題」へのお返事です。

    バアサンさんへ

    本当に世知辛くなりました。
    私がホテルマンとしてスタートした頃のホテルには、
    確かに24時間営業のレストランや
    ルーム・サービスがありました。

    日中の営業に比べ、深夜から明け方は集客が不安定で、
    スタッフへの深夜手当も高く、利益確保が難しい事と、
    きつい労働なので人の確保が困難なこと等が
    廃止した理由です。

    昔は人件費も安く、全体で利益が出ていれば
    細かい事は言わない経営者がほとんどでしたが、
    今は人件費をはじめ諸経費が高いので、
    収支管理を徹底しなければ、すぐに赤字転落になります。

    また、法で労働者を強力に保護しているので、
    昔のように無理無体な労働を強いるこが出来ません。

    そして、従業員もその事を良く知っているので、
    過働きはせず、何かあればすぐに会社を訴えるので、
    気をつけなければなりません。

    今の日本は、
    私が渡米していた20年前のアメリカに良く似て来ました。
    コンプライアンス遵守が第一義で、
    セクハラ、パワハラの訴訟が日常茶飯事。

    現代は何かにつけて余裕がなくなっております。
    これでは若者に「夢を持て」と言っても
    空虚に響きますね。

    せめてホテルだけでも、
    夢のある楽しい空間を
    ゲストに提供出来るよう頑張って行きます。

    しゅういち


    ■「軟派」系 Vol.84  2013.8.22


    ホテルと香り、ホテリエと匂い


    最近のホテルは、
    入口からメインロビーのエリアにかけて
    香りを使った雰囲気作りを実施している所が増えました。

    リッツカールトン東京は、
    客室階の各フロアーごとに違う香りで演出しております。

    香りの選定には気配りが必要で、
    特殊なものや刺激の強いものは避け、
    ナチュラルなものを使用するケースが多いようです。

    高級料亭や旅館では、
    エントランスやパブリック・エリアに
    香を焚いている所が多く、
    これも上品な香りのものを選定しております。

    パブリックスペースで香りの演出をする一方、
    客室内やレストランは無臭が原則です。

    客室では、バスルーム・アメニティのシャンプー、
    コンディショナーボディローション、
    石鹸などが香りを持っているので、
    ゲストの性別・年齢層などのバランスを考慮し、
    選定には気を使っております。

    ところで、人間の発する匂いは困りものですね。
    特に汗臭さや口臭はもってての外。
    すれ違った途端にワキガの残臭が漂ったり、
    歯槽膿漏に煙草を混合した臭いなどは、
    卒倒するほどのインパクトがあり、
    一流ホテルのポジションを失い、
    確実に顧客を失います。

    自らが発する臭いを消すのは、
    ホテリエの基本中の基本です。

    我々は、仕事前のシャワーと
    マウス・ウオッシュが当たり前で、
    仕事の前日には、
    臭いの強いものを控えなければなりません。
    美味しい焼き肉やギョーザ、キムチは
    休日前まで我慢します。

    そう、ホテリエは辛いのです。


    ■「軟派」系 Vol.85  2013.8.28


    たまには発散しないと…シナトラやってみる?


    先週、久し振りに東京赤坂のピアノクラブへ行きました。

    この店のマスターは、昔「全日本歌謡選手権」という番組で
    10週勝ち抜いてプロの歌手になった人。
    五木ひろし、天童よしみ、八代亜紀など
    錚々たる歌手を輩出した番組で10週勝ち抜くのは
    至難の業でしたが、
    堂々とパスした実力者です。

    この店はピアノ、ベース、各種ギター、ドラムス、
    サックス、フルート、ボンゴ等々楽器はほぼ揃っており、
    お客さんは好きな楽器を勝手に演奏して楽しめるシステムです。
    常連さんがほとんどで、
    いずれ劣らぬ歌&楽器演奏自慢の中高年ばかり。
    店の雰囲気は和気あいあいで、
    新参者でも気楽に仲間入り出来ます。

    私はここに13年間通っており、
    マスターとは35年来の付き合いで、
    以前勤務していた赤坂のホテルで結婚式をやって頂いたり、
    店の10周年パーティーを開催して頂いたり
    公私に渡りお付き合い頂いております。

