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アメリカ発ホテルニュース アメリカ西海岸、サンフランシスコ在住の アレックス鈴木さんによる、 アメリカのメディアを通して見た アメリカホテル事情レポートです。 ホテル界における最新トレンドやトラブル事情と共に アメリカ人気質もわかります。 Vol.86 シャワールームが流行、建築中ホテルが多い都市 Vol.85 リゾートフィー、オーバーブッキング問題 Vol.84 写真美人へのクレーム、子連れ客集客に走るホテル Vol.83 ホテルブランドが変わる時、アップグレイドの本音 Vol.82 値づけの主導権争い、直前予約は本当に得か? Vol.81 チップの相場、エコフレンドリーの本音 ↓↓↓情報誌「ホテルジャンキーズ」Vol.86掲載↓↓↓ 2011/5/5 USA TODAY (USAトゥデイ) 「見合い写真」と思えば腹も立たぬ。 ▼見合い写真(あるいは履歴書)と目の前の本人がどうしても同一人物とは思えない…そんな経験、誰しもあるだろう。ウェブで知り合った人たちがオフ会で「会ってみたら、ぜんぜん違う人だった」なーんていうのもよくあること。 「(誰でも)美人に撮れます」を売り物にさまざまな修正・調整機能が付いたデジカメが普及し、さらにはコンピューター上でちょいと修正を加えれば、お望みの貴方になれる。太いアンヨをモデルばりのすらりとした足にもできるし、お目目も少々ぱっちりさせて、顎のラインを削ってすっきり顔に…なんてヴァーチャル整形だってできちゃう。誰でも「写真美人」になれるご時世だからウェブ上にあふれている美人美男諸氏の写真は、まあ少し割り引いて見ないと。 ▼さて、ホテルでも事情は同じだ。記事は、ウェブ上に掲載されたホテルの写真を見て予約し行ってみたら、ぜーんぜん違っていたというある利用者の怒りのクレームを取りあげている。 サンフランシスコのあるホテルに泊まったところ、「写真ではモダンできれいでビューティフルなシティホテルに見えたのに」実際には、二機のエレベーターのうち一機は壊れているし、バスルームもあちこち染みだらけで汚いし、製氷器はうるさい音を立ててるし、と文句たらたら。 ▼果敢にネット予約トライするコラムを本誌で連載中の「バアサン」さんも含めて、インターネットの普及と共にウェブ上の写真や説明を見てホテルを予約する人が急激に増えているが、とにかくこの写真というのが当てにならない。行ってみたら現実は似ても似つかずでがっかりしたという声が後を絶たない。 ▼記事には、どこのホテルブランドがウェブと現実との落差が一番大きいかについて語る、ホテルには年間100泊近く泊まるという人の談話も書かれているが、それはクラウンプラザだそうだ。 また、『リッツカールトン・ココナッツ・グローヴ』のウェブ上の写真ではデラックスルームの部屋にプラントと美しいブランケットが写っているが、実際にはな〜い!とか記者は追求しているが、「ホテルは正直であるべきだ」なんて言う清教徒的意見には少々賛成しかねる。化粧をしてすっかり別人に化ける女性たちに「詐欺だ!」なんて、貴方は言いますか? 汝、目に見えるものを信じるなかれ。 2011/5/3 USA TODAY (USAトゥデイ) 金を払ってくれる猫がいい猫であ〜る。 ▼ 「ホテルはコドモ達のファンタジーのアイコンになりつつある」と始まる記事。バービー人形でもディズニーのアニメのキャラクターでもなんでもいい、コドモ達が喜べば。そして、それによって親たちがつい財布をゆるめてホテルに来て散財してくれるものであれば。なんせ、金は誰からもらっても同じ金。ほら、むかし、ア・ラ・ブ・のエライお坊さんが…ではなかった(年が知れるな)、中国のエライ人が「黒い猫でも白い猫でも鼠を捕る猫がいい猫だ」と言ったではありませんか。 ▼さて、それにしても、節操がないとは以前からも思っていたが、ホテル界がこれほど何でもありの世界だとは。 