    先週は久し振りに思いっ切り歌い、
    ギターを弾き、ドラムを叩き、発散しました。
    I've got you under my skin.をはじめ
    ジャズのスタンダードを生バンドで
    思う存分歌わせてもらい気分爽快。

    カラオケは自然音ではないのであまり使用せず、
    出来るだけ自分で弾き語りするか
    生演奏で歌うように心がけております。

    ホテルのBGMもデジタル音ではなく、
    ピアノ等の生演奏の方が空気感を柔らかくし、
    耳に心地良いのです。

    長時間音楽を楽しむ場合は、
    CDよりもレコード盤の方が疲れませんよね。


    ■「軟派」系 Vol.86  2013.9.2


    女性たちよ、GMを目指せ!


    安倍総理が提唱する”女性管理職の積極的登用”については、
    ホテル業界も真面目に取り組んでおります。

    欧米のホテル業界では既に
    女性管理職が当たり前になっておりますが、
    企業文化や子育て支援体制が異なる日本では、
    いろいろと難しい問題を抱えており、
    特に子供が出来ると
    ハードな管理職の仕事を継続する事が難しくなります。

    ホスピタリティ産業は、
    女性に向いている仕事が多いのですが、
    前記のような事情と、
    管理職そのものが昔と違い魅力がなくなって来た事で、
    目指そうという意欲がなくなって来たようです。

    確かに、
    たいした給与でもないのに責任ばかり被さって来るので、
    敢えて管理職などにならず、
    特定職種のスペシャリストとして生きて行く方を選ぶ女性が
    増えて来たようです。

    新入社員の女性達が、
    パティシェやコンシェルジェ、
    ブライダルコ—ディネィタ—などを志望し、
    GMを目指す人が皆無に等しいのは、
    実に淋しい限りです。

    ホテル業界で働きたい女性、
    現在働いている女性諸君!
    ホテルのGMをはじめ管理職は、
    やってみれば意外と面白い仕事ですよ。
    確かにシンドイこともありますが・・・。


    ■「硬派」系 Vol.87  2013.9.6


    バアサンさんの「『女性たちよ、GMを目指せ!』に質問だわね!」にお答えします。


    バアサンさん「いつも氏の『女性たちよ、GMを目指せ!』に質問だわね!」
    にお答えします。

    行政からは、
    現在のポジションをキープして
    3年間の育児休業を要請して来ており、
    当社ではその通りにしております。

    現実問題として、
    管理職者がポジションを空席にしたまま
    3年間も休業すると業務が回らなくなります。

    日本人は、
    出産後1〜2週間で出勤してバリバリ働く欧米人と違い、
    どうしても長期間の休業が必要になり、
    管理職でなくても不在中、
    職場の仲間に迷惑を掛けることになりますし、
    出勤してもフルタイムで働けない人が多く、
    職場内の女性間で不協和音が出ます。

    管理職であれば、
    給与面での調整が必要な場合もあります。

    曽野綾子氏がある雑誌にコラムを書いておりましたが
    「管理職を目指すのであれば
    会社への依存心を捨て、
    相当な覚悟が必要」
    という発言も、ある程度は頷けると思います。

    子持ちでも、バアサンさんのような方は
    立派に管理職を遂行出来ますが、
    大多数が出来ないようです。

    独身でも管理職を目指すとなると、
    男と同じく相当な覚悟と努力が必要ですね。

    しゅういち


    ■「軟派」系 Vol.88  2013.9.13


    ああ!なんて刺激に満ちた
    ホテルマンライフ



    ホテルには大勢のゲストが集まるので、
    そこには楽しくも悲しい人生の縮図が展開されます。

    そして、ホテリエ達は否応なく
    あらゆるシーンに出くわし、
    巻き込まれ、
    もがき苦しんだり
    喜んだりします。

    そう、ホテルの仕事は本当に刺激的なんです。

    怪しげなカップルに部屋へ引っ張り込まれ
    見物させられてチップをもらったり、
    オカマに好かれてつきまとわれたり、
    ホテル内で行方不明になった子供を必死に捜し回ったり。

    子供はたいがい途中で泣き出すのですぐ分りますが、
    たまには大胆な子がいて、
    宴会場エリアに入り込み、裏からキッチンに迷い込んだり、
    エレベーターで上下行ったり来たりして遊んでいたりしますが、
    子供が一人でいるのは不自然なので直ぐ通報され、
    保護して親捜し(館内アナウンス)をします。

    ほかにも、
    他人の部屋に入り込んだ徘徊老人を保護したり、
    夫婦喧嘩に巻き込まれて酷い目に会ったり、
    可愛い子供だと世事を言ったらいきなり脚を蹴られ、
    それでも親の手前ニッコリ笑わねばならなかったり、
    執念深いゲストに半日説教されたり、
    ヤクザにもろ肌脱がれ刺青を見せられて凄まれたり、
    予約をお断りした某有名国会議員(既に死去)の秘書に、
    フロントのカウンター越しに襟首掴まれて引き摺り出され
    「東京湾に沈めたろーか—!」と脅されたり、
    アラブの王族が希望する乗用車(大量)の仲介役をして
    数百万円のリベートをいただいたり、
    海外の有名モデルに気に入られて
    パリへ”お持ち帰り”されたり、
    はたまた自殺した遺体を二人掛かりで搬出したり・・・。

    いろいろ、あるんです・・・
    ホテルマンのお仕事には。

    ああ!
    悲しいかなホテルマン、
    嬉しいかなホテルマン・・・。


    ■「軟派」系 Vol.89  2013.9.17


    私のピアノだ!
    ホロビッツがピアノを弾いた夜



    以前、私が勤務していたホテルには、
    世界中から来た有名な方達が宿泊しておりました。

    20世紀最大のピアニスト・・・と言えば
    ウラジミール・ホロビッツ。
    彼は定宿として利用されておりましたが、
    或る日の夕刻、メインダイニングに足を踏み入れた瞬間、
    そこに設置されていたスタンウェイのピアノを見て、
    「これは私のピアノだ!」
    とつぶやいたのです。

    そのピアノは、
    彼がカーネギーホールで演奏した時に
    使用していたピアノで、
    その後紆余曲折の末入手したエージェントが、
    ホテルにリースしていたのです。

    彼は嬉しそうにピアノに触れ、
    座った途端に弾き始めました。

    あのホロビッツが、
    ゲスト達が食事しているメインダイニングで
    即興演奏を始めたので、
    全員が驚き・・・
    「こいつは夢じゃないか!」
    「何たる僥倖!」
    「飯なんかどうでも良い!」・・・
    と大喜びしたのです。

    ホロビッツは大柄で体が不自由だったので、
    バスタイムには介助が必要でした。

    このサンスケ役に指名されたのが
    当時ドアマンだったY君。
    ホロビッツの体重があまりに重く、
    遂にギックリ腰になってしまい、
    「結婚前なのに腰が使えなくなった・・・」
    と泣いておりましたが、
    コンサートに招待され、
    最前列で彼女と一緒に痛む腰をさすりつつ
    日本最後の演奏を楽しんだのです。
    彼は現在、広島のシェラトンホテルでGMやってます。


    ■「軟派」系 Vol.90  2013.9.21


    マイケル・ジャクソンの”同行者”
    バブルス君担当だったホテリエ



    マイケル・ジャクソン氏を6回お迎えしました。
    お会いする度に、
    肌の色が白く変化して行ったのを思い出します。

    マイケルの初来日は、
    1987年の「Bad Tour」という事になっておりますが、
    実は、彼がまだ子供の頃に、ジャクソン5の一員として
    サミー・デイビス・ジュニアに連れられて来日し、
    東京ヒルトンホテルに宿泊しております。