アニメのキャラクターがコドモの誕生パーティーにサプライズ参加したり、朝食の席に現れたり。まあ、アニメの本家であるディズニーが経営するホテルが、プリンセスをテーマにした「ロイヤル・ルーム」を作り、そこのバスタブはアラジンのランプの形をしている…なんていうのはまだいい。 けれど、パリでもあの誇り高きパラスホテルのプラザ・アテネが夏休みで(金持ちの)ファミリー客が多い夏季に限り、バービー・ルームを用意しているのだそうだ。アラブの富豪のコドモ達を惹きつけるため、背に腹はかえられないのだろうけれど、「当ホテルは大人のホテルですからお子ちゃまはお断り」と眉を上げてスノビッシュに言っていたのは誰だったけ? ▼もっともコーネル大学のエライ先生によると、こうした傾向はホテルにとってファミリー客を呼び込めるメリットがあるのと同時に、単価をレギュラールームよりも50%前後高くできるうまみがあるとのこと。 なるほどね。現状に甘んじて、そのあげく売れ残ってネットで叩き売りするよりも効率がずっといいってわけだ。でも、節操のないホテル業界のこと、明日はまたがらりと見解を変えているかもしれない。 今日を生き延びろ、されば明日がある。 ↓↓↓情報誌「ホテルジャンキーズ」Vol.85掲載↓↓↓ 2011/4/13 Wall Street Journaly (ウォールストリート・ジャーナル) 競争は続くよ、どーこまーでーもー。 ▼「差別化」という言葉がある。「競合他社と差別化をはかるため…」などのように、誰かが何かやりたいことを進める時の枕詞のようなものである。 ホテル界においても「差別化をはかるため」、これまでにもアメニティーの豪華度競争、ベッドのヘブンリー度競争、枕のこだわり競争など、さまざまな闘いが展開されてきたものだった。さあ、今度はいったい何? ▼記事によると、最近、都ならぬ高級ホテルで流行るものは、こだわりのシャワールームなのだそう。かつて、空から雨が降るがごとく湯水が降りそそぐレインシャワーがホテル界を席巻したことがあった。 今度は何かと思えば、バスタブを取り払ってでも充実のシャワースペースを作ることにどこも躍起になっているようだ。 ▼あるホテルでは、シャワールームだけで10平米以上の広さがあり、シャワーヘッドは高さ別に5カ所にある。 ある女性ゲストの感想がおもしろい。「まず、最初に考えたことは、どうやって使うのか。そして、いったい、いつ使うのか?」。 手がけた建築家曰く、「皆さん、ホテルではいつもとはちょっと違ったご体験、ご家庭よりもほんの少し贅沢なものを望んでいらっしゃるのですよ」。 最近の事例では、あるマンハッタンのホテルの2メートルほどの高さのビューウィンドウ付きシャワールーム。ロンドンのデザインホテルでは、シャワールームが全面ガラス張りでベッドルームと一体化しているというか、丸見え状態。 ▼ホテルチェーンではスターウッドが特にシャワー研究には熱心で、2001年にウェスティン・ブランドでデュアルヘッドのヘブンリー・シャワーを出したが、あっという間に他社に真似され、現在、第二世代の新兵器をコフラー社と共同で開発中。 競争というものは、いったん始まってしまえば際限がないものである。二人で同時に浴びる二人用シャワールーム(何のため?)、ハンモック・シャワー(!)、シャンデリア・シャワー(!!)ほとんどなんでもあり段階に入ってきている。 「お客様に『Wow!』と思っていただけるだけで大成功ですわ」とはホテル側のコメントだが、スイッチを適当に押したら突然わけもわからず多方向から噴射攻撃を浴びて「Wow!」どころか心臓が止まるほど驚いた経験が筆者にはある。もう、どうにも止まらない。 2011/4/13 USA TODAY (USAトゥデイ) Wow!はみんなの合い言葉。 ▼ 「さて問題です。アメリカの都市の中でアンダー・コンストラクション(建築中)のホテルルームの数が一番多いのはどこでしょう?」。 