    ソロとして独立後、87年に来日する際には、
    ホテル側と事前にいろいろとモメました。

    彼が可愛がっていたチンパンジー「バブルス君」
    を連れて宿泊したいと言って来たからです。

    最初は断りましたが、
    「だったら別のホテルに変える」
    と言うので仕方なく、
    改装する費用を支払って頂く事を条件に受けました。

    到着当日は大変な騒ぎで、
    数百人のファンが押し寄せホテルを取り囲んだので、
    地下駐車場から従業員用のエレベーターで
    客室へ誘導しました。

    バブルス君には、担当者としてセールスマンを1名付け、
    彼が抱っこして部屋へ行ったのです。

    後で「どうだった?」と聞くと、
    「はい、あれは普通のサルではありません」
    という答えが返って来ました。

    とても利口だそうで、
    彼はすっかりバブルス君に魅せられたようでした。
    顔つきまで似て来たようで・・・。

    その担当者は今、沖縄ヒルトンのGMです。
    これはきっと”バブルス君効果”なのではないかと
    皆で噂しております。


    ■「軟派」系 Vol.91  2013.9.24


    マイケル・ジャクソン第二弾! ダンスレッスン用に改装された部屋


    最初の問い合わせは、
    マイケル・ジャクソン・インターナショナルというところから
    直接ホテルにFAXで入りました。

    ホテルには、
    世界中から変なメッセージや問合せが入ります。
    なかには一目瞭然で「これは変だ!」とわかるものから、
    信憑性がありそうに見えるものまで、
    千差万別です。

    今回はアメリカから、
    しかもあの有名なミュージシャンの名前で入って来ましたが、
    普通、ホテル手配はプロモーターが介入するものだし、
    しかもあの大物が、直接ホテルに問い合わせる事など
    考えられなかったので、
    「インチキだよ、放っておけ」
    とそのままにしておきました。

    ところが、何度も繰り返して来るので、
    マサカの為のコーワ火災・・・で
    大手プロモーターに問い合わせたところ、
    「本物」と判明!
    慌てて返信しました。

    まず、マネージャーと関係者数名が来日し、
    ホテルの施設を徹底的に調査し、
    後日、215㎡(65坪)のデラックス・スイートに
    設置してある家具を
    すべてマイケル好みの物に入れ替え、
    音響設備、
    練習用ダンスフロア—、
    大型姿見など
    指定された物を設置するよう
    オーダーが入りました。

    何故、マイケルがホテルを指定して来たのか調べたところ、
    以前、ダイアナ・ロスが
    日本で初めてホテルでディナーショウを開催したことがあり、
    以後、彼女が来日する度に宿泊していたので、
    自分の息子のように可愛がっていたマイケルに
    推薦してくれたのが真相でした。


    ■「硬派」系 Vol.92  2013.9.30


    アベノミクスは効いているか?


    現在のマスコミ、特にテレビのバラエティ—番組では、
    巷の街頭インタビューなどで、
    特定の業界や批判的な意見だけをクローズアップし、
    実際の市場ではアベノミクス効果は出ていないという
    ネガティブな方向に持って行こうとしております。

    おそらく、裏で官権によるマスコミ操作があるのでしょう。

    ところが、
    我がホテル業界では「効果てきめん」でして、
    円安による外国人旅行者数の大幅増、
    株価高騰による一般消費者のレストラン需要の増大、
    自動車をはじめとする輸出業界の好況による
    宴会需要の増加などで、
    確実にデフレ不況を脱しつつあります。

    特に客室部門は、空前の好況に転じ、
    大阪エリアでは客室の平均稼働が90%を超えており、
    東京でも85%を超える高稼働で、
    室単価も15%以上、上がっております。

    巷間、給与は依然上昇しないとか、
    中小企業に金が回っていないとか、
    そういう意見もありますが、
    急に何もかも改善するはずがないことくらいは、
    目先の効く人ならば誰でも判る事です。

    好況なホテル業界も、
    給与はまだ上がっておりませんが、
    今は疲弊した企業の体力を取り戻すまで
    我慢すべきと思っております。

    大切なことは、
    長期間続いたデフレ市況に
    やっと明るい兆しが出始めたということであり、
    これを契機に、
    国民が好況な市場を作り出す努力をして
    現政権をバックアップし、
    健全な国家を創造することではないかと思います。


    ■「硬派」系 Vol.93  2013.10.1


    頭が痛い”とんでもゲスト”
    「お浄めさせていただきます」?!



    過日、アシスタント・マネージャーのデスクへ
    一人の女性が訪ねて来た。

    「私は○○大学の博士課程の研究生です。
    私は人間生活環境を取り巻く人的・物的な発達環境、
    ならびに発達教育から得られた先行研究と
    成果を振り返る機会を与えられました」・・・?

    マネージャーは、
    あまりにも難解&奇っ怪なお言葉に、
    しばし絶句し、
    じーっと顔を見つめる。

    「つきましては、このホテルで私の検討課題である
    ①コエンザイムQ14 ②バレンタインデー
    について説明させて頂きたく、
    依頼書をお持ちしました」

    これを聞いて、
    さすがにおかしい、変だ、と思い、
    「このようなご趣旨でのご利用は
    お断りいたしております」
    と丁重にお断りしましたが、
    いったん引き揚げたご本人は、
    その後何度も「依頼書」に論文?を添えて
    申請して来ます。

    マネージャーは、あろう事かGM室に論文を持参し、
    「どうしましょうか?」

    読了後、怒り心頭に発し、
    「ちょっと〜!勘弁してくれるゥ〜!」
    と言って逃げました。

    が、ちょっと気になったので調べると、
    そのお方は自分の大学の教室で、
    「お浄めする」
    とガソリンを撒いた人物である事が判明。

    ホテルで「お浄め」されては大変なので、
    ”ご説明”は断固お断りすることにいたしました。

    急に涼しくなると、
    色々な方が出没いたしますので、
    気を付けねば・・・。


    ■「硬派」系 Vol.94  2013.10.7


    これも頭が痛い、子連れゲスト問題


    全国的にホテルを悩ませている問題のひとつに
    「子連れゲスト」への対応があります。

    以前は、メインダイニングをはじめとした
    スぺシャリティ・レストラン、カクテル・ラウンジは、
    お子様お断りでしたが、
    現在は、「子供連れが駄目なら使わない」
    という方が多いので、
    営業的観点で、一部を除き、
    子連れを認めている所がほとんどです。

    ホテルは、本来、
    大人が落ち着いた華やかな雰囲気の中で談笑し、
    ゆったりと食事を楽しむべき場所なのに、
    子供が大騒ぎで走り回り、泣き叫んでいるのが現状で、
    親は全く関知せずの態度をとり、
    ホテル側が注意でもしようものなら、
    逆切れして大変な事になります。

    我々は、外国人ゲストからこの点を度々指摘され、
    「何故、注意しないのか・・・」とお叱りを受け、
    日本人として恥ずかしい思いをしております。

    こういうシーンを見るにつけ、
    幼少から正しく躾けられなかった親が、
    長じて自分の子供を正しく躾けられないという
    悲しい現実が見えます。

    欧米では、ホテルのレストランは大人の社交場であり、
    子連れで行くことはありません。
    子供はベビーシッターに預けて出かけるのが普通です。

    ホテルは常識的でマナーをわきまえた
    大人が利用する場であって欲しいですね。


    ■「軟派」系 Vol.95  2013.10.22


    GMだって、落ちる!
    テンピュールにご注意を・・・。



    早朝4時、物凄い衝撃を受け、
    しばらくうめき声を上げ
    痛む頭と腰を押さえながら、
    夢遊病者のように半身立ちで辺りを見回すと、
    何故かベッドから叩き落ちていました。

    新たに購入したテンピュールのオーヴァーレイという
    7㎝厚の低反発寝具をベッドマットに重ね、
    異次元の眠りを期待しつつ、
    さあ〜行って見ようか〜っと横になった途端、
    吸い込まれるように寝入ったまでは良かったのです。

    翌日不眠状態でよくよく考えると、
    ベッドのマットはサイドが堅く出来ていて、
    寝返りを打っても身体を支えてくれる効果がありますが、
    低反発マットレスは何もかも軟らかく出来ているので、
    寝返りを打つとサイドが沈み込み、
    小生のような巨体の場合はなし崩し状態になり、
    雪崩を打つように叩き落ちる、
    という悲劇を生む事に気付きました。