そんな質問から始まる同紙記事。アンダー・コンストラクション物件の多さでその街の活気度、元気さを計ろうというものである。リーマンショック以降、リセッションにより多くの新規ホテルプロジェクトが頓挫してしまったが、撤退するよりはこのまま進めてホテルを建ててしまった方が得、あるいは、それなりに需要を見込んだオーナー側の判断で進行しているものもある。 ▼最初にヒントがあり、「ラスヴェガスではありません」とある。かの地でホテルラッシュがあったのはもうずいぶん昔のことのようだが、思えばほんの数年前のこと。ちなみにラスヴェガスで現在建築中はわずかに96室…。去る者は日々に疎しである。 さて正解は、やはりニューヨーク。多くの新規プロジェクトが中断したと言われていたが、同紙によると、現在ニューヨークで建築中のホテルルームは6,763室。1年前に比べると36%増えているそうだ。単純計算で200室クラスのホテルが30軒、あの狭い街に増殖していることになる。 ▼中でも注目されているのは、6月にタイムズスクエアの西側にオープン予定のヨーテル・ニューヨーク。ニューヨークで今年オープンを予定しているホテルの中では最大規模である。ロンドンに本社がある「ポッド・ホテル・オペレーター」、ヨーテルの初アメリカ進出となる669室のホテルで、「ハイ・スタイル、ロープライス」、すなわち、狭いけれどスタイリッシュな部屋が売り物。室料は149ドルだが、フェイスブックで予約するともっと安くなると言う。 客層を問われたホテル側は、「これまでWホテルに泊まっていた人も、こっちの方が同じデザイン性でより安いと思うだろうねぇ」と挑発的宣戦布告。さて、Wow! と叫ぶことになるのは誰だろう? ↓↓↓情報誌「ホテルジャンキーズ」Vol.84掲載↓↓↓ 2011/1/4 USA Today (USAトゥデイ) 「別の名前」で出てます…。 ▼最近、ホテル界では「当ホテルではこれもあれもそれも可能になりました!」と、提供するサービス項目をどんどん追加する傾向にある。 しかし、これらは必ずしもフリー、つまり無料ではサービスされない。たとえば、インターネットアクセス、Wi-Fiアクセス。ハイ、アクセスは確かに出来ます、有料ですけれど、というホテルもけっこう多い。 ▼記事は、「こんなのはまだ許せる、金を払う対象のサービス内容が明確だから。頭に来るのはリゾート・フィーなるものである」というもの。 実はこのリゾート・フィー、以前から当地のメディアでもしばしば指摘されてきた、利用者が納得できない「悪者」の代表。一日当たり10ドルから20ドル程度だが、この存在に気づくのはたいていは宴の後。日常を忘れてたっぷり楽しみ、リゾート惚けした頭で請求書と対面する時だ。 部屋代、食事代、ミニバー使用料などの項目と並び、さまざまな税金、サービス料などに挟まれたあたりにさりげなく(と思われる)もぐりこんでいる(と思われる)。「ん? なんだコレ?」と気づけばまだ幸いだが、本誌で「アマンのワナ」を連載中の田中潤氏のようにきっちり請求書をチェックする日本人は少数派ではないだろうか。 ▼記者氏が紹介しているあるコラムニスト氏のカリブの某メジャーチェーンホテルでの体験例には、さすがに驚いた。そこでは1日当たりの定額のリゾート・フィーをチャージするのではなく、ルームレートの14%相当分をチャージするシステムなのだそうだ。 コラムニスト氏が泊まった時期はハイシーズンでもあり一泊309ドル。従って毎日43ドルを支払うはめになったそうだ。 その対価は何かと言えば、エンターテイメント・ラウンジ、フィットネスセンター、プールの利用。それでいながら、ボトルウォーターも新聞もインターネットも無料ではなかったとそうだ。 ▼こうした利用者サイドで高まる不満に対して、一時は「当ホテルではリゾート・フィーを一切頂戴いたしません」を売りものにするホテルも現れたりした。 