    しかも、私のベッドは巨体なのにシングルサイズ。
    まあ、落ちるべくして落ちたのですが、
    せっかく買い込んだテンピュールだし、
    あの寝心地はまさに異次元!・・・
    たった1度の事故で止めるわけにはゆきません。

    今後は出来るだけ壁際に身体をセットアップし、
    余裕を持って寝返り打てるような体勢で
    寝るようにいたします。

    それにしても・・・痛かったァ・・。


    ■「硬派」系 Vol.96  2013.10.24


    今の日本ホテル業界


    先日、千葉県幕張のホテル・マンハッタンで開催された
    日本ホテル協会秋季通常総会に出席した時の事。

    まず会場に入って最初に
    或る変化に気付きました。
    各社の代表達の顔が一様に明るく、活気があるんです。

    以前は暗く陰鬱な雰囲気で、
    交わす会話の全てがマイナーな事ばかり。
    長引くデフレ不況が
    ホテル業界を沈没寸前まで追い込んでいたのです。

    ところが、政権交代以後、
    アベノミクスによって
    ホテル業界は見事に蘇りました。

    もうひとつ感じたのは、
    旧ヒルトンホテル第三世代の存在感が
    増大して来た事です。
    久し振りに大勢の総支配人に再会しましたが、
    旧ヒルトン出身者が
    少なくとも10軒以上の有名ホテルの
    GMになっておりました。
    これはOBとして大変嬉しいことです。

    最後に感じたのは、
    ホテル協会の役員がほとんど現場出身のホテリエではなく、
    オーナー企業である鉄道、不動産、建設、銀行、証券、
    保険等々から出向して来た社長達だという事。

    運営会社とは名ばかりで、
    社長はプロのホテリエではなく、
    親会社から出向して来たホテル経験の無い人ばかり・・・。
    というのが、残念ながら今の日本ホテル業界の実態です。
    唯一の救いは、協会会長が帝国ホテルの会長で
    真のホテリエでもある小林氏であること。
    ホテルマンはもっと頑張らねば!


    ■「硬派」系 Vol.97  2013.11.5


    食品表記問題について言わせていただきます。
    「魔女狩り」ですか?



    阪急阪神ホテルズとリッツ大阪の記者会見以降、
    日本国中のマスコミが
    総力でホテル叩きしております。

    これって食品に対する規制が曖昧なために起こった事です。
    JAS規格というものはありますが、
    既製品に適用するもので
    食材を加工して販売する
    ホテルやレストランへの規制は無く、
    長い間放置されて来ました。

    食品の取り扱いについては、
    フランスのように生産者保護を目的に
    厳しく規制するべきだと思います。
    何か起こってから
    消費者保護ばかり最優先して批判するのでは、
    問題の根本的な解決にはなりません。
    今回の問題で
    最も被害を受けているのは生産者です。

    そして、
    消費者に対して安易に一律な金額を設定し、
    返金で誤魔化すようなやり方には
    甚だ疑問を感じます。
    私はこの様なケースでは
    返金すべきではないと考えます。

    料理の価格は材料だけの値段ではありません。
    調理するために必要な多様な調味料や複数の材料で
    手間を掛けて作られたソース、
    ガル二テュール(野菜など添え物)、
    調理人とサービス要員の人件費、
    施設利用代金、光熱費など
    数多くの費用が含まれているので、
    単純に考えてはいけないのです。

    海老の件は、業界の慣習を野放しにし、
    きちんと指導して来なかった消費者庁にも
    責任の一端はあります。

    しかし、人為的に脂肪を注入した肉を
    偽ってはいけません。
    生産地を偽称する事も違反行為です。

    但し、「魔女狩り」のようにほじくり出して
    ニュースネタにするマスコミのやり方は、
    明らかに行き過ぎだと思います。

    帝国ホテルなどはとっくに自己規制して、
    今は何ら問題が無いのに、
    7年も昔の事をほじくり返され、
    さぞかし無念であったろうと思います。

    我々ホテル業界は
    今回の件を契機に改めて体質を見直し、
    改善して利用者の信頼に応え、
    生産者を保護して行かねばならないと感じております。


    ■「軟派」系 Vol.98  2013.11.6


    バナベイって高級海老?
    値段が高ければ高級ならば…。



    このところ食品偽称問題で敵役になっている
    バナベイ海老。
    可哀想に、彼らの罪ではないのに
    「芝エビよりはるかに安くて美味しくない」
    という低級食材のイメージがすっかり定着しました。