が、しかし、長引く経済不況の中で、ウェスティン系の「リゾート・サービス・チャージ」などのように、名前を変えて、再登場しつつあるようだ。 「別の名前」で出てますので、皆さん、くれぐれもご注意を。 2011/2/7 The New York Times (ザ・ニューヨーク・タイムス) 予約はサプライズ・ゲーム? ▼ この記事を書いた記者氏はホテルのオーバーブッキングというテーマにこだわり、追っている人。 今回の記事は、やたらとオーバーブッキングに遭遇するというある弁護士のケースを例に、ホテル業界においては仕方のない事として悪びれもせずに続けられてきたオーバーブッキングだが、もしかしてこれって、単なるホテル側の体の良い嘘ではないのか、という疑問を持つ。 ▼この記者氏、去年の12月にも、ニューヨークのウォルドルフ=アストリアで起きた大量のオーバーブッキング事件について記事を書いている。 サウジアラビアの王族ご一行様100名あまりが、よりによって感謝祭の休日に、突然「泊まることにした」と言ってきたのをホテル側が断れず(断らず、といった方が正しいだろう)、予約確認書を手に次々にチェックインに現れたお客たちに他のホテルへ移ってもらった、というのが事の顛末。 長年に渡って毎年この時期に一族で泊まるのを楽しみにしていた顧客の一人が「手前どもと"同等"のヒルトンに代わりのお部屋をご用意いたしましたので」というホテル側の対応に怒り収まらず旅行サイトに投稿したため、事件はあっという間に広まった。 ▼昨今はさまざまな予約サイトを通じての予約も増え、ホテル側が予約状況をコントロールするのがむずかしくなってきているという事情もあるが、あれこれ調べたり考えたりした末に選び、滞在を楽しみにしていたホテルにようやく辿りついてホッとしたところ、オーバーブッキングを理由に見も知らぬホテルへ移動するはめになったとしたら、はたしてあなたは納得できるだろうか。 こういった目に遭わないための回避策として記事に書かれていることは、実にアナログでシンプルというか。「事前に電話せよ。少なくとも、到着時のサプライズだけは防げるだろう」。 求めよ、されど与えられんこともあるってことらしい。 ↓↓↓情報誌「ホテルジャンキーズ」Vol.83掲載↓↓↓ 2010/12/9 Wall Street Journal (ウォール・ストリート・ジャーナル) 別れても、好きな人。 ▼アメリカのある地方都市で、34年間に渡ってホリデイイン・ブランドとして親しまれてきたあるホテルが、今月末、チョイス・ホテルズ・インターナショナルのホテル・ブランドのひとつであるクラリオン・ブランドに看板を掛け替えることになったというエピソードで記事は始まる。 ▼このホテルのオーナー氏が語るには、ホリデイインと契約を続けたかったのだが、インターコンチネンタル・ホテルズ・グループ(以下、IHG)側から要求されたリノベーションとアップグレイドのための費用160万ドルをまかなえなかったからだという。 氏は悲しげに言う。「私の道は3つだった。独立系ホテルとしてやっていくこと。破産。もっとリーズナブルな契約先を探すこと」。 ▼氏のホテルは地元では流行っているホテルのひとつでもあり、じゃあ、独立系でやれば、という気もするが、ともかく、部屋の壁紙やバスルームのタイルなんかは薄汚れてきているし、テレビもフラットテレビですらない。ロビーやレストランも改装が必要、ベッドの入れ替えや新式シャワーへの交換など、IHG側が提示するスタンダードに合わせないと契約は続けられない。 ▼「売ってしまおうとも思ったんだが、買い手がみつからなかった」という氏の7階建てのホテルに去年、彼が提示した売値は7百万ドル。今年、5.5百万ドルまで下げてみたが、それでも売れなかったそうだ。 その結果、氏が選んだのが、第3の道。看板をクラリオンに掛け替えること。同ブランドのスタンダードに合わせるに当たって必要な改修費用は30万ドル。ホリデイインの5分の1以下ですむ。ベッドを替え、バスルームなどをきれいにすることに主として費用は使われ、ロビーやレストランの改装は不要。 ▼このようにホリデイインから鞍替えするホテルの新しいブランドとして多いのは、コンフォート・インやクオリティー・イン・ブランドの他、ラマダやハワード・ジョンソン・ブランド。その結果、レート設定はホリデイイン時代に比べると25〜30%低くなるそうだ。つまり、売上減にグレイドダウン。 「私はホリデイインとの関係を続けたかったんだ。古くからのつきあいだし、今でも愛しているんだ…」って、なんだか男女の関係のようだが。 金の切れ目は縁の切れ目。 2010/12/8 USA Today (USAトゥデイ) 「特別に…」の甘いささやき。 ▼チェックインの際、美人のレセプショニストが特別な笑みを浮かべ、そっと顔を寄せ、あたりを伺うように声をひそめ、貴方の目をみつめながら情熱をこめて話しかけてきたことはありませんか? 「○△様、プラス◇円お支払いいただければ、特別にクラブフロア(あるいはスイートルーム)にアップグレイドさせていただきますわ。これはとってもお得ですよぉ」。 最近、ホテルでよく経験することのひとつが、チェックイン時におけるクラブフロアやスイートルームへのアップグレイドの売り込み。記事はそんなホテル側の事情について書かれている。 ▼こちらアメリカではそろそろ景気が戻り始めていると言われ、ホテルのオキュパンシーも上がってきているとは言うものの、企業もまたマスコミらに叩かれないよう人目を気にし、そろりそろ〜りと静かな利用の仕方をしている。 つまり、高級ホテルを使うことは使うが、部屋は以前のようにクラブルームやスイートルームが当たりまえというのではなく、スタンダードルームかせいぜいその上程度。 ▼となると、景気が良い頃に需要を当て込んで増やしてしまったクラブルームやスイートルームが空いてしまう困ったホテル。 そこで、各ホテルでは冒頭のような指示が出ている。この戦法、かなり成功率が高いようで、「あと○△プラスすれば…」の差額でゲストがぐらりと来やすい数字は、ずばり100ドル。 「あと100ドル足せば、スイートルームに…」という甘いささやきは、一瞬のうちに、脳内パラダイスを生む。広々とした部屋、エグゼクティブ感あふれる優雅なラウンジ、シャンパンサービスがたったの100ドルで手に入る…。 最近では、そんなホテル側の足元を見て、団体客がクラブフロアやスイートを格安料金で出すよう要求してくることもあるし、逆にホテル側から「お安くしておきますから」と団体セールスの際に売り込むチェーンもあるのだという。 売れるものは拒まず、けれど、去る者は去る…。 ↓↓↓情報誌「ホテルジャンキーズ」Vol.82掲載↓↓↓ 2010/8/23 Wall Street Journal (ウォール・ストリート・ジャーナル) レコンキスタへの道は険しい 。 ▼インターネットの普及のおかげで自分のところの商品の値付けのコントロールの主導権を失ってしまった企業は多い。もはや「定価」などというものは有名無実で、代わりに、「メーカー希望価格」などと記される始末である。 たとえば、旅行を考えている人の場合、Priceline.com Hotwire.com などのようなトラベル・オークション・サイトのユーザーの多くはまず、BiddingFor Travel .comや Betterbidding.com をチェックし現在の相場状況を頭に入れるだろう。 記事は、失地した企業が最近、レコンキスタ=失地回復運ののろしを揚げているという内容。各社の例をあげながら、対応策を提案しているのだが、さて…。 ▼行き先の都市だけ決まっていてホテル選びをする場合、Priceline com. や Hotwire.com では「bid blind」、すなわちホテル名やブランド名は明らかにせず、「ニューヨークのミッドタウンにある四ツ星高級ホテルが1泊150ドル」のようにクラスと金額だけで入札を募り、落札され当人の手続きが済んだ段階でどこのホテルか明らかにする。 