    ところが、
    バクテリアの異常繁殖で生産地が出荷できなくなり、
    値段が一気に跳ね上がり、
    キロ価格で、
    ついにあの宿敵芝エビを上回りました。

    そう、今やバナベイちゃんは
    高級食材の仲間入りを果たし、
    大手ホテルでも入手困難になっております。
    返金どころか、
    追加徴収しなければならない事態なんです。

    あるテレビ番組で
    バナベイと芝エビの食べ比べをして、
    タレントさんが「芝エビの方が甘みがある~!」
    なんておっしゃっておりまして・・・
    味はプロでも判別出来ないんですよ!

    年末年始は、海老ちゃん達が総動員する
    大切な千秋楽ですが、
    困った事に前述の事情で物凄い値上がりと品不足なので、
    ホテル業界はエビ捜しに走り回る師走になりそうです。

    余談ですが、
    エビを偽称することを英語で
    EVIL と言います。
    疑惑のホテルに求められるのは
    EVIDENCE です。
    おそまつさまでした。


    ■「硬派」系 Vol.99  2013.11.12


    パンドラの箱を開けちゃった…。


    いや~! 驚きますね。
    ホテルだけでなくデパート、ファーストフード、旅館
    次々に出るわ出るわ・・・食品偽称の数々。

    立ち入り検査を恐れて、
    過去に使ったメニューを納品書と照合して整合性を確認し、
    問題点を抽出して自発的に公表し、
    謝罪する事が常態化してます。

    この作業は会社の管理部門に集中するので、
    担当者達はここ数週間、不眠不休の状態。

    何せ1軒のホテルだけでも、
    レストラン、宴会(婚礼&一般)、
    ルームサービスなどのグランドメニュー以外に、
    季節ごとのメニューや特別イベントメニューなどを
    合わせると膨大な量になるので、
    気が遠くなるような作業の連続です。

    既に発表している会社以外に問題を抱えている会社は
    無数にありますよ。

    まさに猖獗の極みです。
    ゲストを裏切った罰ですね。

    我々ホテル業界をはじめ食品を扱う業界全てが、
    消費者を騙した償いをして贖罪し、
    これを機会に身ぎれいになって出直すべきです。


    ■「軟派」系 Vol.100  2013.11.13


    ”名古屋飛ばし”しなかった、エリック・クラプトン


    来日する有名ミュージシャンが東京公演を終えると
    次に大阪へ向かいます。
    これを”名古屋飛ばし”と言うのですが、実に寂しい。
    ポールマッカートニーは大阪ー東京ー福岡で公演。
    名古屋は再び飛ばされます。

    ところが、今日の新聞を読んで
    しゅういちは狂喜乱舞状態になりました。
    何と!何と!あのエリッククラプトンが
    名古屋で
    来日40周年記念公演をやってくれるのです!
    流石はギターの神様、
    名古屋を見捨てなかったのは偉い!
    26年2月25日、これからチケット買いに走ります。

    エリッククラプトンは、
    旧キャピトル東急ホテルの顧客でした。
    私は何度もお迎えし、
    一緒に写真を撮り、お茶を飲み、
    至福の時を過ごし、
    来日公演(東京では武道館)は全部行きました。
    私のエレキギターは勿論クラプトンと同じモデルの
    フェンダー・ストラト・ブラッキーですよ。

    ああ、今から楽しみ、生きていて良かった・・・。


    *************************************************


    ■連載終了のご挨拶  2013.11.18


    ご愛読いただいてきた、いつも・しゅういち氏の
    「GM日記」は11/13付けの第100回を持って終了致しました。
    長い間、ご愛読いただきまして、ありがとうございました。

    なお、本誌上の「しゅういち VS バアサン 場外編」シリーズは
    続行致しますので、今後はこちらをご愛読ください。


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