したがって、売り手のホテル側にとっては、あからさまに「○△ホテルが定価の70%オフ!」などということが公にさらされないのでブランドを傷つけられることはない。だから社名やブランドを隠すよう申し入れよ…という対策法を記事では書いてある。 ▼が、人の口に扉は立てられない。昨今は、あっという間にツイッターなどを通じて、「みんな聞いて! 今ボク、すごーくお得なレートで○△ホテルを落札しちゃった! さっきPに出てた150ドルの超高級ホテルって、○△ホテルだよ!」と。 ▼また、システムや予約先の街の地理事情を熟知しているユーザーになってくると、さらに手が混んだことをする。 あらかじめ、ある設定日に四ツ星か五ツ星のホテルに泊まりたいことを提示した上で、明らかにそのクラスのホテルがない近隣のエリアをリクエスト、希望レートは安く出しておく。そうすると、レートは合うホテルがあっても、クラスが合わず取引は成立しない。何度か交渉が繰り返されるうちに、「ご希望のエリアにはないが、近くにご希望のクラスのホテルがあるのでレートは特別に…」と、狙っていたホテルが提示されることもあるのだという。 待てば甘露のレートあり。 2010/8/23 USA Today (USAトゥデイ) 早いが得が、遅いが得か。それが問題だ。 ▼ 売れ残るよりも叩き売り、というわけで、ホテル界でも直前予約が大いに流行っているが、そろそろアメリカのビジネス旅行マーケットも復活してきているので見直しの時期に入っているのではないかという記事。 ▼同紙が独自に調査を依頼した格安ホテル予約サイト Getaroom.com によると、実際に早割りで30日前予約をする利用者が前年よりも倍近くに増えており、この傾向はマリオット、スターウッドなどの大手ホテルチェーンにおいて特に顕著であるそうだ。 同サイト社長氏は「ホテルはより戦術的になってきており、今年の初め頃のようにラストミニット・パニックには陥らない」と語り、その実例として最近多い予約期間限定の特別セールをあげている。 要は48時間とか72時間に限ったタイムセールスでレジャー客対象に売れるだけ売った後でレートを再び引き上げ、残った部屋は直前予約することが多いビジネス客らに高く売るというわけだ。 ▼さて、日本でも直前予約専門のサイトが出来、本誌のネット予約ウォッチャーであるヒキダ氏の調査によると、メジャーな予約サイトでも直前にレートをかなり下げているようだ。が、実際にはどうなんだろうか? 30日前に予約した人たちが、果たして最後までその予約をキープしているのだろうか。ヒキダ氏のように、とりあえず、仮予約を入れて押さえておいて、もっと安いレート、あるいは、他ホテルのお得な商品が出たら、予約を乗り換えてはいないのか? ▼しかも、景気が良い時にはめちゃくちゃに強気に出るアメリカのビジネス客たちが、自分たちがワリを見るような今の状況で、高いレートに黙って従っているのだろうか? アメリカ人よ、リメンバー「いわゆるAIG」を。リメンバー・つい数年前に高級ホテルで跋扈していた金融関係の高給ビジネスマンたちを。彼らは、あなたたちよりもずっとお得な安いレートで泊まりながら、ホテルではデカイ面をしていたのだよ。 驕れるものは、またすぐ戻る。 ↓↓↓情報誌「ホテルジャンキーズ」Vol.81掲載↓↓↓ 2010/7/29 Wall Street Journal (ウォール・ストリート・ジャーナル) 実はみーんな、聞いてみたかった…。 ▼前号80号の「チップ特集」は大人気だったそうだが、いったい相場はいくらぐらいなのか、やはりチップは皆さん気になることらしい。記事は、スターウッド系のセントレジスでグローバル・ブランド・リーダーを務め、出張でホテル泊まりが非常に多いというポール・ジェイムズ氏が自らの体験を通した「ホテルで良いサービスを受けるため」のコツを語っているもの。 ▼なにしろ、ホテル会社の人が言うことなので、いかにも信頼性がある、と感じさせるのがこの記事のミソ。氏曰く、ルールNo.1 は、コンシエルジュと良好な関係を結ぶこと。しばしば立ち寄っては、感じよく接し、リコメンドしてもらったことに対するお礼は後で必ず伝えること。ちなみに彼はネットで予約した場合でも、後からコンシエルジュあてに直接電話を入れ、部屋の要望などを伝えておくそうだ。そして、コンシエルジュへのチップは一日当たり10〜20ドル。何かしてもらったら、その日のうちにお礼と共に渡してもいいし、滞在の最後にまとめて渡してもいいとのこと。 ▼ここでチップの話題が出た際に、記者が「じゃあ、この場合はいくら?」と尋ねたらしく、記事にはそれぞれ相場が羅列されている。記者の「ほら、こういうのって役に立つでしょ?」という声が聞こえてきそうだ。荷物を運ぶベルには2〜5ドル、ハウスキーパーには一日当たり2〜4ドルを封筒に入れてチェックアウト直前に置いておく…。 ▼ただし、ここで注意する必要がある。これはあくまでも世界中の人々が読む新聞の記事に載ることを前提にした話であり、彼も素性を明かしているので、ヘタなことを言うと、現場からも会社からも文句が出かねない。ハウスキーパーへのチップに関しては、79号の本欄でご紹介したリッツカールトンの広報ウーマンの「1泊あたり3〜5ドル」とは微妙に差があるあたりが、チップ問題のひと筋縄ではいかない奥深さを感じさせるところでもある。 ▼人前では旅慣れた風を装っているエグゼクティブの皆さん、もはやこの期に及んでホテルで払うチップの金額などという初歩的なことは、他人に聞くこともできない。だってみんな彼に聞くんだから。この記事をこっそり切り取り、折り畳んで財布の中にしまったという噂。 聞かないは一生のドジ。 2010/6/6 USA Today (USAトゥデイ) ゲストの皆さんの選択なので…。 ▼ 昨今、とみに増えたのが、客室の掃除やターンダウンサービスのオプション化。バブルの頃はといえば、ハウスキーパーたちは日に三度は部屋にやってきて、一回使っただけのタオルを取り替え、石けんやシャンプーすら使用済みは即新品に入れ替え、シンクの水滴をたんねんに拭き取り、空のゴミ箱を逆さに振り、数時間前に拭いたばかりのデスクにさらに磨きをかけたものだった。 そうしたことこそが、高級ホテルの証であると教えられてきたものだったが、景気の良し悪しによって朝令暮改があるのはホテル界の常。ある日突然、「モッタイナイが今日から我がホテルのモットーとなった」と宣言された。 ▼折よく世はエコフレンドリー全盛。「環境保護のため」という言い訳がつけば、何でも正しくなるご時世。「環境保護のため、タオル交換は一日一回に…」「シーツ交換は連泊の場合、三日に一度とし…」「お部屋の掃除は一日に一度」。 やってみると、これは使える! 経費を大幅に減らせるのだ。経営サイドはほくそ笑んだ。そして、そうした本音はじっと隠したまま、「環境保護のため、もしお客様がタオルの交換を望まない場合はこの札をおかけください」と、ゲストの良心を問うという巧妙な方法を取ったのだった。 だいたい「我が社では、サスティーナブル(持続性がある)であることを第一に考え…」と経営者が言う時は、地球資源のことではなく、彼の会社のことなのである。 ▼記事では、「環境保護のため」の経営方針の変更により、部屋の清掃の回数を減らされたおかげで、不満いっぱいのスターウッド系のハウスキーパーのお話。時間をおいた汚れは落ちにくくなるし、一回当たりの仕事量が増えてかえって大変になったと怒る。彼女たちにとっては、チップの機会も減ることになる。「無駄」こそが高級ホテルにおける非日常的な贅沢さを、優雅さを作り出すものであ〜る…そう昨日まで言っていたのは誰だったろう? 減るものは、問わず。 Copyright (C)2011 Hiroshi Mori Corporation All Rights Reserved. | ||||